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後遺障害の認定にかかる期間は? 早めるための方法を解説

更新日: / 公開日:
後遺障害認定にかかる期間は1~3カ月が相場です(c)Getty Images
交通事故で後遺症が残った場合、「後遺障害として認定されるまでどれくらい時間がかかるのか」は多くの被害者が気にするポイントです。実務上、認定までの期間は1カ月から3カ月程度が目安とされていますが、症状の内容や提出資料によっては、数カ月以上かかることもあります。 特に高次脳機能障害や資料不足があるケースでは、審査が長期化しやすい傾向があります。後遺症認定にかかる期間の目安、時間がかかる典型例、認定を早めるための具体的な対策などを、弁護士が分かりやすく解説します。

目 次

1. 後遺症が後遺障害に認定されるまでの期間|1~3カ月程度

1-1. 審査期間の内訳|7割が30日以内

1-2. 高次脳機能障害など複雑な症状の後遺症では時間がかかることも

2. そもそも後遺障害等級とは?なぜ重要か

3. 後遺障害等級の申請から認定までの流れ

3-1. 症状固定の診断を受ける

3-2. 主治医に後遺障害診断書を作成してもらう

3-3. 後遺障害認定を申請する

3-4. 損害保険料率算出機構で審査する

3-5. 審査結果が通知される

3-6. 認定結果に不満があれば異議申立てを行う

4. 後遺障害等級の認定まで時間がかかるケース

4-1. 医療記録・画像(MRI・レントゲン)が不足しているケース

4-2. 後遺障害診断書の内容が不十分・矛盾しているケース

4-3. 医療機関が診療情報提供書や検査画像をすぐに出してくれない

4-4. 事前認定で必要資料が十分に提出されていないケース

4-5. 過去のケガとの区別が難しいケース

4-6. 事故態様(衝突の状況)と症状の関連性に疑問がある

5. 後遺障害等級の認定を早める方法

5-1. 症状固定前から準備を始める|適切な検査・計画的な通院

5-2. 最初から被害者請求で申請する|適切な等級が認定される可能性も高まる

5-3. 弁護士に依頼して書類の不備をゼロにする

6. 後遺障害等級の認定にかかわる時効は「5年」

7. 交通事故の後遺障害認定について弁護士に相談、依頼するメリット

8. 後遺症(後遺障害)認定の期間に関してよくある質問

9. まとめ 後遺障害認定を早めるには、事前準備と弁護士のサポートが重要

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1. 後遺症が後遺障害に認定されるまでの期間|1~3カ月程度

交通事故で症状固定と診断された後、後遺症が後遺障害として認定されるまでにかかる期間は一般的に1カ月から3カ月程度です。自賠責保険における後遺障害等級認定は損害保険料率算出機構が行っており、申請書類がそろってから調査、認定、判断という流れで進みます。

早ければ1カ月以内に結果が出ることもありますが、すべての事案が同じように進むわけではありません。特に高次脳機能障害のように症状が多岐にわたる後遺症では調査に時間を要し、3カ月以上かかるケースも珍しくありません

示談交渉を早く進めたいという気持ちは当然ですが、認定の正確性を犠牲にしてまで急ぐべきではない点も理解しておく必要があります。

1-1. 審査期間の内訳|7割が30日以内

損害保険料率算出機構が公表している統計によれば、2023年度における後遺障害の損害調査期間は、等級認定の申請受付から30日以内が全体の約72%を占めています。次いで31日から60日が約15%、61日から90日が約7%、90日を超えるものが約6%となっています。

この数字だけを見ると、多くの事案は1カ月以内に結論が出ているように見えますが、これは書類が十分に整っており、事故態様と症状の関係が明確なケースが多いからです。書類に不足や矛盾がある場合には、この平均から大きく外れることになります。実際に、病院へのカルテの照会やCT・MRIの画像データを取得するだけで2カ月程度かかることもよくあります。

1-2. 高次脳機能障害など複雑な症状の後遺症では時間がかかることも

高次脳機能障害は、記憶力低下・注意障害・感情のコントロール障害など外からは分かりにくい症状が中心となります。そのため、画像所見だけでなく神経心理学的検査・日常生活状況報告書・家族からの申立書など多角的な資料が必要になります。

学校に通学中の場合、学業の状況を確認されることもあります。面接調査が実施されることもあり調査期間が長期化しやすいのが実情です。

2. そもそも後遺障害等級とは?なぜ重要か

後遺障害等級とは交通事故による後遺症について、その程度に応じて1級から14級まで区分したものです。この等級は自賠責保険および任意保険における後遺障害慰謝料・逸失利益などの算定基準となります

