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1. 交通事故で頭を打った場合にすべきことは?
交通事故で頭を打った場合は「軽いめまいだけだから」などと自己判断するのではなく、外傷がなくても必ず脳神経外科を受診することが大切です。些細な自覚症状でもカルテに記録してもらうことが、のちの後遺障害認定において重要な証拠となるからです。
1-1. すぐに脳神経外科を受診する|緊急性が高い場合は迷わず119番
交通事故で頭を打った場合、たとえ外傷がなくても必ず脳神経外科を受診してください。頭部の損傷は、直後には症状が出ず、数時間から数日経ってから急変し、硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ)など命に関わるケースが少なくありません。
特に以下の症状がある場合は一刻を争います。迷わず119番で救急車を呼んでください。
意識が一瞬でも飛んだ
意識がもうろうとしている
手足がけいれんしている
激しい頭痛や嘔吐がある
頭からの出血が止まらない
「軽いめまいだけだから」などと自己判断して病院に行かないのは禁物です。脳内の微細な出血や浮腫は外見からはわかりません。病院で必ずCTやMRIなどの精密検査を受けてください。
医師には「いつ、どのような状況で、頭のどこを、どの程度の強さで打ったか」を詳細に伝えましょう。「少しぼうっとする」「何となく気持ち悪い」といった些細な自覚症状もカルテに記録してもらうことが、のちの後遺障害認定において重要な証拠となります。
1-2. 乳幼児や高齢者は特にリスクが高いので注意
乳幼児や高齢者が同乗していた場合は、特に注意が必要です。
乳幼児の場合、自分で症状を言葉にできません。「いつもより機嫌が悪い」「おっぱいを飲まない」「視線が合わない」「嘔吐した」など、普段と異なる様子がないか、数日間は親が注意深く観察する必要があります。少しでも異変があれば、すぐに受診するようにしましょう。
高齢者の場合は、加齢により脳が萎縮しているため、軽い衝撃でも脳内の血管が切れやすい状態にあります。特に注意が必要なのが「慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)」です。事故から3週間から半年ほど経ってから、頭の中に血がたまり、認知症のような症状や麻痺が現れるケースがあります。事故直後に異常がなくても、長期的な経過観察が必要です。
1-3. 警察官に人身事故として報告する
事故直後の警察への報告は義務です。けがをしている場合は必ず身体に損害があった「人身事故」として届け出てください。
事故当時は痛みがなく、物だけが壊れた「物損事故」として処理した場合でも、あとから痛みが出た時点ですみやかに医師の診断書を警察署へ提出し、人身事故への切り替え手続きを行うべきです。
人身事故として処理されるメリットは主に2点あります。
まずは、交通事故証明書に「人身事故」と記載され、自賠責保険などへの請求がスムーズになります。次に、警察による実況見分が行われ、詳細な実況見分調書が作成されます。これはあとで「過失割合」(交通事故の責任が双方にどの程度あるかを示すもの)を定める際に、非常に強力な証拠となります。救急搬送された場合など、現場で十分な聴取ができなかった場合は、後日警察署へ連絡し、適切な調書が作成されているか必ず確認しましょう。
2. すぐに脳神経外科を受診すべき症状のチェックリスト
頭部への衝撃は、受傷直後の6時間に容体が変化することが多く、その後も12時間、24時間は厳重な注意が必要です。また、2、3日後に出血を起こす場合もあります。さらに、高齢者などでは数週間から数カ月後に症状が出る「遅発性」のケースもあります。
自分や家族に以下の症状が見られる場合は、ためらわずに脳神経外科を受診してください。
症状の内容 | 受診すべき理由(危険のサイン) |
|---|---|
意識を消失する (数秒から数分の一時的なものも含む) | 脳しんとうや脳挫傷など、 脳に直接的なダメージを受けた明確な証拠です。 |
昼間に眠り込みやすい (ぐったりしている) | 「傾眠傾向」と呼ばれ、意識レベルが低下している危険な兆候です。 脳圧が高まっている可能性があります。 |
頭痛が続く、または強くなる | 頭蓋内で出血が起き、くも膜下出血や硬膜下血腫など 脳を圧迫している可能性があります。 |
手足の麻痺、けいれん、歩行困難 | 運動を司る脳神経が損傷している可能性があります。 片側の手足に力が入らない等の症状は脳出血の典型例です。 |
