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1. 後遺障害等級とは? 後遺症との違いについて
けがの治療を続けたものの、それ以上よくも悪くもならない状態(症状固定)になったときに残った症状を「後遺症」と言います。「後遺症」と「後遺障害」は、一般的には区別せずに使われるケースが多いですが、自賠責保険の支払い手続きにおいては違いがあります。
自賠責保険における「後遺障害」とは、後遺症が残り、自賠法施行令が定める後遺障害に該当すると認められた障害を指します。つまり、単に後遺症が残っただけでなく、それが自賠法施行令の定める障害の程度に達しており、「後遺障害」に該当すると認定される必要があります。
自賠責保険の後遺障害は、介護を要する後遺障害とそれ以外の後遺障害に分けられ、それぞれ自賠法施行令の別表に定める等級に応じて保険金額が定められています。この等級を「後遺障害等級」と言い、要介護1級および2級、そして介護の必要のない1級から14級までの、合計16段階に分けられています。
後遺障害等級は、治療を行った医師などではなく、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が認定します。
2. 後遺障害等級が交通事故の賠償金額に及ぼす影響は?
後遺障害の認定を受けた場合、等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益(交通事故に遭わなければ本来得られていたはずの収入)を請求できる可能性があります。これらの金額は、認定される等級によって大きく変わります。
2-1. 後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」という3つの基準があります。
自賠責保険基準とは、加入が義務づけられている自賠責保険において最低限の補償を目的とした支払い基準です。任意保険基準とは、一般には公開されていない任意保険会社が独自に設けている支払い基準です。
一方、弁護士基準とは過去の裁判例に準じた支払い基準で、裁判時や弁護士が代理人として交渉する際に通常使用されています。一般的には、自賠責保険基準→任意保険基準→弁護士基準の順に高額になります。
自賠責保険基準と弁護士基準による後遺障害慰謝料は以下のとおりです。
後遺障害等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
要介護1級 | 1650万円 | 2800万円 |
要介護2級 | 1203万円 | 2370万円 |
1級 | 1150万円 | 2800万円 |
2級 | 998万円 | 2370万円 |
3級 | 861万円 | 1990万円 |
4級 | 737万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
10級 | 190万円 | 550万円 |
11級 | 136万円 | 420万円 |
12級 | 94万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
2-2. 逸失利益
後遺障害が残ると、痛みや症状によってそれまでに従事していた仕事が十分にできなくなり、収入が減る場合があります。
将来にわたって得られるはずだったにもかかわらず、後遺障害があるために失ってしまった利益を「逸失利益」と呼びます。
逸失利益は、次の計算方法で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除率(ライプニッツ係数)
「中間利息控除率(ライプニッツ係数)」とは、中間利息の控除をするための係数を指します。交通事故の被害に対する賠償金は、原則として一括で支払われます。将来払われるべき収入額を先に一括で受領した場合、運用利益分のもらい過ぎが生じます。この運用利益を「中間利息」と言い、もらい過ぎになる中間利息の控除を計算する際に「中間利息控除率(ライプニッツ係数)」を用います。
なお、労働能力喪失率や、中間利息控除率算定の前提となる労働能力の喪失期間は、後遺障害等級によって変わります。
2-3. 計算例
たとえば、年収500万円の35歳会社員男性にむち打ちの神経障害が残った場合、認定される後遺障害等級が14級9号か12級13号かで以下のように大きな違いが出ます。
【14級9号の場合】
「2-1. 後遺障害慰謝料」の表を見ると、弁護士基準における14級の後遺障害慰謝料は110万円です。
また、14級9号の場合の労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間は多くの裁判例で5年程度とされています。したがって、逸失利益は「500万円×5%×4.5797(労働能力喪失期間5年の場合の中間利息控除率)=114万4925円」となります。
【12級13号の場合】
「2-1. 後遺障害慰謝料」の表を見ると、弁護士基準における12級の後遺障害慰謝料は290万円です。
また、12級13号の場合の労働能力喪失率は14%、労働能力喪失期間は多くの裁判例で5年〜10年程度とされています。労働能力喪失期間を10年で計算した場合の逸失利益は、「500万円×14%×8.5302(労働能力喪失期間10年の場合の中間利息控除率)」=597万1140円となります。
3. 後遺障害認定の申請方法|事前認定と被害者請求、どちらを選ぶべき?
