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過失割合のゴネ得を許さない! 泣き寝入りしないための対処法

更新日: / 公開日:
ゴネ得に対しては、弁護士への相談が有効です(c)Getty Images
交通事故の被害に遭い、心身ともに深い傷を負っている中で、さらに追い打ちをかけるのが「過失割合」のトラブルです。 「相手が明らかに悪いのに、なぜかこちらにも大きな過失があると言われている」 「うその主張を繰り返され、こちらの話を聞いてもらえない」 「ゴネれば得をする、いわゆる『ゴネ得』がまかり通っているようで納得がいかない」などは比較的多い悩みです。 交通事故の示談交渉において、過失割合は賠償金の額を左右する極めて重要な要素です。もし相手の「ゴネ得」を許してしまえば、本来受け取れるはずの賠償金が大幅に減額され、泣き寝入りを強いられることになります。 交通事故における「過失割合のゴネ得」の実態を明らかにするとともに、不当な主張に屈せず、適正な過失割合を勝ち取るための具体的な対処法を、弁護士の視点から詳しく解説します。

目 次

1. 過失割合のゴネ得とは?

2. 過失割合のゴネ得の典型パターン

3. 過失割合の交渉で妥協をしてはいけない理由

4. 過失割合のゴネ得に屈しない。適切な対処法

4-1. 相手に「過失割合の根拠」を文書で要求する

4-2. 客観的な証拠をリストアップし、提示する

4-3. 基本過失割合と判例基準を元に主張を組み立て、反論する

4-4. すべてのやり取りを記録に残す(メール・書面・録音)

4-5. 弁護士に相談・依頼する

5. 過失割合のゴネ得を主張されたときにやってはいけないこと

5-1. 感情的に言い返す、根拠なく反論する

5-2. 不確かな記憶や相手の主張におされて、「自分にも非があった」などと口をすべらせる

5-3. 「早く終わらせたい」と安易に譲歩する

6. そもそも交通事故の過失割合はどう決まる?

6-1. 事故類型ごとの「基本過失割合」が参照される

6-2. 個別の事情である「修正要素」も反映される

7. 過失割合の交渉を弁護士に依頼するメリット

7-1. 弁護士が交渉を担ってくれるため、ストレスから解放されて治療に専念できる

7-2. 相手側の態度が激変し、不当な主張が止まる

7-3. 賠償金が「弁護士基準」に引き上げられ、大幅増となる可能性

7-4. 後遺障害等級の認定をサポートしてもらえる

7-5. 弁護士特約を使えば、費用の心配は不要

8. 過失割合のゴネ得に関してよくある質問

8-1. 相手の保険会社のゴネを見破る方法は?ゴネと正当な主張の違いは?

8-2. 示談成立後、ゴネ得に納得がいかない場合は再交渉できる?

8-3. こちらにも非がある場合、強く主張しないほうがいい?

9. まとめ ゴネ得に対しては、交渉を弁護士に依頼するのがおすすめ

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1. 過失割合のゴネ得とは?

過失割合の「ゴネ得」とは、事実と異なる主張や理不尽な言い分を繰り返し、自らの過失を認めないことで、結果的に自分に有利な過失割合で示談を成立させることを指します。

本来、過失割合は過去の膨大な裁判例に基づいた客観的な基準(判例タイムズ等)によって決定されるべきものです。しかし、示談交渉はあくまで「話し合い」であるため、声の大きい側や根拠のない強気な主張を続ける側に、根負けした側が譲歩してしまうケースが後を絶ちません

