目 次
朝日新聞社運営「交通事故の羅針盤」で
交通事故トラブルに強い弁護士を探す
交通事故トラブルに強い
弁護士を探す
1. そもそも自賠責保険とは
自賠責保険とは「自動車損害賠償責任保険」の略称で、法律によって自動車を運転する人すべてに加入が義務づけられていることから「強制保険」とも呼ばれます。自動車による交通事故の被害者を救済するために、最低限の補償を提供する保険です。
2. 自賠責保険への請求には被害者請求と加害者請求の2種類がある
被害者が自賠責保険から補償を受ける方法には、以下のとおり「被害者請求」と「加害者請求」の2つがあります。
2-1. 被害者請求|被害者が直接請求を行う
被害者請求とは、自賠責保険を取り扱う損害保険会社や共済組合に対し、賠償金を被害者自らが直接請求する方法です。
被害者が自分で保険会社に連絡し、必要な書類を集めて提出する必要があります。
2-2. 加害者請求|加害者の保険会社が請求を行う
加害者請求とは、まず加害者が被害者に損害賠償金を支払ったあと、加害者が自賠責保険の損害保険会社や共済組合に保険金や共済金を請求する方法です。
被害者は加害者から直接賠償金の支払いを受けられるため、自賠責保険の保険会社とやりとりする必要はありません。
2-3. 後遺障害等級認定の申請方法には「被害者請求」と「事前認定」がある
交通事故で後遺症が残り、その後遺症の症状や程度が一定の基準に該当する場合、1級から14級までの後遺障害等級が認定されます。後遺障害等級は自動的に付与されるものではなく、申請して認定のための審査を受ける必要があります。
後遺障害等級認定の申請方法には「被害者請求」と「事前認定」があります。
被害者請求は被害者自ら、または代理人となる弁護士が必要な書類をすべて収集して、後遺障害等級認定の申請手続きを自分で行う方法です。
一方の事前認定とは、加害者側の任意保険会社が損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所に必要書類を提出し、後遺障害等級の審査をしてもらう方法です。原則として、被害者は医師に作成してもらった後遺障害診断書を保険会社に提出すれば、残りの手続きは保険会社に任せることができます。
3. 被害者請求のメリット
被害者請求には、主に以下のメリットがあります。
示談成立前でも保険金を受け取れる
過失相殺が行われないケースが多い
【重要】適切な後遺障害等級の認定を受けやすい
3-1. 示談成立前でも保険金を受け取れる
交通事故の加害者が任意保険に加入していた場合、被害者は加害者の任意保険会社に賠償金の支払いを請求できます。
ただし、その場合は任意保険会社と交渉し、保険会社が支払う金額に双方同意して決定する、つまり示談が成立する必要があります。そのため、示談が成立するまでは任意保険会社から支払いを受けることができません。
自賠責保険の保険会社は任意保険とは別であるため、任意保険会社との示談が成立する前でも被害者請求は可能です。被害者請求をすることで、比較的早期に支払いを受けることができます。
3-2. 過失相殺が行われないケースが多い
交通事故の原因が被害者側にもある場合、加害者や加害者側の任意保険会社への賠償金請求では、どちらにどれだけ事故の責任があるかを示す過失割合に応じて、賠償金が減額されます。
たとえば、被害者に事故の原因が40%あるとされた場合は、加害者には60%分しか請求ができなくなります。
一方で自賠責保険の場合、被害者側の過失が70%未満であれば、賠償金が減額されることなく支払われます。そのため過失割合によっては、加害者側の任意保険会社ではなく自賠責保険に被害者請求をしたほうが、結果的に支払われる金額が大きくなることもあります。
3-3. 【重要】適切な後遺障害等級の認定を受けやすい
後遺障害等級認定の申請方法の一つである事前認定は、手続きを保険会社に任せられるため、被害者にとっては負担が少なく簡単です。ただし、後遺症の症状や程度によっては、被害者自身で必要書類を十分にそろえて申請する被害者請求のほうが、納得できる認定を受けられる可能性が高いケースもあります。
これは、事前認定の場合は加害者側の保険会社が手続きを行うため、必ずしも被害者の後遺障害認定のために必要な書類や検査などを漏れなく積極的に収集して申請してくれるわけではないためです。
もちろん、事前認定でも適切な等級が認定されることもあり、すべてのケースで被害者請求をすべきというわけではありません。認定される可能性のある後遺障害の内容によって被害者請求をすべきかどうか、個別に検討する必要があります。
後遺障害等級が一つ違うだけでも損害賠償額に大きく影響するため、こうした検討は非常に重要です。自賠責保険における後遺障害等級に応じた後遺障害慰謝料の金額は以下のとおりです。
後遺障害等級 | 自賠責保険基準 | 後遺障害等級 | 自賠責保険基準 |
|---|---|---|---|
1級 | 1150万円 | 8級 | 331万円 |
2級 | 998万円 | 9級 | 249万円 |
3級 | 861万円 | 10級 | 190万円 |
4級 | 737万円 | 11級 | 136万円 |
5級 | 618万円 | 12級 | 94万円 |
6級 | 512万円 | 13級 | 57万円 |
7級 | 419万円 | 14級 | 32万円 |
4. 被害者請求のデメリットは?
