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後遺障害とは?【等級表一覧付き】 後遺症との違い 慰謝料への影響

更新日: / 公開日:
後遺障害が認定されるかどうかで賠償金の額は大きく変わります (c)Getty Images
交通事故で後遺症が残った場合、事故のけがが「後遺障害」として認められるかどうかで、受け取れる賠償金額は大きく変わります。後遺障害は症状の重さに応じて1級から14級までの等級に分類されており、等級が小さく(症状が重く)なるにつれて賠償金額も大きくなる傾向にあります。 後遺障害に応じた適正な等級認定を受けるには、適切な治療や検査を受け、治療を続けてもこれ以上症状が良くならない「症状固定」の診断を受けたのちに、認定基準をふまえた後遺障害診断書を作成してもらったうえで申請する必要があります。申請に必要な書類は多く、専門的で複雑な手続きも必要になるため、交通事故案件に精通した弁護士への依頼がお勧めです。 後遺障害の基本的な知識から等級認定の手続き、適正な認定を受けるためのポイントまで、交通事故の被害者が知っておくべき情報を弁護士が解説します。

目 次

1. 交通事故の後遺障害とは?

2. 交通事故の後遺障害等級一覧表

3. 後遺障害等級が賠償金額に及ぼす影響は甚大

4. 後遺障害等級の認定を受けるまでの手続きの流れ

4-1. 【STEP1】症状固定の診断を受ける

4-2. 【STEP2】医師から後遺障害診断書の交付を受ける

4-3. 【STEP3】後遺障害等級認定を申請する

4-4. 【STEP4】損害保険料率算出機構が審査を行う

4-5. 【STEP5】審査結果が通知される

4-6. 【STEP6】納得できない場合は異議申立てを行う

5. 正しく後遺障害等級を認定してもらうためのポイントは?

5-1. 医師にけがの症状を詳しく伝える

5-2. 適切な頻度で治療を受け、保険会社の「打ち切り」打診に安易に同意しない

5-3. 画像検査などの客観的な検査を受ける

5-4. 認定基準をふまえた後遺障害診断書を作成してもらう

5-5. 被害者請求を選択し、有利な資料を添付する

5-6. 弁護士に依頼する

6. 交通事故でけがをした人が弁護士に相談や依頼をするメリット

7. 後遺障害に関してよくある質問

8. まとめ 後遺障害等級認定で悩みがある場合は弁護士に相談を

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1. 交通事故の後遺障害とは?

「後遺障害」とは、交通事故によるけがの治療を続けても完治せず、将来的にも回復が見込めない症状や障害のうち、「損害保険料率算出機構」から自動車損害賠償保障法施行令(自賠法施行令)が定める後遺障害等級に該当すると認められた障害を指します。

後遺障害は、症状の重さに応じて1級から14級までの等級に分類されています。1級が最も重く、14級が最も軽い症状です。各等級は自賠法施行令の「別表第一」および「別表第二」に規定されており、この等級が後遺障害慰謝料や逸失利益(事故による後遺症がなければ得られていたはずの収入や利益)などの賠償金額を算定する際の基準となります。

2. 交通事故の後遺障害等級一覧表

自賠法施行令の「別表第一」および「別表第二」に規定されている後遺障害を表にまとめると、以下のとおりになります。

【別表第一(介護を要する場合の後遺障害等級表)】

等級

介護を要する後遺障害

1級

  1. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

2級

  1. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

【別表第二(介護を要さない場合の後遺障害等級表)】

等級

後遺障害

1級

  1. 両眼が失明したもの

  2. 咀嚼(そしゃく)および言語の機能を廃したもの

  3. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの

  4. 両上肢の用を全廃したもの(すべての機能を失ったもの)