言葉がもつれる、ろれつが回らない | 言語中枢や運動機能へのダメージを示唆しています。 |
吐き気や嘔吐 (特に噴水状に吐く) | 頭蓋内の圧力が急激に上昇しているサインです。 消化器系の不調と混同しないよう注意が必要です。 |
鼻や耳から 透明な液(髄液)や血液が出る | 「頭蓋底骨折」の疑いがあります。 脳を包む膜が破れ、髄液が漏れ出しています。 細菌感染のリスクも高く非常に危険です。 |
めまい、ふらつき | 小脳や脳幹、あるいは平衡機能へのダメージが疑われます。 |
目の焦点が合わない、二重に見える | 視神経や眼球運動を司る脳神経の障害が疑われます。 |
集中力の低下、物忘れ | 高次脳機能障害の初期症状の可能性があります。 一見軽症に見えても、社会生活に支障が出る重大な後遺症です。 |
3. 交通事故で頭を打った場合に生じ得る後遺症と後遺障害等級
交通事故で頭を打ったあとに後遺症が残った場合、その症状の重さに応じた後遺障害等級の認定を申請できます。等級は最も重い1級から14級まであり、いずれかに認定されると、治療費などとは別に後遺障害慰謝料などを請求できるようになります。
等級ごとの後遺障害慰謝料の基準額は、次表のとおりです。自賠責保険基準とは、被害者に対する最低限の補償を目的とした慰謝料の算定基準を指します。一方、弁護士基準(裁判所基準)は、過去の裁判例に基づく算定基準であり、保険会社が最初に提示する金額よりも大幅に高くなるのが一般的です。
後遺障害等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準(裁判所基準) |
|---|---|---|
1級 | 1150万円 | 2800万円 |
2級 | 998万円 | 2370万円 |
3級 | 861万円 | 1990万円 |
4級 | 737万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
10級 | 190万円 | 550万円 |
11級 | 136万円 | 420万円 |
12級 | 94万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
3-1. 身体の痛みや麻痺|12級・14級
交通事故で頭や首などに強い衝撃を受けると、神経が傷つき、手足のしびれや慢性的な痛みが残る「神経症状」となることがあります。後遺障害等級は、その症状が「検査画像などで客観的に証明できるか」によって以下のとおり分かれます。
【12級13号】
12級13号と認められるには、MRIやCTなどの画像検査で、神経が圧迫されている様子がはっきりと写っていることが条件です。さらに、その「画像上の異常」と、被害者本人が感じている「痛みやしびれの場所」が医学的に一致している必要があります。
【14級9号】
14級9号となるのは、画像検査では明らかな異常が見つからない場合や、年齢による変化の範囲にとどまり、事故との関係がはっきりしない場合です。ただし、事故の状況や治療の経過から見て「痛みが続いていることはうそではない(医学的にあり得ることだ)」と医師が説明できる状態であれば、認定されます。
3-2. 嗅覚障害、めまいや平衡障害など|12級・14級
頭の骨折や脳への衝撃により、嗅覚(におい)や平衡機能(バランス感覚)に後遺症が残るケースです。
・嗅覚障害(においの異常)
【12級相当(嗅覚脱失)】
「T&Tオルファクトメーター」という精密な検査を行い、においをまったく感じなくなったことが確認された場合です。味がわからなくなる味覚障害が起こるケースも多く、その場合は合わせて評価されます。
【14級相当(嗅覚減退)】
においを完全に感じられなくなったわけではないものの、検査の結果、事故前よりも嗅覚が明らかに弱くなったことが確認された場合です。
・めまいや平衡障害
【12級13号】
12級13号は、目の揺れを見る眼振検査や体のふらつきを見る重心動揺検査で、客観的な異常がはっきりと確認できる場合です。特に仕事に支障があり、「目をつぶって片足立ちができない」など、高所作業のような危険な仕事に就けない状態が目安となります。
【14級9号】
14級9号は、検査では明確な異常が出ないものの、めまいやふらつきの自覚症状が強く、医学的にみて症状があることが推測できる場合です。仕事をするうえで、多少の不便を感じる状態が該当します。
3-3. 高次脳機能障害|要介護1級・要介護2級・3級・5級・7級・9級・12級