これが「正直者が損をする」状態を生み出しており、法的・道義的に決して許されることではありません。

2. 過失割合のゴネ得の典型パターン

「ゴネ得」を狙う相手方は、以下のような典型的な主張や態度をとることが多いです。

【事実の捏造・歪曲】
「信号は青だった」「ウィンカーを出していた」「一時停止をした」など、客観的な事実とは正反対の主張を堂々と行うケースです。

【速度の過少申告】
明らかにスピードを出していたにもかかわらず「制限速度を守っていた」と主張し、自身の過失を減らそうとするケースです。

【相手への責任転嫁】
たとえば、自分の前方不注視を棚に上げ「被害者が予測不能な動きをした」と相手に責任を転嫁するケースです。

【強硬な態度での威圧】
怒鳴る、威圧的な言葉遣いをする、あるいは逆に「これ以上は一歩も譲らない」と一切の交渉を拒絶することで、精神的に追い詰めてくるケースです。

【連絡を無視・遅延させる】
交渉を長引かせ、生活に困窮したり精神的に疲弊したりした被害者が「もう安くてもいいから早く終わらせたい」と諦めるのを待ちます。

3. 過失割合の交渉で妥協をしてはいけない理由

「ゴネ得」を狙う相手の言動にうんざりしてしまい、「わずか1割の違いなら、早く終わらせるために譲ってもいいか」と考えてしまうかもしれません。しかし、その1割がもたらす経済的損失は想像以上に甚大です。交通事故の賠償金は、算出された総額から自分の過失分を差し引く「過失相殺(かしつそうさい)」という仕組みがとられるためです

例として、過失割合が「90:10」の場合と「80:20」の場合で、過失相殺後の受取額を算出してみます。

【総損害額が1,000万円の場合】
・過失割合 90(相手):10(自分) → 受取額:900万円
・過失割合 80(相手):20(自分) → 受取額:800万円

このように10%の差で100万円もの差額が生じます。重傷を負った場合や後遺障害が残った場合、総損害額は数千万円にのぼることもあります。その際の10%や20%の差は、あなたの今後の生活を支えるための大切な資金が失われることを意味します。不当な主張に対しては、毅然とした態度で立ち向かわなければなりません。

4. 過失割合のゴネ得に屈しない。適切な対処法

相手が無理な主張を繰り返す場合、感情論で対抗しても事態は悪化するだけです。論理的、かつ戦略的に対処する必要があります。

4-1. 相手に「過失割合の根拠」を文書で要求する

相手が「こちらの過失は3割だ」などと言ってきたら、必ず「その過失割合を導き出した具体的な根拠(参照した判例や修正要素など)」を文書で回答するよう求めてください。相手がゴネている場合、その根拠はあいまいであることが多いです。文書での回答を求めることで、相手に安易な主張をさせない牽制になります。

4-2. 客観的な証拠をリストアップし、提示する

言葉の応酬だけでは平行線です。事実を証明する客観的な証拠を揃えることが「ゴネ得」を封じる最大の武器となります。たとえば以下のような証拠があると有利に働く可能性があります。

  • ドライブレコーダーの映像

  • 防犯カメラ映像

  • 実況見分調書

  • 目撃者の証言

  • 車両の損傷箇所

過失割合の判断は、主張の強さではなく証拠の有無で決まると考えましょう。

4-3. 基本過失割合と判例基準を元に主張を組み立て、反論する

実務上、過失割合は「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(別冊判例タイムズ等)」をベースに算出されます。まず、自分の事故状況がどの類型(図解)に当てはまるかを確認しましょう。そのうえで「修正要素(著しい過失、夜間、幹線道路など)」を適用できるかを整理し、根拠を示して論理的に主張します。

もっとも、上記基準はあくまで典型的な事故類型に基づいて定められた基準です。上記基準に該当しない事故類型については、より具体的な裁判例に基づき主張する必要があります。

4-4. すべてのやり取りを記録に残す(メール・書面・録音)

相手の暴言や不合理な主張、何度も変わる供述などはすべて記録に残してください。これらは将来的に調停や裁判になった際、相手の主張の信憑性を疑わせる重要な材料となります。