  5. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの

  6. 両下肢の用を全廃したもの

2級

  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの

  2. 両眼の視力が0.02以下になったもの

  3. 両上肢を手関節以上で失ったもの

  4. 両下肢を足関節以上で失ったもの

3級

  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの

  2. 咀嚼または言語の機能を廃したもの

  3. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

  5. 両手の手指の全部を失ったもの

4級

  1. 両眼の視力が0.06以下になったもの

  2. 咀嚼および言語の機能に著しい障害を残すもの

  3. 両耳の聴力を全く失ったもの

  4. 1上肢をひじ関節以上で失ったもの

  5. 1下肢をひざ関節以上で失ったもの

  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの

  7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの

5級

  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの

  2. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

  4. 1上肢を手関節以上で失ったもの

  5. 1下肢を足関節以上で失ったもの

  6. 1上肢の用を全廃したもの

  7. 1下肢の用を全廃したもの

  8. 両足の足指の全部を失ったもの

6級

  1. 両眼の視力が0.1以下になったもの

  2. 咀嚼または言語の機能に著しい障害を残すもの

  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

  4. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

  5. 脊柱に著しい変形または運動障害を残すもの

  6. 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

  7. 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

  8. 1手の5の手指または親指を含み4の手指を失ったもの

7級

  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの

  2. 両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

  3. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

  4. 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

  6. 1手の親指を含み3の手指を失ったものまたは親指以外の4の手指を失ったもの

  7. 1手の5の手指または親指を含み4の手指の用を廃したもの

  8. 1足をリスフラン関節以上で失ったもの

  9. 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

  10. 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの

  12. 外貌に著しい醜状を残すもの

  13. 両側の睾丸を失ったもの

8級

  1. 1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になったもの

  2. 脊柱に運動障害を残すもの

  3. 1手の親指を含み2の手指を失ったもの、または親指以外の3の手指を失ったもの

  4. 1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの、または親指以外の4の手指の用を廃したもの

  5. 1下肢を5cm以上短縮したもの

  6. 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

  7. 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

  8. 1上肢に偽関節を残すもの

  9. 1下肢に偽関節を残すもの

  10. 1足の足指の全部を失ったもの

9級

  1. 両眼の視力が0.6以下になったもの

  2. 1眼の視力が0.06以下になったもの

  3. 両眼に半盲症、視野狭窄(きょうさく)または視野変状を残すもの

  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

  6. 咀嚼および言語の機能に障害を残すもの

  7. 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

  8. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、
    他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

  9. 1耳の聴力を全く失ったもの

  10. 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

  12. 1手の親指または親指以外の2の手指を失ったもの

  13. 1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの、または親指以外の3の手指の用を廃したもの

  14. 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの

  15. 1足の足指の全部の用を廃したもの

  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの

  17. 生殖器に著しい障害を残すもの

10級

  1. 1眼の視力が0.1以下になったもの

  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの

  3. 咀嚼または言語の機能に障害を残すもの

  4. 14歯以上に対し歯科補綴(ほてつ)を加えたもの

  5. 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

  6. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

  7. 1手の親指または親指以外の2の手指の用を廃したもの

  8. 1下肢を3cm以上短縮したもの

  9. 1足の第1の足指または他の4の足指を失ったもの

  10. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

  11. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

11級

  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの

  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

  3. 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

  4. 10歯以上に対し歯科補綴(ほてつ)を加えたもの

  5. 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

  6. 1耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

  7. 脊柱に変形を残すもの

  8. 1手の人差し指、中指または薬指を失ったもの

  9. 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの

  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

12級

  1. 1眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの

  2. 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

  3. 7歯以上に対し歯科補綴(ほてつ)を加えたもの

  4. 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの

  5. 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの

  6. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

  7. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

  8. 長管骨に変形を残すもの

  9. 1手の小指を失ったもの

  10. 1手の人差し指、中指または薬指の用を廃したもの

  11. 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったものまたは第3の足指以下の3の足指を失ったもの

  12. 1足の第1の足指または他の4の足指の用を廃したもの

  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの

  14. 外貌に醜状を残すもの

13級

  1. 1眼の視力が0.6以下になったもの

  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

  3. 1眼に半盲症、視野狭窄(きょうさく)または視野変状を残すもの

  4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの

  5. 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

  6. 1手の小指の用を廃したもの

  7. 1手の親指の指骨の一部を失ったもの

  8. 1下肢を1cm以上短縮したもの

  9. 1足の第3の足指以下の1または2の足指を失ったもの

  10. 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの、
    または第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの

  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

14級

  1. 1眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの

  2. 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

  3. 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

  6. 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

  7. 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

  8. 1足の第3の足指以下の1、または2の足指の用を廃したもの

  9. 局部に神経症状を残すもの

交通事故の後遺障害のなかで特に多いのは、追突事故などで首や腰に強い衝撃を受けて頸椎(けいつい)や腰椎(ようつい)のねん挫を発症する「むち打ち」のケースで、患部に痛みやしびれ、可動域制限などの症状が残ります。この場合、14級9号「局部に神経症状を残すもの」または12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」に認定される可能性があります。

異なる部位、異なる系列の後遺障害が複数ある場合は、重いほうの後遺障害等級を繰り上げて等級を認定する場合があります。これを「併合」と言います。13級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは重い(数字が小さい)ほうの後遺障害を1級繰り上げます。たとえば、10級と12級の後遺障害があるとき、この条件を満たすため併合のルールが適用され、10級を1級繰り上げるため、9級の補償を受けることができます。8級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは重いほうの後遺障害の等級を2級繰り上げ、5級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは重いほうの後遺障害の等級を3級繰り上げます。

また、上記の後遺障害等級表にそのまま該当する障害がない場合でも、程度の近い等級を当てはめて認定することがあります。これを「相当(準用)」と言います。さらに、すでに後遺障害がある人が、新たに同一部位について後遺障害の程度を加重した場合は、加重後の等級に対応する保険金額からすでに認定された後遺障害の等級を差し引いた金額が支払われます。

3. 後遺障害等級が賠償金額に及ぼす影響は甚大

後遺障害等級の認定を受けるかどうか、どの等級の認定を受けるかによって、受け取る賠償金の額は大きく変わります。

後遺障害が認定されると、精神的苦痛を賠償する「後遺障害慰謝料」と、後遺障害によって将来得られなくなる収入を補償する「逸失利益」を請求できるようになります。これらの金額は後遺障害等級によって決まるため、適切な等級認定を受けられるかどうかがきわめて重要です。

また、慰謝料の算定には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判所基準)の3つの基準があり、どの基準で算定するかによって慰謝料の金額は大きく変わります。

自賠責保険基準は、最低限の補償を目的とした自賠責保険の基準で、最も低額となります。任意保険基準は、各保険会社が独自に定める基準で、自賠責保険基準よりやや高額になる傾向がありますが、弁護士基準よりも低額になるのが一般的です。

弁護士基準は、過去の裁判例をもとにした基準で、最も高額な算定方法です。

後遺障害慰謝料の等級ごとの自賠責保険基準と弁護士基準は以下の表のとおりです。なお、任意保険基準は一般には公開されていません。

【自賠責保険基準と弁護士基準(裁判所基準)による後遺障害慰謝料の金額表】

後遺障害等級

自賠責保険基準

弁護士基準(裁判所基準)

1級

1150万円

2800万円

2級

998万円

2370万円

3級

861万円

1990万円

4級

737万円

1670万円

5級

618万円

1400万円

6級

512万円

1180万円

7級

419万円

1000万円

8級

331万円

830万円

9級

249万円

690万円

10級

190万円

550万円

11級

136万円

420万円

12級

94万円

290万円

13級

57万円

180万円

14級

32万円

110万円

たとえば、14級の後遺障害慰謝料は自賠責保険基準では32万円ですが、弁護士基準では110万円程度となり、3倍以上の差があります。12級では自賠責保険基準が94万円であるのに対し、弁護士基準では290万円程度となります。

自賠責保険基準と弁護士基準では受け取れる後遺障害慰謝料の金額に大きな差が生じるため、適正な賠償を受けるためには、弁護士基準での請求を検討すべきです。弁護士に依頼すれば、保険会社との交渉を有利に進め、弁護士基準で算定した適正な賠償額を獲得できる可能性が高まります

4. 後遺障害等級の認定を受けるまでの手続きの流れ

後遺障害等級認定を受けるまでの手続きは、事故発生後、以下の6つのステップに分かれています。

後遺障害が認定されるまでの流れを図解。認定された結果に納得ができない場合は、異議申立てができる
後遺障害が認定されるまでの流れを図解。認定された結果に納得ができない場合は、異議申立てができる