被害者請求のデメリットは、請求に必要な書類を被害者自身が集める必要があるため、申請書類の準備に手間がかかる点です。また、適切に申請書類を準備するためには、交通事故による損害賠償請求や後遺障害等級などに関する知識が必要になります。
交通事故によるけがの痛みや入通院治療の負担などがあるなかで、こうした書類を準備し知識を得ることが難しく感じられるのも無理はありません。
その場合は、こうした被害者請求の手続きを弁護士に依頼して任せる方法もあります。一度、弁護士への相談や依頼を検討してみてください。
朝日新聞社運営「交通事故の羅針盤」
5. 被害者請求を検討すべきケース
被害者請求を検討すべきなのは、主に以下のようなケースです。
5-1. 後遺症が残り、適切な等級認定を受けたい
被害者請求か事前認定かによって、後遺障害等級の認定結果が変わり得るケースもあれば、どちらでも結果は変わらないケースもあります。
たとえば、脳の損傷による遷延性(せんえんせい)意識障害になり、寝たきりの状態で回復の見込みがないと診断された場合など、客観的に後遺障害1級に該当すると判断されるケースでは、被害者請求でも事前認定でも、等級に関する結論は変わらないと思われます。
一方、たとえば同じ脳損傷による後遺障害でも、認知機能などに障害が出る高次脳機能障害の場合は、各種検査結果や画像を含む医療記録やそのほかの資料がどれだけ適切にそろっているかによって、後遺障害等級の認定結果が変わることがあります。
高次脳機能障害をはじめいくつかの後遺障害では、事前認定で保険会社に手続きを任せた結果、適切な資料の提出が不十分で、本来得られるべき等級認定が受けられなかったというケースもあります。
こうしたことが事前に想定される場合は、後遺症の症状や程度などを検討し、必要に応じて被害者請求を検討すべきです。
5-2. 示談交渉が長引きそうで、先にまとまったお金が必要
治療費のうち、任意保険の保険会社から直接医療機関に支払われず被害者が自己負担した分や休業損害、通院交通費など、被害者が自ら負担している分のお金は、任意保険会社との示談交渉が終了して保険金額が確定するまでは支払われないのが一般的です。基本的に治療が続いている間は、損害額、つまり賠償金の総額が確定しないためです。
そのため、治療期間中にまとまったお金が必要になる場合は、自賠責保険の保険会社に被害者請求を行い、自賠責保険から賠償金の一部の支払いを受けることを検討します。
ただし、自賠責保険への請求には上限額があるため注意が必要です。
なお、先に自賠責保険から支払いを受けても、その金額を上回る賠償額で加害者側との示談が成立した場合、任意保険会社から差額分が支払われます。
5-3. 加害者が任意保険に未加入だった
加害者が任意保険に未加入だった場合は、加害者本人に直接賠償金を請求する必要があります。
加害者が自主的に治療費や休業損害、通院交通費などをすみやかに支払ってくれていれば問題はありませんが、加害者との間で交渉がうまくいかない場合や、加害者に支払えるだけの経済力がない場合などは、自賠責保険の被害者請求を検討すべきです。
5-4. 自分(被害者)の過失割合が大きい
過失割合(事故における双方のミスや落ち度)が自分側も大きい場合は、自分の治療費などの支払いを相手に請求したとしても、十分な補償を受けることができないおそれがあります。
たとえば過失割合が50%、つまり自分側に事故の責任が50%ある場合、相手に請求できるのは自分の治療費や休業損害、慰謝料などの総額の50%に限られます。
一方、自賠責保険の被害者請求では、自分側の過失割合が70%未満の場合、過失割合による減額なしに賠償金が支払われます。そのため、加害者側への請求と並行して、被害者請求も検討すべきです。
6. 被害者請求ができる主な補償の項目
被害者請求ができる主な補償の項目は、以下のとおりです。請求できる項目と具体的な内容は、国土交通省の自賠責保険の保険金等の支払基準に従って記載しています。
請求できる項目 | 具体的な内容 | |
|---|---|---|
傷害による損害 【上限120万円】 | 治療関係費 | 治療費、看護料、書雑費、通院交通費、義肢などの費用、 診断書などの発行手数料 |
文書料 | 交通事故証明書や印鑑証明書、住民票などの発行手数料 | |
休業損害 | 事故のけがを原因とする収入の減少分の補填 | |