電話でのやり取りは極力避け、相手の主張が記録として残りやすいメールや書面にて相手とやり取りすることをおすすめします。

4-5. 弁護士に相談・依頼する

自力での交渉に限界を感じたら、早めに弁護士へ相談してください。弁護士は法律のプロとして、過去の膨大な判例から、あなたの事案に最も適した過失割合を導き出します。専門家が介入することで、相手方も「これ以上むちゃな言い分は通らない」と悟り、正常な交渉のテーブルにつくことがあります

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5. 過失割合のゴネ得を主張されたときにやってはいけないこと

相手のペースに巻き込まれると、自ら不利な状況を作ってしまうことがあります。以下の3点は特に注意してください。

5-1. 感情的に言い返す、根拠なく反論する

相手のうそに腹が立つのは当然ですが、感情的になって罵声を浴びせたり、根拠もなく「100対0だ!」と主張し続けたりすることは逆効果です。かえってあなたの主張の信憑性を低めてしまい、交渉を停滞させる要因になります。

5-2. 不確かな記憶や相手の主張におされて、「自分にも非があった」などと口をすべらせる

相手や保険会社から「あなたもスピードを出していましたよね?」「少し脇見をしていましたよね?」としつこく問われ、「そうかもしれません……」と認めてしまうのは非常に危険です。

一度認めてしまうと相手はその事実を前提として過失割合を主張してきます。不確かな記憶については「今ははっきりと思い出せません」と答え、証拠を確認した上で慎重に回答しましょう。

5-3. 「早く終わらせたい」と安易に譲歩する

治療費の支払いや生活費の不安から、早期決着を優先して相手の提示を飲んでしまうケースです。一度示談書にサインしてしまうと、原則として後から内容を覆すことはできません。数カ月早く解決することよりも、数年、数十年後の自分の生活を守るために、適正な賠償を求める姿勢が大切です。

6. そもそも交通事故の過失割合はどう決まる?

交渉を有利に進めるためには、ルールを正しく理解しておく必要があります。過失割合の決定プロセスは大きく分けて2段階あります。

6-1. 事故類型ごとの「基本過失割合」が参照される

まず、事故をいくつかのパターン(類型)に分類します。

  • 直進車同士の出合い頭事故

  • 右折車と直進車の事故(右直事故)

  • 歩行者と自動車の事故

  • 追突事故

上記はあくまで一例です。それぞれのパターンにおいて「過去の裁判ではおおむねこれくらいの過失割合になっている」という基本過失割合が決まっています。

6-2. 個別の事情である「修正要素」も反映される

過失割合は、基本割合だけで決まるものではありません。事故ごとの具体的な事情を踏まえて、過失割合を増減させることがあります。これらの事情を「修正要素」と呼びます。

  • 酒気帯び運転

  • 著しい速度超過

  • スマホ操作などのわき見運転

  • ウィンカーを出さずに進路変更した場合

上記はあくまで一例です。実際の交渉では、これらの修正要素が事故当事者に存在したかどうかを、客観的な証拠で示せるかが重要なポイントとなります。

7. 過失割合の交渉を弁護士に依頼するメリット

「ゴネ得」を狙う相手に対しては、弁護士の介入が最も効果的です。ここでは、ゴネ得に対して、こちらが弁護士に交渉を依頼するメリットを紹介します。

7-1. 弁護士が交渉を担ってくれるため、ストレスから解放されて治療に専念できる

相手との直接交渉は精神的に大変な作業です。弁護士に依頼すれば、窓口はすべて弁護士になります。あなたは相手からの電話や理不尽な主張に直接晒されることなく、けがの治療や日常生活の回復に専念できます

7-2. 相手側の態度が激変し、不当な主張が止まる

「弁護士が出てきた」という事実は、相手方や保険会社にとって大きなプレッシャーになります。弁護士は判例に基づいた法的な主張を行うため、相手も論理的な反論ができなければ譲歩せざるを得なくなります。結果として、スムーズに適切な割合に修正されることが多いです。