4-1. 【STEP1】症状固定の診断を受ける

「症状固定」とは、治療を続けてもこれ以上症状の改善が見込めない状態を意味します。医師が症状固定と診断した時点で治療期間が終了し、後遺障害等級認定の手続きを開始できます。

症状固定の時期は、医師が医学的見地から判断します。治療費を負担している相手の保険会社から治療費の支払い打ち切りを打診されても、医師が治療継続の必要性を認めている場合は、安易に同意すべきではありません。適切な治療期間の確保が、後遺障害認定においても重要です。

4-2. 【STEP2】医師から後遺障害診断書の交付を受ける

症状固定後、主治医に後遺障害診断書の作成を依頼します。この診断書は、後遺障害等級認定の審査において最も重要な資料です。

診断書の記載内容が審査結果を大きく左右するため、残っている自覚症状を具体的かつ詳細に医師に伝える必要があります。痛みの部位、程度、頻度、しびれの範囲、日常生活への支障など、できる限り正確に説明して記載してもらいましょう

4-3. 【STEP3】後遺障害等級認定を申請する

後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります。

「事前認定」は、相手の任意保険会社を通じて申請する方法です。被害者は後遺障害診断書を保険会社に提出するだけで、その後の手続きは加害者側の保険会社が行います。手続きの負担は少ないものの、どのような資料が提出されているか被害者側で把握できず、有利な資料の追加が困難というデメリットがあります。

「被害者請求」は、被害者自身が直接、相手方の自賠責保険会社に申請する方法です。手続きには手間がかかりますが、被害者側で提出する資料の選択や管理ができ、医師の意見書や追加の検査結果など、認定に有利な資料を添付できます。適正な等級認定を受けるためには「被害者請求」の選択が望ましいです。

「被害者請求」の場合は、後遺障害診断書、交通事故証明書、診療報酬明細書、レントゲン、MRI、CTなどの画像資料、事故発生状況報告書、その他症状を裏づける資料などの書類が必要です。

4-4. 【STEP4】損害保険料率算出機構が審査を行う

提出された書類は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所に送られ、審査が行われます。

審査では、後遺障害診断書の記載内容、画像所見、治療経過、事故状況などが総合的に検討されます。症状の一貫性、連続性、医学的根拠の有無などが重視され、これらの要素が後遺障害等級の認定基準に該当するか判断されます。

4-5. 【STEP5】審査結果が通知される

審査が完了すると、通常、申請から1カ月〜2カ月程度で結果が通知されます。認定された等級、または等級が認定されない「非該当」となった旨が記載された通知書が届きます。

等級が認定された場合、その等級に応じた自賠責保険金が支払われます。ただし、自賠責保険基準での支払いとなるため、弁護士基準との差額については、別途、事故の相手方との示談交渉や訴訟で請求する必要があります。

4-6. 【STEP6】納得できない場合は異議申立てを行う

審査結果に納得できない場合、以下の方法で不服を申し立てることができます。いずれの手続きも専門的な知識が必要なため、弁護士に相談することをお勧めします。

  • 異議申立て

  • 自賠責保険・共済紛争処理機構への申立て

  • 訴訟提起

【異議申立て】
異議申立ては、損害保険料率算出機構に対して再度の審査を求める手続きです。新たな医学的証拠や詳細な意見書を添付すれば、認定結果が覆る可能性があります。異議申立ては何度でも可能ですが、同じ資料では結果は変わらないため、新しい証拠の準備が重要です。

【自賠責保険・共済紛争処理機構への申立て】
自賠責保険・共済紛争処理機構」への申立ては、公正中立な第三者機関による調停を求める手続きです。異議申立ては異なる機関が審査するため、別の視点からの判断が期待できます。

【訴訟提起】
訴訟提起は、裁判所に訴えを起こし、司法の判断を求める方法です。時間と費用はかかるものの、事故状況や症状について詳細な主張や立証ができ、等級認定を覆せる可能性があります。

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5. 正しく後遺障害等級を認定してもらうためのポイントは?