後遺障害の申請方法には、「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。
3-1. 加害者側の保険会社に任せる「事前認定」
「事前認定」は、後遺障害の診断書を加害者の保険会社に提出し、相手の保険会社が医療機関からの画像や書類の収集など、必要な手続きを行う方法です。
被害者にとっては負担の少ない方法ですが、被害者や弁護士は提出する資料を確認できません。
また、等級認定上必要とされる検査結果が提出されていなかったり、後遺障害診断書への記載が不十分だったりするなど、申請時に適切な医療情報が申告されず、実態に合った等級に認定されない可能性があります。
さらに、任意保険会社の担当者が適正な等級認定がされるよう積極的にアドバイスしてくれたり、書類の不備や検査の不足を指摘してくれたりするケースはほとんどありません。
3-2. 【お勧め】被害者側が主体的に進める「被害者請求」
「被害者請求」は、被害者自身が資料を集めて申請する方法です。手続きに手間がかかり、医療情報の入手が実費にはなりますが、提出する資料を被害者や弁護士が確認し、書類を万全にしてから申請できるため、納得のいく結果が得られる可能性が高いと言えます。
また、被害者請求の場合、相手の保険会社との示談成立を待たずに、認定された等級に応じた自賠責保険の限度額の範囲内で先払い金や仮渡金を受け取れる点も大きなメリットです。
手続きの手間については、弁護士に依頼すれば大幅に軽減されます。
4. 後遺障害等級が認定されるまでの流れ
後遺障害等級が認定されるまでの主な流れは以下のようになります。
4-1. 【STEP1】医師の指示に従って通院し、症状固定の診断を受ける
交通事故によってけがを負った場合、必ず医師の指示に従って通院してください。自分だけの判断で通院をやめてはいけません。
治療を継続してもこれ以上症状が改善しない状態になると、医師が「症状固定」の診断を下します。
4-2. 【STEP2】医師から後遺障害診断書の交付を受ける
症状固定となったら、医師に後遺障害診断書を交付してもらう必要があります。診断書は、後遺障害等級認定の審査において重視されます。
そのため、事前に弁護士と相談し、医師に認定基準に沿った記載を求めるのが望ましいです。
4-3. 【STEP3】後遺障害等級認定を申請する
後遺障害の申請方法には、加害者側の保険会社が手続きを進める「事前認定」と、被害者自身が資料を集めて申請する「被害者請求」の2通りがあります。それぞれの場合で必要な書類は以下のとおりです。
【事前認定の必要書類】
後遺障害診断書を加害者側の保険会社に提出するのみです。
【被害者請求の必要書類】
事案により必要な書類は異なりますが、基本的には以下の書類の原本を加害者側の自賠責保険会社に提出します。
保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書
交通事故証明書(人身事故)
事故発生状況報告書
医師の診断書
診療報酬明細書
休業損害証明書または確定申告書(控え)など
請求者の印鑑証明
委任状および委任者の印鑑証明(第三者に委任する場合)
後遺障害診断書
レントゲン写真 など
4-4. 【STEP4】損害保険料率算出機構が審査を行う
加害者側の保険会社は、請求書類を損害保険料率算出機構へ送付します。損害保険料率算出機構では、申請書類をもとに認定基準に沿った審査が行われます。後遺障害の数や程度、種類によっては、審査にあたって以下のルールが適用されます。
【併合】
等級認定の基準となる10カ所の体の部位、さらに機能ごとに分けた35系列のなかから、系列の違う障害が2つ以上ある場合、原則として重いほうの等級にまとめる「併合」という手続きを行います。ただし、併合による等級の繰り上げについては、さまざまな例外やルールがあります。
【加重】
「加重」とは、すでに障害を持つ人が、交通事故で障害の程度が重くなった場合を言います。このときの賠償の対象は、「事故後の等級に対応する金額-事故前の等級に対応する金額」となります。
【相当(準用)】
「相当」とは耳鳴りや味覚障害など、障害等級表に載っていない障害について、障害の内容などから等級を定める手続きを指します。「準用」とも言います。
4-5. 【STEP5】認定結果が通知される
損害保険料率算出機構から申請者に対し、一般的には郵送によって認定結果の通知が届きます。
4-6. 【STEP6】納得できない場合は異議申立てを行う
認定された結果に納得ができない場合は、その結果についての異議申立てができます。
異議申立てにあたっては、後遺障害が残っていることを立証するため、新たに医学的な資料などを提出する必要があります。
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5. 後遺障害が認定されるまでの期間は?