入通院慰謝料 | 事故のけがや入通院の負担による精神的苦痛に対する補償 | |
後遺障害による損害 【上限4000万円】 ※後遺障害認定等級に応じた 個別の上限額の設定あり | 逸失利益 | 後遺障害による労働能力の減少の影響により将来にわたって 発生するであろう収入の減少分の補填 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害を負ったことに対する精神的苦痛に対する補償 (後遺障害等級に応じた金額の基準あり) | |
死亡による損害 【上限3000万円】 | 葬儀費用 | 通夜、祭壇、火葬、墓石などの費用(墓地、香典返しなどは除く) |
逸失利益 | 被害者が死亡しなければ将来得られたであろう収入の 補填分(ただし生活に要したであろう生活費分を控除したもの) | |
死亡慰謝料 (遺族固有の 慰謝料を含む) | 被害者本人が死亡したことによる 本人の精神的苦痛+被害者の遺族の精神的苦痛に対する補償 | |
傷害による損害、後遺障害による損害、死亡による損害のそれぞれに補償の上限額が定められています。たとえば傷害による損害に含まれる治療関係費、文書料、休業損害、入通院慰謝料はすべて合わせて120万円までの補償となるため、この金額を超える部分は自賠責保険から支払いを受けることはできません。
7. 被害者請求の手続きのやり方と流れ
被害者請求の手続きの流れは以下のとおりです
7-1. 必要書類の取得などの事前準備
まずは請求のために必要な書類を確認します。自賠責保険の保険会社に連絡すると、申請書式や必要書類の案内など一式を送付してもらえます。必要書類を把握したら、一つずつ取得手続きを進めます。
自己負担した医療機関の治療費の領収書や、通院のために使用したタクシーの領収書なども、治療費や通院交通費の請求の際には必要です。なくさないように保管し、提出できるようにしておいてください。
医療機関に作成を依頼して取り寄せる必要がある診断書、後遺障害診断書、意見書や各種の検査結果などの医療記録なども、早めに医療機関に連絡して作成を依頼しておきましょう。
取得に必要な期間は書類によって異なりますが、2週間程度のものもあれば、1カ月以上かかる書類もあります。なるべく早めの準備を心がけてください。
必要な書類の収集がある程度済んだら、資料を整理して、自賠責保険会社に対して請求する具体的な金額を計算します。
7-2. 加害者側の自賠責保険会社に申請書類を提出
すべての申請書類の準備が完了したら、自賠責保険の保険会社宛に書類一式を送付します。書類の不備や必要な追加書類がある場合には保険会社から連絡が来るため、個別に対応します。
7-3. 損害保険料率算出機構による審査
保険会社が確認した書類一式が、自賠責保険の審査機関である損害保険料率算出機構の調査事務所に送られ、各種の書類や請求内容の審査が行われます。
7-4. 結果通知
損害保険料率算出機構の調査事務所から自賠責保険の保険会社に審査結果が通知され、保険会社から請求者である被害者のもとにも通知されます。
損害保険料率算出機構による審査から結果通知が来るまでは、通常1カ月から2カ月程度かかります。複雑な事案や、医療照会と呼ばれる医学的な調査とそれに基づく審査に時間がかかる事案などでは、結果の通知まで3カ月から6カ月ほどかかることもあります。
7-5. 自賠責保険の保険金の支払い
損害保険料率算出機構からの審査結果に基づき、自賠責保険の保険会社から保険金(賠償金)が支払われます。
保険金は、被害者が申請時に指定した銀行口座に振り込まれます。手続きから保険金の入金までは、早ければ1、2週間程度ですが、場合により1カ月程度かかることもあります。
8. 被害者請求の必要書類
被害者請求の際に、一般的に必要とされる書類は以下のとおりです。
提出書類 | 入手先 (資料自体または 書式の取得先) | 請求内容ごとの必要書類の要否 (◎=提出必須、◯=内容によって要提出) | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
本請求 | 仮渡金請求 | |||||
死亡 | 後遺障害 | 傷害 | 死亡 | 傷害 | ||
自賠責保険金(共済金)、損害賠償額、 仮渡金支払請求書 | 自賠責保険の保険会社 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