適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、主に以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 医師にけがの症状を詳しく伝える

  • 適切な頻度で治療を受け、保険会社の「打ち切り」打診に安易に同意しない

  • 画像検査などの客観的な検査を受ける

  • 認定基準をふまえた後遺障害診断書を作成してもらう

  • 被害者請求を選択し、有利な資料を添付する

  • 弁護士に依頼する

5-1. 医師にけがの症状を詳しく伝える

後遺障害認定では、症状の一貫性と連続性が重視されます。事故直後から症状固定まで、一貫して同じ症状を訴えている点、治療を継続的に受けている点が重要です。

診察の際には、痛みやしびれの部位、程度、どのような動作で症状が出るかなど、具体的に医師に伝えましょう。単に「首が痛い」と伝えるだけではなく「首の左側が、頭を右に傾けると鋭い痛みが走り、日常生活では洗濯物を干す動作が困難」といった具体的な説明が有効です。あいまいな表現をする、診察のたびに訴える症状が変わるなどの場合には、症状の信憑性が疑われる可能性があります。

5-2. 適切な頻度で治療を受け、保険会社の「打ち切り」打診に安易に同意しない

治療の継続も、正しい後遺障害等級認定のためには重要な要素です。通院頻度が極端に少ない場合や、長期間の通院中断がある場合には「症状は軽微である」「すでに治癒している」と判断されるリスクがあります。医師の指示に従い、適切な頻度で通院を続けてください。むち打ちの場合は、一般的には週に2回から3回程度の通院が望ましいとされています。

また、事故から一定期間が経過すると、相手の保険会社から治療費の支払い打ち切りを打診される場合があります。しかし、医師が治療継続の必要性を認めているにもかかわらず治療を中止すると、症状固定時期が不適切となり、後遺障害認定に悪影響を及ぼす可能性があります。

打ち切りの打診があった場合は即答せず、まず医師に相談し、必要に応じて弁護士にも相談して指示を仰ぐようにしてください。

5-3. 画像検査などの客観的な検査を受ける

後遺障害認定では、自覚症状を申告するだけでなく、その自覚症状の医学的な証明が求められます。

MRI、レントゲン、CTなどの画像検査や、神経学的検査などの客観的な検査を受け、その結果を記録に残すようにしてください。

5-4. 認定基準をふまえた後遺障害診断書を作成してもらう

後遺障害診断書は、審査において最も重要な資料です。そのため、適切な後遺障害等級認定には、認定基準をふまえた後遺障害診断書の準備が不可欠です。

ただし、すべての医師が後遺障害認定基準に精通しているわけではありません。専門家である弁護士に相談したうえで、必要な検査や記載内容を医師とすり合わせることが大切です。

5-5. 被害者請求を選択し、有利な資料を添付する

後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」があります。「事前認定」は、手続きの負担は少ないものの、どのような資料が提出されているか被害者側で把握できず、有利な資料の追加が困難というデメリットがあります。

そのため、被害者側で提出する資料の選択や管理ができ、医師の意見書や追加の検査結果など、認定に有利な資料を添付できる「被害者請求」が望ましいです。

5-6. 弁護士に依頼する

後遺障害等級認定は、医学的知識と法律的知識の両方が必要となる専門的な手続きです。そのため、交通事故案件や後遺障害認定の経験が豊富な弁護士に依頼をすれば、正しく後遺障害等級を認定してもらいやすくなります。

6. 交通事故でけがをした人が弁護士に相談や依頼をするメリット

交通事故でけがをした場合、早期に弁護士への相談や依頼をすれば、特に以下のようなメリットが得られます。

  • 治療費の支払い打ち切りへの対応

  • 後遺障害等級認定の適切なサポート

  • 弁護士基準(裁判所基準)での賠償金請求

  • 示談交渉や裁判手続きの代行

【治療費の支払い打ち切りへの対応】
保険会社から治療費の支払い打ち切りを打診された場合、弁護士が医学的根拠に基づいて交渉し、適切な治療期間を確保できます。

【後遺障害等級認定の適切なサポート】
専門的知識や経験に基づいて、診断書の記載内容の確認、被害者請求の手続き、有利な資料の収集など、適正な等級認定を受けるための適切なサポートを受けられます。