7-3. 賠償金が「弁護士基準」に引き上げられ、大幅増となる可能性

交通事故の賠償額には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」の3つがあります。

自賠責基準:最低限の補償基準。強制保険である自賠責保険に基づく
任意保険基準:任意保険会社が独自に定める。自賠責保険基準より高いが、弁護士基準より低い
弁護士基準(裁判所基準):過去の判例に基づく。3つの基準のなかで最も高くなる

弁護士が介入することで、最も高額な弁護士基準での請求が可能になります。過失割合の是正と相まって、最終的な受取額が数百万円単位で増えることも珍しくありません

交通事故の損害額を算定する際の3つの基準の図解。弁護士に示談交渉を依頼すれば賠償金の増額が期待できる
交通事故の損害額を算定する際の3つの基準の図解。弁護士に示談交渉を依頼すれば賠償金の増額が期待できる

7-4. 後遺障害等級の認定をサポートしてもらえる

過失割合だけでなく、後遺症が残った場合の「後遺障害等級認定」も、賠償額に大きく影響します。後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益(事故がなければ本来得られるはずだった将来の収入)を相手側に請求できるようになります。

弁護士は適切な診断書の書き方や資料収集のアドバイスを行い、正しい等級が認定されるようサポートします。

7-5. 弁護士特約を使えば、費用の心配は不要

自分や家族が加入している自動車保険などに「弁護士費用特約」が付帯されていれば、一般的に300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれます。多くの事案では、この範囲内で費用が収まるため、自己負担実質ゼロで弁護士に依頼することが可能です。

8. 過失割合のゴネ得に関してよくある質問

8-1. 相手の保険会社のゴネを見破る方法は?ゴネと正当な主張の違いは?

保険会社の主張が判例タイムズなどの認定基準に基づいているかを確認してください。もし、具体的な判例番号や図解番号を示さず、「当社の経験上こうなる」「担当者の判断でこれくらいだ」といった根拠の薄い説明に終始する場合は、根拠のない調整である可能性があります。

8-2. 示談成立後、ゴネ得に納得がいかない場合は再交渉できる?

残念ながら、原則として示談成立後の再交渉は不可能です。示談書には通常「本件に関し、今後一切の異議申し立てを行わない」という条項が含まれています。そのため、納得がいかない段階でサインをするのは絶対に避けてください

ただし、後に重大な隠れた事実が発覚した場合などは、例外的に示談の取り消しが認められることがありますが、極めてハードルが高いのが現実です。

8-3. こちらにも非がある場合、強く主張しないほうがいい?

自分に多少の過失があるからといって、相手の不当な主張をすべて受け入れる必要はありません。交通事故において「100対0」の事故は追突やセンターラインオーバーなどに限られ、多くの事故で双方に何らかの過失がつきます。

大切なのは「自分の過失は正しく認めるが、それ以上の責任を押し付けられることは拒否する」という姿勢です。

9. まとめ ゴネ得に対しては、交渉を弁護士に依頼するのがおすすめ

交通事故における過失割合の「ゴネ得」は、本来あってはならないことです。相手の不合理な主張に屈してしまうことは、あなた自身の正当な権利を放棄することに繋がります。

不当な過失割合を突きつけられたら、まずは冷静になり、客観的な証拠を集め、法的な基準に照らし合わせて反論しましょう。一人で抱え込み、精神的に追い詰められてしまう前に、ぜひ交通事故に精通した弁護士を頼ってください。

弁護士は被害者の方が適正な賠償を受け、新しい一歩を踏み出せるよう、過失割合の精査から示談交渉までをサポートしてくれます。「この過失割合はおかしい」と感じたら、早い段階で弁護士に相談してください。

(記事は2026年3月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

中西博亮(弁護士)

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アスカル法律事務所 代表弁護士
東京弁護士会所属、登録番号52472。東京都内大手法律事務所にて約9年民事、刑事を問わず多数の事件を経験。部門長として管理職も歴任したのち、令和7年4月弁護士10年目を迎えアスカル法律事務所を開設。「弁護士は、頼りになると言われたい」を事務所理念として、全力で事件解決にあたることをお約束します。
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