後遺障害等級認定の申請から結果の通知までには、平均で1カ月半から2カ月程度かかります。1カ月程度で結果が出るケースもありますが、内容によっては3カ月から4カ月かかる場合もあります。
交通事故の被害に遭うと、後遺障害等級認定を申請している間も経済的な不安がつきまとうでしょう。そのような場合には自賠責保険の「仮渡金」という制度を利用できます。
仮渡金制度とは、交通事故の被害者が喫緊に必要とする出費に対し、すみやかに保険金を支払う制度です。
被害者が死亡した場合は290万円が支払われ、被害者が負傷している場合は、程度に応じて5万円、20万円、40万円など一定の金額を受け取れます。
仮渡金を利用するためには、加害者の加入する自賠責保険会社に対し、支払請求書、交通事故証明書、事故発生状況報告書、医師の診断書、印鑑証明など、必要な書類をそろえて請求します。
なお、仮渡金は示談金の「先払い」であるため、最終的な示談金が仮渡金を上回った場合には差額を受け取れる一方で、下回った際には差額を返還する必要があります。
6. 正しい後遺障害等級を認定してもらうためのポイント
後遺障害等級を正しく認定してもらうためには、以下のポイントに留意する必要があります。
自覚症状を詳しく医師に伝える
医師の指示に従って通院を続ける
被害者請求に必要な書類を準備し、後遺障害診断書の記載内容をチェックする
弁護士に依頼する
6-1. 自覚症状を詳しく医師に伝える
等級認定は、原則として書面審査で行われます。そのため「検査が実施されていなかった」「必要な資料を提出していなかった」といった理由で適切な認定がなされない可能性もあります。
自覚症状を医師に伝える際には、きわめて細かい部分まで詳しく伝え、適切な検査を提案してもらうようにしてください。自覚症状は本人にしかわからないため、痛みの強さや位置、症状が現れる時間や頻度、日常生活への影響などについて、医師に正確に伝えることが大切です。
なお、事故直後から自覚症状が継続している、常に痛みがあって動いたときに痛みが増強するなど、一貫性や連続性を意識して伝えるとよりよいでしょう。特に、むち打ちの場合などは、後遺障害として認定されないケースもありますが、適切な検査が実施されれば、14級9号の認定を受けやすくなります。
また、明らかな外傷が見えない後遺症においては、後遺障害診断書に「自覚症状」が記載されているかどうかが、等級認定を得られるかどうかの大きなポイントとなります。
6-2. 医師の指示に従って通院を続ける
仕事などがあると通院は大変かもしれません。しかし、医師の指示に従って通院を続けましょう。自分の判断で通院をやめるのは禁物です。
途中で治療をやめてしまうと、事故と後遺症の因果関係を証明しにくくなるなど、後遺障害の等級認定に関して不利益に働くおそれがあります。医師の指示に従い、症状固定の診断を受けるまで通院を続けてください。
6-3. 被害者請求に必要な書類を準備し、後遺障害診断書の記載内容をチェックする
後遺障害等級の審査は申請書類に基づいて行われるため書類はどれも重要ですが、なかでも後遺障害診断書は等級認定に大きな影響を与える最も重要な書類です。
後遺障害診断書に認定基準をふまえた記載がされているかどうか、申請の前に必ず確認しましょう。可能であれば、経験豊富な弁護士に事前のチェックを依頼するのが望ましいです。
6-4. 弁護士に依頼する
被害者請求を行う場合、必要書類が多岐にわたるため、資料の収集は手間がかかります。また、事案によって必要な書類も異なるため、すべてを自力で行おうとすると負担が大きく、書類の漏れや不備も起こりやすくなります。
弁護士に依頼すれば、手間のかかる被害者請求の手続きを代行してもらえ、必要な書類を整えて万全な状態での申請が可能になります。
さらに、交通事故事案の経験が豊富な弁護士は、適正な等級認定を得るためのポイントを心得ています。後遺障害診断書の的確な記載方法を事前にチェックし、認定に大きな影響を与える後遺障害診断書を作成する際の不備を防いでくれるでしょう。
7. 後遺障害等級が認定されず「非該当」になるケース
後遺障害が認定されない理由としては、以下のような事情が考えられます。
通院日数が少ない、または治療期間が短い
症状の訴えに一貫性がない
事故の状態と症状に整合性がない
必要な検査を受けていない
後遺障害診断書の内容が不十分
7-1. 通院日数が少ない、または治療期間が短い
たとえば、むち打ちなどで後遺障害が認定されるためには、半年以上の治療期間が必要とされています。
保険会社から治療費の打ち切りの連絡があった時点で治療期間が半年に満たない場合には、保険会社に治療期間の延長交渉を行うなどして、半年を超えるまで通院することが有効です。
7-2. 症状の訴えに一貫性がない
症状の訴えに一貫性がないと、その症状が事故によるものかがわからず、後遺障害が認定される可能性が低くなります。
これを避けるためには、初診時から同じ症状が継続している旨がカルテに記載されている必要があります。
7-3. 事故の状態と症状に整合性がない
たとえば、車のドア同士の接触事故など、一般的に衝撃の小さい種類の事故でむち打ちの症状を訴えている場合は、その症状が事故によって生じたものか判断できないとされて、後遺障害が認定される可能性が低くなります。
衝撃の小さい種類の事故でも、体に強い衝撃を受けたのであれば、物損資料や刑事記録といった、強い衝撃を受けたとわかる資料を添付するなどの工夫が必要です。
7-4. 必要な検査を受けていない
客観的な異常所見がない場合、痛みの残存が医学的に判明しないため、後遺障害として認められない可能性があります。
MRI検査などの必要な検査を実施し、客観的な証拠を提出する必要があります。
7-5. 後遺障害診断書の内容が不十分
後遺障害診断書には、「自覚症状欄」「医学的所見欄」「予後欄」など、医師が書くべき事項が多くあります。
これらの記載内容に欠損や不備があると、後遺障害が非該当になる可能性があります。
8. 適切な後遺障害等級が認定されない場合の対処法