交通事故証明書 | 自動車安全運転センター | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
事故発生状況報告書 | 自賠責保険の保険会社 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
医師の診断書 または 死亡検案書(死亡診断書) | 治療を受けた医師 または医療機関 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
診療報酬明細書 | 治療を受けた医師 または医療機関 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
通院交通費明細書 | 自賠責保険の保険会社 | ◯ | ◎ | |||
付添看護自認書 または 看護領収書 | 自賠責保険の保険会社 | ◯ | ◯ | |||
休業損害証明書 ※源泉徴収票添付 (給与所得者) | 事業主 | ◯ | ◯ | ◯ | ||
確定申告書または 課税証明書、納税証明書 (自営業者など) | 課税証明書→市区町村 納税証明書→税務署 | |||||
損害賠償額の受領者が 請求者本人であることの証明 (印鑑証明書) ※未成年者のため親権者が 法定代理人として請求する場合は、 未成年者の住民票または戸籍謄本も必要 | 印鑑登録のある市区町村 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
戸籍謄本 | 本籍のある市区町村 | ◎ | ◎ | |||
後遺障害診断書 | 治療を受けた医師 または医療機関 | ◎ | ||||
X線、CT、MRI画像等 | 治療を受けた医師 または医療機関 | ◯ | ◎ | ◯ | ||
これらは、あくまでも一般的な必要最低限の書類の一覧です。特に後遺障害等級認定申請の場合は、上記以外の書類が必要になる場合も多くあります。
9. 自賠責保険の被害者請求をする際の注意点は?
自賠責保険の被害者請求をする際には、特に以下の4点に注意が必要です。
9-1. 物損事故では被害者請求ができない
自賠責保険は交通事故によりけがをした被害者の救済を目的とした保険です。物的損害(物損)である自動車の修理費用やレッカー代、事故で壊れてしまった物品などの損害は補償されないため、自賠責保険の請求はできません。
9-2. 自賠責保険の保険金は最低限|不足分は任意保険会社などに請求を
自賠責保険はあくまでも、被害者に最低限の補償を提供するものです。そのため、請求額には項目ごとに上限が設定されており、十分な補償とは言えないことがほとんどです。
不足分の賠償金は、加害者本人や加害者が加入している任意保険の保険会社に対し、被害者が請求する必要があります。
9-3. 被害者請求には時効がある
被害者請求には時効があります。時効期間を経過してしまうと被害者請求ができなくなってしまうため、注意が必要です。
請求項目ごとの時効期間は以下のとおりです。
【傷害による損害部分】
事故の発生日の翌日から3年
【後遺障害による損害部分】
症状固定日(これ以上治療を続けても症状の改善が見込めないと医師に診断された日)の翌日から3年
【死亡による損害部分】
死亡日の翌日から3年
ただし加害者が不明の場合は、加害者が判明した時点または上記の各時点のいずれか遅い時点から、時効期間のカウントがスタートします。
9-4. 適正額の保険金を受け取るには、弁護士のサポートを受けるべき
被害者請求では、被害者自ら必要な書類をそろえて準備する必要があります。適切に書類をそろえて提出しないと、実態に合った適正額の保険金を受け取れないおそれもあります。
準備の負担や不安がある場合は、弁護士に依頼して手続きをサポートしてもらうことで、こうした負担や不安を軽減することができます。
10. 被害者請求について弁護士のサポートを受けるメリット
被害者請求では適切な書類や資料の収集が重要で、特に後遺障害等級認定申請の場合、専門的な知識を求められることがあります。
被害者自身がこうした対応を一人で行うことは容易ではありません。弁護士に依頼しサポートを受けることで、主に以下のようなメリットが期待できます。