後遺障害に該当するかどうか、どの等級に該当するかによって、受け取れる賠償金の額は大きく変わります。逆に言えば、後遺障害として認定されなければ、治療終了後は後遺症が残っていても、それを前提とした賠償は受けられません。だからこそ認定の有無と等級は極めて重要なのです。

なお、後遺障害慰謝料や逸失利益の額は、算定の際に用いる基準によっても大きく変わります。算定基準には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」の3つがあります。

自賠責基準は自賠責保険の基準で、最も低い補償額となります。一方、弁護士基準は過去の裁判例に基づいた基準で、3つの基準の中で最も高額になります。任意保険基準は任意保険会社が独自に定める基準で一般には公開されていないため、下表では自賠責基準と弁護士基準における後遺障害慰謝料額の目安をまとめています。

後遺障害慰謝料額の目安

後遺障害等級

自賠責基準

弁護士基準

第1級

1150万円

2800万円

第2級

998万円

2370万円

第3級

861万円

1990万円

第4級

737万円

1670万円

第5級

618万円

1400万円

第6級

512万円

1180万円

第7級

419万円

1000万円

第8級

331万円

830万円

第9級

249万円

690万円

第10級

190万円

550万円

第11級

136万円

420万円

第12級

94万円

290万円

第13級

57万円

180万円

第14級

32万円

110万円

3. 後遺障害等級の申請から認定までの流れ

後遺障害等級は、症状固定後に所定の手続きを経て認定されます。申請の進め方や提出資料の内容によって等級や賠償額が大きく左右されるため、全体の流れを正しく理解しておくことが重要です。

後遺障害等級の申請から認定までの流れの図。認定結果に納得できない場合は異議申立てが可能
後遺障害等級の申請から認定までの流れの図。認定結果に納得できない場合は異議申立てが可能

3-1. 症状固定の診断を受ける

後遺障害認定の前提となるのが症状固定の診断です。これは、医学的にこれ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態を指します。症状固定の判断は主治医が行いますが、患者側としても現在残っている症状や日常生活への支障を正確に伝えることが重要です。

3-2. 主治医に後遺障害診断書を作成してもらう

症状固定後、主治医に後遺障害診断書の作成を依頼します。この診断書は、後遺障害認定において最も重要な書類です。共済と保険会社で書式が異なるので注意してください。

自覚症状・他覚所見・検査結果が具体的かつ整合的に記載されているかどうかで、認定結果が左右されます。あいまいな記載や医学的根拠の乏しい表現は、不利に働く可能性があります

3-3. 後遺障害認定を申請する

後遺障害認定の申請方法には、被害者請求と事前認定があります。事前認定は、相手方の保険会社に手続きを任せる方法ですが、被害者に有利な追加資料などを添付できないデメリットがあります。

一方、被害者請求は、被害者自身が必要書類をそろえて自賠責保険に直接申請する方法です。手間はかかりますが、資料の充実度を高めやすく 納得のいく結果につながりやすい傾向があります。

3-4. 損害保険料率算出機構で審査する

提出された資料をもとに、損害保険料率算出機構が事故と症状の因果関係・症状の程度を審査します。複数の後遺症がある場合には、併合・加重・準用といった考え方が用いられます。

3-5. 審査結果が通知される

審査が終了すると、認定結果が書面で通知されます。認定等級が示されると、それを前提に示談交渉が進むことになります。

3-6. 認定結果に不満があれば異議申立てを行う

認定結果に納得できない場合には、損害保険料率算出機構に対して再審査を求める「異議申立て」が可能です。新たな医学的資料や検査結果を提出できるかがポイントとなり、申立てから結果が出るまでには数カ月を要することもあります。症状固定後に通院している場合も新たな証拠となりえます。

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4. 後遺障害等級の認定まで時間がかかるケース

後遺障害等級の認定は、申請すれば必ず短期間で結果が出るわけではありません。提出資料の不足や医療記録の不整合、事故状況との関係性によっては、審査が長期化することがあります。時間がかかる典型例を紹介します。

4-1. 医療記録・画像(MRI・レントゲン)が不足しているケース

後遺障害認定は医学的な裏付けが前提となるため、MRIやCTなどの画像資料が提出されていない場合、審査は確実に遅れます。特に神経症状や高次脳機能障害では、画像所見が乏しいと「客観性が不足している」と判断されやすくなります