後遺障害が認定されなかったとしても、適切な対処によって結果を覆せる可能性があります。結果に納得ができない場合には、以下の対処法を検討しましょう。
異議申立て
第三者機関による紛争処理制度
損害賠償請求訴訟
一般的にハードルは高いですが、特に異議申立てについては、弁護士を通して医療従事者の適切な意見書を提出すれば結果が変わるケースがあります。ぜひ専門的な弁護士への相談をお勧めします。
8-1. 異議申立て
損害保険料率算出機構に対して再度の審査を求める手続きです。
手続きの回数や期間に制限は設けられていないため、何度でも申立ては可能ですが、新たな事情や客観的な新証拠を提出できないのであれば、結論が変更される可能性は低いです。
ただし、MRI検査などの画像所見を新たに提出できたり、医師の診断書の記載が不十分だった点を書き直してもらえたりした場合は、結果が変わる可能性があります。
8-2. 第三者機関による紛争処理制度
異議申立てをしても結論を覆せなかった場合には、「自賠責保険・共済紛争処理機構」の紛争処理制度の利用も可能です。
これは、弁護士、医師、学識経験者などの専門家である紛争処理委員が、中立的な立場から自賠責保険会社による後遺障害等級認定の妥当性を審査する制度で、申立ては無料でできます。
紛争処理制度は、異議申立てよりも専門的な観点からの判断に期待できるものの、一度しか申請できない点に注意が必要です。
8-3. 損害賠償請求訴訟
損害賠償請求訴訟は、裁判所に訴訟提起し、裁判官に後遺障害の有無を判断してもらう方法です。裁判所は独自に被害者の損害額を判断するため、認定された後遺障害等級の相場よりも多額の損害が認定される余地があります。
裁判では、カルテなどの医療記録や医師の意見書などが提出され、法的知識と専門医学的な知識の両方が必要になる場合があります。そのため、交通事故事案の経験が豊富な弁護士への依頼が有益です。
9. 交通事故の後遺障害等級認定について弁護士に相談や依頼をするメリット
適正な後遺障害認定を受けるために交通事故事案の経験豊富な弁護士に相談や依頼をすると、以下のようなメリットがあります。
後遺障害等級認定の申請をサポートしてもらえる
後遺障害等級の認定結果に納得できない場合の対応についてサポートを受けられる
弁護士基準による請求で、損害賠償の増額が期待できる
示談交渉や訴訟などを代行してもらえる
9-1. 後遺障害等級認定の申請をサポートしてもらえる
弁護士に依頼をすれば、手間のかかる資料の収集手続きを代行してもらえるうえ、適切な書類を整えて万全な状態で申請ができます。また、後遺障害診断書の記載内容を確認し、不備や漏れのチェックもしてもらえます。
9-2. 後遺障害等級の認定結果に納得できない場合の対応についてサポートを受けられる
弁護士に依頼をすれば、認定を受けられない原因を精査し、それを補う資料の収集や異議申立書の作成などについてサポートしてもらえます。
9-3. 弁護士基準による請求で、損害賠償の増額が期待できる
弁護士が代理人になった場合は、「自賠責保険基準」や「任意保険基準」よりも高額な支払い基準である「弁護士基準(裁判所基準)」に基づいて交渉を行うため、相手の保険会社が提示した賠償金を大幅に引き上げられる可能性があります。
9-4. 示談交渉や訴訟などを代行してもらえる
示談交渉や訴訟に慣れた弁護士に代行してもらうと、時間的かつ精神的な負担が軽減します。
また、加入している保険に弁護士費用特約が付いていれば、自己負担を抑えながら弁護士に依頼できます。納得できる結果を得るためにも、弁護士への相談をお勧めします。
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10. 後遺障害等級の認定基準
後遺障害等級は、以下のような認定基準が定められています。
等級 | 後遺障害 |
|---|---|
14級 | 1:一眼のまぶたの一部に欠損を残す、またはまつげはげを残すもの 2:三歯以上に対し歯科補綴(ほてつ)を加えたもの 3:一耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 4:上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 5:下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 6:一手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 7:一手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸できなくなったもの 8:一足の第三の足指以下の一または二の足指の用を廃したもの 9:局部に神経症状を残すもの |
13級 | 1:一眼の視力が0.6以下になったもの 2:正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの 3:一眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの 4:両眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの 5:五歯以上に対し歯科補綴(ほてつ)を加えたもの 6:一手の小指の用を廃したもの 7:一手の親指の指骨の一部を失ったもの 8:一下肢を1cm以上短縮したもの 9:一足の第三の足指以下の一または二の足指を失ったもの 10:一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの、または第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの 11:胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