適切に申請書類を準備してもらえる
書類の作成や準備のための調査、検討などの労力が軽減される
適切な書類を準備することで、保険金の支払いや後遺障害等級の認定を適正に受けられる可能性が高まる
被害者請求後も引き続き、加害者や加害者側の保険会社との示談交渉を任せることができる
後遺障害が残った場合、十分な賠償金を受け取るためには適正な後遺障害等級の認定のほか、加害者側との示談交渉において「弁護士基準(裁判所基準)」で賠償金額を算定・請求することが重要です。賠償金額の算定に用いられる基準は以下の3つです。
・自賠責保険基準:最低限の補償基準。強制保険である自賠責保険に基づく
・任意保険基準:任意保険会社が独自に定める。自賠責保険基準より高いが、弁護士基準より低い
・弁護士基準(裁判所基準):過去の判例に基づく。3つの基準のなかで最も高くなる
示談交渉を弁護士に依頼すれば弁護士基準で算定・請求できるため、賠償金の増額が見込めます。
なお、被害者自身が事故時に加入していた自動車保険などに弁護士費用特約が付帯していた場合は、弁護士費用を負担せずに弁護士に依頼できる場合があります。こうした特約が利用できる場合は、弁護士への依頼を積極的に検討することをお勧めします。
朝日新聞社運営「交通事故の羅針盤」
11. 後遺症と被害者請求に関してよくある質問
Q. 後遺障害等級認定の申請は、事前認定と被害者請求のどちらを選択すべき?
準備の手間がかけられるのであれば、基本的には被害者自らが十分な資料をそろえて申請する被害者請求を行うことをお勧めします。ただし、手間なく早期に示談をまとめたい場合などには、加害者側の保険会社に手続きを任せる事前認定を選択することもあります。
後遺症の症状や程度によっても判断が異なるため、まずは一度弁護士へ相談することをお勧めします。
Q. 損害額が確定していなくても、被害者請求はできる?
事故の損害総額が確定していなくても、すでに確定している分のみを請求することは可能です。ただし、その場合は確定した分をあとから修正することは困難なため注意が必要です。
Q. 被害者請求に失敗しても、もう一度申請できる?
被害者請求に失敗してもう一度申請を検討するのは、後遺障害等級認定で思うような結果が得られなかった場合がほとんどです。
保険会社への異議申立てや再申請自体は何度でも可能ですが、同じ資料で再度申請しても結果は変わらないため、検査結果や医師の意見書などの資料を追加して新たな事情を主張できない限り、結果が変わる可能性はほとんどありません。
また、異議申立ての方法として、公正中立な立場から解決を促進する「自賠責保険・共済紛争処理機構」へ審査を申請する方法もあります。申請できるのは一度限りです。
Q. 被害者請求は司法書士や行政書士にも依頼できる?
被害者請求のための書類作成のサポートは、行政書士にも依頼できます。また、請求金額が140万円以下の自賠責保険金請求やその請求のための相談であれば、認定司法書士という特定の資格をもった司法書士に依頼することが可能です。
ただし、行政書士が対応できるのは被害者請求のための書類作成のサポートのみです。被害者の代理として保険会社とのやりとりや手続きを代理することはできませんし、その後の加害者や保険会社との示談交渉や訴訟(裁判)を引き続き担当することもできません。また、認定司法書士は140万円以下の請求しかできないため、140万円を超える被害者請求は一切行うことができません。
弁護士であればこうした制限は一切なく、被害者請求の手続きと併せてその後の加害者や保険会社との示談交渉や訴訟も取り扱うことができ、最後まで依頼者をサポートすることができます。
12. まとめ 自賠責保険の被害者請求をする際は、まずは弁護士に相談を
被害者請求は自分で書類などを集めて申請する必要があるため、手間はかかりますが、状況によっては積極的に行うべきケースもあります。
ただし、必要書類の準備には専門的な知識や経験などを要することもあります。交通事故でけがを負い、入通院の負担などもあるなかで、被害者請求の準備をするのは難しいと感じるのも無理はありません。
被害者請求を検討し、準備や進め方などについて迷ったら、まずは一度弁護士に相談することをお勧めします。
(記事は2026年4月1日時点の情報に基づいています)
朝日新聞社運営「交通事故の羅針盤」で
交通事故トラブルに強い弁護士を探す