高次脳機能障害とは、事故による脳の損傷が原因で、「記憶する」「集中する」「感情を抑える」「段取りよく行動する」といった脳の司令塔としての機能がうまく働かなくなる状態です。手足は自由に動かせることも多いため、一見すると健康そうに見え、周囲から「やる気がない」「性格が変わった」と誤解されやすいというつらさがあります。
後遺障害の等級は以下のとおり、「仕事や日常生活にどれくらい手助けが必要か」という能力喪失の程度によってランクづけされます。
【要介護1級・2級】
重い認知障害があり、1級は常時、2級は随時の食事やトイレなどに介護が必要です。
【3級】
働くことはできません。家事などはできても、一人での外出は難しく、誰かの見守りが必要です。
【5級】
単純な繰り返し作業ならできる可能性があるものの、新しい仕事は覚えられず、頻繁な指示が必要です。
【7級】
一般的な仕事はできるものの、ミスが多く効率が悪いため、職場の理解や配慮がないと働き続けるのが難しい状態です。
【9級】
仕事や生活はおおむねできるものの、以前より正確さや持久力が落ちたり、対人関係でトラブルになりやすかったりします。
【12級】
疲れやすさや軽い物忘れなどがあるものの、通常の仕事や生活はほぼ問題なく行えるレベルです。
3-4. 遷延性意識障害|要介護1級
遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)は、交通事故による後遺障害のなかでも非常に重いものの一つです。脳の奥にあり、呼吸や循環などを司る「生きるための機能」は保たれている一方、「人間らしく考え、活動する機能」が失われた状態を指します。
遷延性意識障害は、以下の6つの状態がすべて、治療を続けても3カ月以上続いている場合に認定されます。
自分の力で移動できない
自分の力で食事ができない
トイレのコントロールができず、垂れ流しになる
意味のある言葉をしゃべれない
「目を開けて」「手を握って」などの簡単な指示に応じられない
眼球は動くが、目の前の物を認識して目で追うことができない
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4. 交通事故で頭を打った被害者が請求できる損害賠償の項目
交通事故で頭を打った被害者が請求できる損害賠償には「積極損害」「消極損害」「慰謝料」の3つがあります。
4-1. 積極損害|治療費や車の修理代など
「積極損害」とは、交通事故に遭わなければ出費せずに済んだ実費分の損害です。頭部外傷では、長期的なリハビリや特殊な介護が必要になるケースも含まれます。主な積極損害は以下のとおりです。
【治療費や入院費】
診察、CTやMRIなどの検査、手術、投薬、入院にかかる費用全般を請求できます。基本的にはこれ以上よくならない状態である「症状固定」と診断が下るまでの期間が対象です。
【通院交通費】
病院へ通うための電車代やバス代などの実費です。頭部外傷によるめまいやふらつき、パニック症状などで公共交通機関の利用が困難な場合は、タクシー代が認められることもあります。なお、タクシー代を請求する際には医師の診断書などが必要です。
【付添看護費】
入院や通院に家族が付き添った場合の日当、または看護師や介護福祉士などの資格を持つ職業付添人を依頼した費用を請求できます。脳損傷により、体は動かせても「一人で外に出てしまう」「目を離すと危険」といった症状がある場合、退院後も将来にわたる介護費用が認められる可能性があります。
【物的損害】
車の修理費や事故車を移動させた際のレッカー代、代車費用などを請求できます。
【その他の諸経費】
日用品代など入院中の雑費、診断書の作成料、成年後見人の申立て費用(脳損傷で判断能力が低下した場合)などを請求できます。成年後見人は、判断能力が低下し、一人で法律行為を行うことが不可能、または困難になった人に代わって法律行為を行う役割を担います。
4-2. 消極損害|休業損害や逸失利益など
「消極損害」は、事故がなければ本来得られていたはずの利益(収入)に対する補償です。頭部外傷の場合、最も高額になりやすい項目と言えます。
【休業損害】
けがの治療のために仕事を休み、減収した分の補償を「休業損害」として請求できます。会社員だけでなく、自営業者、パートタイム労働者やアルバイトのほか、主婦や主夫の家事労働も金銭的に換算して請求できます。
【逸失利益】
「逸失利益」とは、後遺障害が残ったり死亡したりしたために、将来にわたって稼げなくなった収入の補償です。頭を打った影響で「新しいことが覚えられない」「感情が抑えられない」といった高次脳機能障害が残ると、労働能力が著しく低下したとして、相応の金額を請求できます。事故前の年収や障害の重さ(労働能力喪失率)、労働可能年数などをかけ合わせて算出され、数千万円から億単位になるケースもあります。