【弁護士基準(裁判所基準)での賠償金請求】
弁護士が代理人として交渉すれば、自賠責保険基準や任意保険基準ではなく、最も高額な弁護士基準(裁判所基準)での賠償金を請求できます。

交通事故の損害額を算定する際の3つの基準の図解。弁護士に示談交渉を依頼すれば賠償金の増額が期待できる
交通事故の損害額を算定する際の3つの基準の図解。弁護士に示談交渉を依頼すれば賠償金の増額が期待できる

【示談交渉や裁判手続きの代行】
保険会社との複雑な交渉や、訴訟手続きを弁護士に一任すれば、精神的、時間的な負担が大幅に軽減されます。

なお、弁護士に依頼するにあたっては弁護士費用がかかりますが、自身や家族の自動車保険に弁護士特約が付帯されていれば、通常300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれます。特約を使っても保険料は上がりません。実質的な自己負担なしで弁護士に依頼できるケースが多くなるので、弁護士特約の有無を確認しておきましょう。

7. 後遺障害に関してよくある質問

Q. むち打ちの後遺症について後遺障害等級の認定を申請する場合、どんな検査が必要?

頚椎ねん挫や腰椎ねん挫などのむち打ちで後遺障害等級の認定を受けるためには、以下のような検査が重要です。

【画像検査】
MRI検査:椎間板ヘルニアや神経根の圧迫など、軟部組織の異常を確認
レントゲン検査:骨の変形や椎間板の狭小化を確認
CT検査:骨の状態をより詳細に確認

【神経学的検査】
スパーリングテスト:首を傾けて神経症状を確認
ジャクソンテスト:首を後方に反らせて神経症状を確認
深部腱反射検査:神経の機能を確認
筋力検査:筋力低下の有無を確認
知覚検査:しびれや感覚異常の範囲を確認

特に12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」の認定を受けるには、MRIなどの画像検査で神経根の圧迫などの他覚的所見が確認できるかどうかが重要になります。

14級9号「局部に神経症状を残すもの」の場合は、画像所見が十分でない場合でも、神経学的検査で一貫した異常所見があり、症状が医学的に説明できれば認定される可能性があります。

Q. 後遺障害等級認定の異議申立ては、何回でもできる?

異議申立ては、法律上、回数制限はなく、何度でも申立てができます。ただし、同じ資料を用いて繰り返し申し立てても、結果が変わる可能性は低いです。

異議申立てが認められるためには、初回の審査で提出しなかった新たな医学的証拠や詳細な意見書の追加が重要になります。

8. まとめ 後遺障害等級認定で悩みがある場合は弁護士に相談を

交通事故で後遺症が残った場合、適正な賠償を受けるためには後遺障害等級の認定が重要です。後遺障害として認定されるかどうか、何級に認定されるかによって、受け取れる賠償額は大きく変わります。

適正な等級認定を受けるためには、診察の際に症状を医師に正確に伝える、適切な頻度で通院する、客観的な検査を受ける、認定基準を踏まえた後遺障害診断書を作成してもらう、被害者請求を選択するなど、いくつかの重要なポイントがあります。

これらの手続きは専門的で複雑なため、交通事故案件に精通した弁護士への早期の相談をお勧めします。弁護士のサポートを受ければ、適正な等級認定と賠償金の獲得につながるでしょう。

(記事は2026年4月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

森本禎(弁護士)

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弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所 弁護士
大阪弁護士会所属。登録番号55349。債務整理、交通事故を主軸とし、一般民事事件を幅広く取り扱っている。交通事故案件では、被害者側・加害者側いずれからの依頼にも対応している。被害者側では適正な損害賠償の獲得を、加害者側では刑事処分や民事賠償への適切な対応を通じて、依頼者の精神的・経済的負担を軽減できるよう努めている。保険会社や相手方との示談交渉では、相手の主張をふまえつつも依頼者の事情や思いを丁寧にくみ取り、納得のいく解決に至るまで粘り強く交渉している。趣味は、食べ歩き。
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