その結果、損害保険料率算出機構から医療機関に対して医療照会が行われ、追加資料の提出を待つことになります。医療照会は即日回答されるものではなく、医師の多忙さや病院の事務処理の関係で数週間単位の遅れが生じることも珍しくありません

4-2. 後遺障害診断書の内容が不十分・矛盾しているケース

後遺障害診断書の記載内容とカルテの内容が一致していない場合、慎重な審査が行われます。例えば、診断書には強いしびれや機能障害が記載されているのに、通院中のカルテには自覚症状の記載がほとんどない場合、症状の一貫性に疑問が生じます。

このような場合、追加の医療照会や再確認が行われ、認定までの期間が延びます。診断書は単なる形式書類ではなく、内容の精度が審査期間と結果の双方に直結します。

4-3. 医療機関が診療情報提供書や検査画像をすぐに出してくれない

医療照会や診療情報提供書、画像データの提出が遅れることで、認定手続き全体が止まってしまうケースも多くあります。特に規模の大きい医療機関では文書作成に時間がかかり、回答期限が守られないこともあります。

損害保険料率算出機構は必要な資料がそろうまで判断を行わないため、医療機関側の対応の遅れが、そのまま認定の遅れにつながります。被害者側で進捗管理ができていないと、理由も分からないまま時間だけが経過することになります

4-4. 事前認定で必要資料が十分に提出されていないケース

事前認定では、相手方の保険会社が資料を取りまとめて申請しますが、提出されるのは必要最低限の資料にとどまることが少なくありません。被害者に有利となる補足資料や意見書が提出されないまま審査が進み、判断材料が不足して調査が長引くケースがあります

また、不十分な資料のまま一度判断され、結果に不満が生じて異議申立てを行うと、結局トータルの期間が大幅に延びることになります。

被害者請求では被害者自身が書類を準備する手間と時間がかかる一方、納得のいく認定結果を得やすい点がメリットです。どちらの手続きが適しているかの判断は、弁護士に相談することをお勧めします。

4-5. 過去のケガとの区別が難しいケース

事故以前から同じ部位のケガや既往症がある場合、今回の事故との因果関係の判断に時間がかかります。保険実務では「事故前からあった症状ではないか」という視点で厳しく見られるため、過去の診療履歴との比較検討が行われます

その結果、追加の医療照会や過去資料の提出を求められ、審査が長期化します。既往症がある場合ほど、事故後に症状がどのように変化したのかを丁寧に立証する必要があります。

4-6. 事故態様(衝突の状況)と症状の関連性に疑問がある

事故状況と発生している症状との間に合理的な説明がつかない場合、審査は慎重になります。例えば、軽微な追突事故で重度の後遺症を主張している場合などが典型です。

このようなケースでは、事故状況、車両損傷の程度、受傷機転などを総合的に検討する必要があり、その分調査期間が延びます。事故態様と症状の関係を医学的・力学的に説明できるかが、認定期間と結果を左右します。

5. 後遺障害等級の認定を早める方法

後遺障害等級の認定を早めるためには、申請段階だけでなく症状固定に至る前からの対応が重要です。認定が遅れる多くの原因は、必要な資料が不足していることが後になって判明し、追加調査や医療照会が行われる点にあります。

5-1. 症状固定前から準備を始める|適切な検査・計画的な通院

なぜ準備が重要かというと、症状固定後に新たな検査を行っても、事故との因果関係を疑われることがあるからです。事故後早期から医師の指示に従い、必要なMRIや神経学的検査を受け、症状に応じた頻度で通院を継続することで、後遺症の経過を医学的に一貫して示すことができます

これにより追加照会の発生を防ぎ、認定までの期間を短縮できます。

5-2. 最初から被害者請求で申請する|適切な等級が認定される可能性も高まる

被害者請求が有効な理由は、提出資料を被害者側で管理できるからです。事前認定では相手の保険会社任せとなり、最低限の資料しか提出されないことがあります。

被害者請求であれば、診断書や検査結果、意見書などを十分にそろえた上で申請できるため、判断が一度で済み、結果として認定期間の短縮につながります

5-3. 弁護士に依頼して書類の不備をゼロにする

等級認定の手続きでは、書類の不備や説明不足が最も時間を浪費する原因となります。弁護士に依頼することで、後遺障害診断書の記載内容を事前に確認し、必要な補足資料を整理した上で申請できます。無駄な照会や再申請を防ぐことが、最短で認定を得る現実的な方法です。