4-3. 慰謝料|入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料
「慰謝料」は、精神的な苦痛に対する賠償金で、次の3種類があります。
【入通院慰謝料】
入院や通院を強いられたことによる精神的苦痛に対して支払われるのが「入通院慰謝料」です。実際に治療にかかった期間や日数をベースに計算され、その金額を請求できます。
【後遺障害慰謝料】
「後遺障害慰謝料」は、治療を続けても完治せず、後遺症が残って「後遺障害等級」が認定された場合に支払われます。等級は1級から14級まであり、寝たきりや高度な介護が必要な状態など、頭部外傷による重度な障害では1級や2級が認定され、きわめて高額の金額を請求できます。
【死亡慰謝料】
被害者が亡くなった場合の慰謝料を請求できます。
5. 損害賠償の3つの算定基準を知っておこう
慰謝料や逸失利益の計算には、以下のとおり3つの基準があります。
【自賠責保険基準】
国が定めた最低限の補償基準。金額は最も低い
【任意保険基準】
各保険会社が独自に定めた基準。自賠責より少し高く、裁判所の基準より低く設定されている
【弁護士基準(裁判所基準)】
最も金額が高く、法的に適正な基準
過去の裁判例に基づく弁護士基準が最も高く、この基準を用いることで受取額が2倍から3倍に変わるケースがあります。
示談交渉で保険会社が提示する示談金は任意保険基準に基づいていることが多いため、安易に合意するのではなく、弁護士のサポートを受けながら弁護士基準に基づき請求することが大切です。
6. 交通事故で頭を打った被害者が示談金を得るまでの流れ
交通事故で頭を打った被害者が示談金を得るまでの流れは次のとおりです。
6-1. 事故直後の対応|負傷者の救護や警察への通報
事故直後はパニックになりがちですが、負傷者の救護のためにもただちに119番通報します。頭を打っている場合、無理に動かすと症状が悪化するおそれがあるため、安全な場所であればむやみに動かさず、救急隊の到着を待ちます。
次に、警察への報告のために110番通報し、加害者や被害者、あるいは目撃者などの立ち会いのもと実況見分を行ってもらいます。痛みがある場合は、軽微であっても必ず「人身事故」として処理してもらってください。人身事故であれば、けがの程度に応じた損害賠償を請求できます。
また、相手に運転免許証を提示してもらい、スマホで写真を撮るなどして正確な情報を記録し、加入している自賠責保険や任意保険の会社名も控えるとよいでしょう。さらに、自身の記憶が鮮明なうちに、現場の状況をスマホの写真や動画で多角的に撮影して証拠を確保します。
さらに、自分が加入している保険会社へ事故の報告をします。自身に過失が全くない「もらい事故」の場合、自分の加入している保険会社が示談交渉を代行できない可能性があります。そのため、自身が契約している保険商品のなかに「弁護士特約(弁護士費用特約)」と呼ばれる特約が付帯しているかを確認しましょう。弁護士特約とは、損害賠償請求などを弁護士に相談や依頼する際の費用を保険会社が代わりに支払ってくれる仕組みのことを言います。
6-2. 医療機関の受診
自覚症状が軽くても、必ず当日に整形外科や脳神経外科などの医療機関を受診しましょう。その際、すべての症状を医師にしっかりと伝えることが大切です。カルテにない症状は、後から悪化しても「事故とは無関係」とみなされます。その後は医師の指示に従い、自己判断で通院を止めず、医師が「完治」または「症状固定」と診断するまで、週2、3回程度を目安に、通院を続けましょう。途中で治療を止めると、十分な賠償が得られなくなる可能性があります。
6-3. 後遺障害等級認定の申請
治療を続けても症状が残った場合、後遺障害等級認定の申請を行う必要があります。認定された場合、後遺障害慰謝料と逸失利益が認められ、受け取る金額が大きく変わります。
なお、後遺障害等級認定の申請には、以下の種類があります。
・事前認定:加害者側の保険会社が必要書類をそろえて申請する方法
・被害者請求:被害者自身(または弁護士)が必要書類を集めて申請する方法
被害者請求は手間ですが、必要資料を自ら集められるため、適切な等級認定を得られる可能性が高まります。
6-4. 示談交渉
相手の保険会社から送られてくる示談案は、多くの場合、自社基準で計算された低い金額です。示談書にサインをしてしまうと、やり直しはできません。弁護士が介入することで、弁護士基準での再計算を求めます。これにより、慰謝料や逸失利益が2倍から3倍に増額されるケースも珍しくありません。
6-5. ADRや訴訟