12級 | 1:一眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの 2:一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3:七歯以上に対し歯科補綴(ほてつ)を加えたもの 4:一耳の耳殻の大部分を欠損したもの 5:鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの 6:一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの 7:一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの 8:長管骨に変形を残すもの 9:一手の小指を失ったもの 10:一手の人差し指、中指または薬指の用を廃したもの 11:一足の第二の足指を失ったもの、第二の足指を含み二の足指を失ったもの、または第三の足指以下の三の足指を失ったもの 12:一足の第一の足指またはほかの四の足指の用を廃したもの 13:局部に頑固な神経症状を残すもの 14:外貌に醜状を残すもの |
11級 | 1:両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの 2:両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3:一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 4:十歯以上に対し歯科補綴(ほてつ)を加えたもの 5:両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 6:一耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声が聞こえない程度になったもの 7:脊柱に変形を残すもの 8:一手の人差し指、中指または薬指を失ったもの 9:一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの 10:胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
10級 | 1:一眼の視力が0.1以下になったもの 2:正面を見た場合に複視の症状を残すもの 3:咀嚼(そしゃく)または言語の機能に障害を残すもの 4:十四歯以上に対し歯科補綴(ほてつ)を加えたもの 5:両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの 6:一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 7:一手の親指または親指以外の二の手指の用を廃したもの 8:一下肢を3cm以上短縮したもの 9:一足の第一の足指またはほかの四の足指を失ったもの 10:一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの 11:一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
9級 | 1:両眼の視力が0.6以下になったもの 2:一眼の視力が0.06以下になったもの 3:両眼に半盲症、視野狭窄(きょうさく)または視野変状を残すもの 4:両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 5:鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 6:咀嚼(そしゃく)および言語の機能に障害を残すもの 7:両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの 8:一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの 9:一耳の聴力をまったく失ったもの 10:神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 11:胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 12:一手の親指または親指以外の二の手指を失ったもの 13:一手の親指を含み二の手指の用を廃したものまたは親指以外の三の手指の用を廃したもの 14:一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの 15:一足の足指の全部の用を廃したもの 16:外貌に相当程度の醜状を残すもの 17:生殖器に著しい障害を残すもの |
8級 | 1:一眼が失明し、または一眼の視力が0.02以下になったもの 2:脊柱に運動障害を残すもの 3:一手の親指を含み二の手指を失ったもの、または親指以外の三の手指を失ったもの 4:一手の親指を含み三の手指の用を廃したものまたは親指以外の四の手指の用を廃したもの 5:一下肢を5cm以上短縮したもの 6:一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの 7:一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの 8:一上肢に偽関節を残すもの 9:一下肢に偽関節を残すもの 10:一足の足指の全部を失ったもの |