6. 後遺障害等級の認定にかかわる時効は「5年」

後遺障害等級の認定手続きそのものには時効はありません。症状固定後、いつ申請しても認定自体は可能です。しかし注意すべきなのは、後遺障害を前提とする損害賠償請求権には時効がある点です。

後遺障害が残った人身事故の場合、損害賠償請求の時効は症状固定の翌日から5年とされています。認定手続きに時間がかかりすぎると、示談交渉や訴訟に使える期間が短くなり、十分な賠償を受ける機会を失うおそれがあります。そのため、症状固定後は時効を意識しつつ、速やかに後遺障害認定と示談の準備を進めることが重要です。

7. 交通事故の後遺障害認定について弁護士に相談、依頼するメリット

後遺障害認定を弁護士に相談、依頼する最大のメリットは、認定結果と期間の双方に好影響が期待できる点です。弁護士が関与することで、後遺障害診断書の記載内容を事前に確認し、不足や矛盾があれば医師に修正や補足を依頼できます。

また、症状に応じて必要な検査資料や意見書を整理し、被害者請求として適切な形で申請することが可能になります。その結果、無駄な医療照会や再調査を防ぎ、認定までの期間を短縮できる可能性があります。示談交渉や訴訟まで一貫して任せられる点も、被害者にとって大きな利点です。

さらに、弁護士に依頼すれば後遺障害慰謝料や逸失利益の増額が見込めます。適正な等級が認定されやすいほか、最も高い支払い基準である「弁護士基準」を用いて賠償金額を算定できるためです。相手の保険会社は、自賠責基準や任意保険基準をもとに実際よりも低い賠償金額を提示してきます。弁護士が弁護士基準に基づいて請求・交渉を行うことで、大幅に増額できる可能性があります。

交通事故で弁護士が示談交渉をするメリットの図。弁護士基準による請求が可能
交通事故で弁護士が示談交渉をするメリットの図。弁護士基準による請求が可能

8. 後遺症(後遺障害)認定の期間に関してよくある質問

Q. 後遺障害等級の認定に時効はある?

後遺障害等級の認定そのものには時効はありません。いつ申請しても認定手続き自体は可能です。ただし、後遺障害を前提とする損害賠償請求権には時効があり、後遺障害がある人身事故では症状固定の翌日から5年で消滅します。認定に時間をかけすぎると、示談や請求に使える期間が短くなる点に注意が必要です。

Q. むちうちで後遺障害等級が認定されるために必要な通院期間は?

むちうちで後遺障害等級が認定されるために必要な通院期間に明確な決まりはありません。ただし実務上は、少なくとも6カ月程度、医学的に必要な頻度で継続通院しているかが重視されます。期間だけでなく、症状の一貫性や検査内容も重要です。

Q. 症状固定後、後遺障害の申請はいつまでにする必要がある?

症状固定後、後遺障害の申請期限は法律上定められていません。しかし、時間が経過すると診断書や医学的評価の説得力が弱まるおそれがあります。症状固定後は、できるだけ早く申請準備に入るのが実務上は有利です。

Q. 被害者請求は自分でもできる?

被害者請求は自分でも行うことができます。ただし、後遺障害診断書の内容確認や追加資料の選別を誤ると、不利な認定結果につながります。等級にこだわるのであれば、弁護士の関与が現実的です。

9. まとめ 後遺障害認定を早めるには、事前準備と弁護士のサポートが重要

交通事故の後遺症が後遺障害として認定されるまでの期間は、一般的に1カ月から3カ月が目安です。ただし、医療記録や画像資料の不足、診断書とカルテの不整合、既往症の有無、事故態様と症状の関連性に疑問がある場合などは、医療照会や追加調査が入り長期化しやすくなります。

認定を早めるには、症状固定前から検査や通院を計画的に行い、被害者請求で資料を整えて申請することが重要です。さらに時効(症状固定翌日から5年)も踏まえて早めに弁護士へ相談し、書類不備や再申請を防ぐことが現実的な対策となります。

(記事は2026年2月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

加藤高明(弁護士)

加藤高明(弁護士)

Adam法律事務所 代表弁護士
2008年関西学院大学大学院情報科学専攻修了。法科大学院を経て、2011年司法試験合格、2012年弁護士登録、2022年Adam法律事務所設立。現在は、青年会議所や商工会議所青年部を通じた人脈による企業法務、交通事故、太陽光問題、相続問題、男女問題に従事し、筋トレやスニーカー収集に興味を持つ。岡山弁護士会所属、登録番号47482。
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