示談交渉で話がまとまらない場合は、裁判手続きによらずに弁護士などの中立的な第三者を交えた「ADR(裁判外紛争解決手続)」を利用したり、裁判所へ訴訟を提起したりして解決をめざします。
ADRの機関は「公益財団法人交通事故紛争処理センター」などが代表的です。数カ月と裁判よりも短期間で解決にいたるのが一般的で、費用も原則無料で利用できます。
一方、過失割合で大きくもめている場合や、重度の後遺障害などで賠償額がきわめて高額になりADRでは扱えない場合は、裁判所に訴えを起こします。裁判所に損害賠償請求を認めてもらうためには、証拠に基づいて交通事故の客観的な状況や自身が受けた損害などを立証する必要があります。訴訟の手続きも複雑であるため、弁護士の支援を受けるのが望ましいでしょう。
6-6. 損害賠償の受け取り
すべての手続きが完了し、損害賠償の内容が確定したら加害者側から損害賠償金(示談金)が入金されます。示談成立後は、示談書(免責証書)に署名と捺印をして返送したあと、通常2週間から1カ月程度で指定の口座に賠償金が振り込まれます。
7. 交通事故で頭を打った被害者が弁護士に相談や依頼をするメリット
頭部外傷を負った被害者にとって、弁護士への相談は「選択肢」ではなく「必須の防衛策」と言えます。弁護士に正式に依頼すれば、警察の実況見分調書などを精査し、被害者に不利にならない適正な過失割合の主張が可能です。また、被害者にとって最も有利な弁護士基準で交渉することで、慰謝料や逸失利益が数百万円から数千万円単位で増額するケースも珍しくないため、損害賠償の増額が期待できます。
相手の保険会社とのやりとりや書類作成は大きなストレスですが、弁護士が窓口になることで、精神的な負担から解放され、治療やリハビリに集中できます。そもそも、「高次脳機能障害」などの見えにくい障害は、専門的な立証が必要です。弁護士は必要な検査の提案や診断書のチェックを行い、適正な後遺障害等級の認定をサポートすることができます。
自身の保険商品に「弁護士費用特約」が付いていれば、原則として300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれます。実質的に自己負担ゼロで弁護士に依頼できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
8. 交通事故で頭を打ってからの対応に関してよくある質問
Q. 事故直後に症状がなくても病院に行くべき?
症状がなくても病院に行くべきです。事故による興奮状態で痛みを感じていないだけの場合や、脳内でゆっくりと出血が進んでいる可能性があるからです。あとから症状が出た際に「事故との因果関係」を証明するためにも、直後の受診記録は不可欠です。
Q. 頭を打ってから、どれくらいで症状が出る?
直後に症状が出ることもあれば、数時間から数日後の場合もあります。高齢者の慢性硬膜下血腫のように、数週間から数カ月後に症状が現れるケースもあります。頭を打った際は、しばらくの間体調の変化に注意してください。
Q. むち打ちと診断されたけれど頭痛やめまいもある場合、頭部外傷の可能性もある?
むち打ち(けい椎ねん挫)の症状として頭痛やめまいが出ていることもありますが、脳を外部からの衝撃から守る「脳脊髄液(のうせきずいえき)」が漏れている脳脊髄液減少症や軽度の脳損傷が隠れている可能性もあります。症状が続く場合は、MRI検査などの精密検査を受けることを強くお勧めします。
9. まとめ 頭部外傷を負った場合、弁護士への相談や依頼は「必須の防衛策」
交通事故で頭を打った際は、外傷がなくても必ず脳神経外科を受診することが重要です。意識を消失する、昼間に眠り込みやすい、頭痛が続くといったわずかな自覚症状でもカルテに記録してもらうことが、後遺障害認定において重要な証拠となるためです。
交通事故で頭を打ったあとに後遺症が残った場合は、その症状の重さに応じた後遺障害等級の認定を申請できます。最も重い1級から14級まである等級のうちどれかに認定されると、後遺障害慰謝料を請求できますが、この際に過去の裁判例に基づく弁護士基準(裁判所基準)を用いれば、被害者にとって最も有利な賠償額を受け取ることができます。
特に頭部外傷を負った場合、弁護士への相談や依頼は「必須の防衛策」です。警察の実況見分調書などを精査し、自身に不利にならない適正な過失割合を主張するためにも、ぜひ弁護士のサポートを受けてください。
(記事は2026年2月1日時点の情報に基づいています)
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