7級 | 1:一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの 2:両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの 3:一耳の聴力をまったく失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの 4:神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 5:胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 6:一手の親指を含み三の手指を失ったものまたは親指以外の四の手指を失ったもの 7:一手の五の手指または親指を含み四の手指の用を廃したもの 8:一足をリスフラン関節以上で失ったもの 9:一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 10:一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 11:両足の足指の全部の用を廃したもの 12:外貌に著しい醜状を残すもの 13:両側の睾丸を失ったもの |
6級 | 1:両眼の視力が0.1以下になったもの 2:咀嚼(そしゃく)又は言語の機能に著しい障害を残すもの 3:両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 4:一耳の聴力をまったく失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの 5:脊柱に著しい変形または運動障害を残すもの 6:一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの 7:一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの 8:一手の五の手指または親指を含み四の手指を失ったもの |
5級 | 1:一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの 2:神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 3:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 4:一上肢を手関節以上で失ったもの 5:一下肢を足関節以上で失ったもの 6:一上肢の用を全廃したもの 7:一下肢の用を全廃したもの 8:両足の足指の全部を失ったもの |
4級 | 1:両眼の視力が0.06以下になったもの 2:咀嚼(そしゃく)及び言語の機能に著しい障害を残すもの 3:両耳の聴力をまったく失ったもの 4:一上肢をひじ関節以上で失ったもの 5:一下肢をひざ関節以上で失ったもの 6:両手の手指の全部の用を廃したもの 7:両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
3級 | 1:一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの 2:咀嚼(そしゃく)または言語の機能を廃したもの 3:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 4:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 5:両手の手指の全部を失ったもの |
2級 | 1:一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの 2:両眼の視力が0.02以下になったもの 3:両上肢を手関節以上で失ったもの 4:両下肢を足関節以上で失ったもの |
1級 | 1:両眼が失明したもの 2:咀嚼(そしゃく)および言語の機能を廃したもの 3:両上肢をひじ関節以上で失ったもの 4:両上肢の用を全廃したもの 5:両下肢をひざ関節以上で失ったもの 6:両下肢の用を全廃したもの |
11. 交通事故の後遺症と後遺障害等級認定に関してよくある質問
Q. 事故に遭ったあと時間が経ってから症状が出た場合でも、後遺障害等級の認定を受けられる?
後遺症が残れば、後遺障害等級の認定を受けられる可能性はあります。ただし、事故から時間が経過すると、発生した症状が事故によるものかどうか、因果関係の証明が難しくなります。
症状が出た際には、できるだけ早い段階で医療機関を受診し、症状固定の診断を受けるまで通院を続けるようにしてください。
Q. 後遺障害慰謝料を請求できる期限はいつまで?
後遺障害慰謝料の時効は、症状固定の翌日から5年間です。交通事故の傷害分の慰謝料の時効は「事故の翌日から5年」であるのに対して、後遺障害分に関しては「症状固定の翌日から5年」で時効が成立するため、時効期間が異なる点に注意してください。
Q. 治療期間が長すぎると、後遺障害等級認定で不利になる?
治療期間の長さは、後遺障害等級の認定に直接の影響を与えません。
ただし、治療期間が長くなるとその分症状が改善し、後遺障害等級が認定されにくくなる場合がある点には注意が必要です。
12. まとめ 後遺障害等級認定の申請について悩みがある場合は弁護士に相談を
交通事故の後遺症が自賠法施行令が定める後遺障害であると認定された場合は、後遺障害等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。
後遺障害等級認定の申請には被害者自身が資料を集めて申請する「被害者請求」がお勧めですが、必要な書類が多く、個人で行うには非常に手間がかかります。また、申請書類の内容によっては適切な後遺障害等級の認定を受けられない場合もあります。
後遺障害等級認定の申請を弁護士に依頼すれば、必要書類の収集をフォローしてもらえるうえ、適切な後遺障害等級が認定されなかった場合の対応についても支援を受けられるなど、適正な後遺障害等級の認定に向けた全面的なサポートが受けられます。また、弁護士が弁護士基準を用いて慰謝料額の交渉にあたることで、より高い慰謝料請求も可能となります。
後遺障害等級認定の申請で悩みがある場合は、経験豊富な弁護士への相談や依頼が解決への近道になるでしょう。
(記事は2026年2月1日時点の情報に基づいています)
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