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意識不明の重体とは? 交通事故後の回復可能性と損害賠償請求について解説

更新日: / 公開日:
交通事故で家族が意識不明の重体になった場合の対応について解説します(c)Getty Images
家族が交通事故に遭い、病院から意識不明の重体と告げられたときのショックと不安は計り知れません。「このまま目を覚まさないのではないか」「これからの生活はどうなるのか」と心配で眠れない夜もあるでしょう。 意識不明の重体とは、意識がなく、生命の危険がある状態を言います。回復の可能性はあるものの、後遺症が残ることにより働けない期間が生じるケースも少なくありません。加害者から適切な賠償金を獲得するためにも、交通事故で家族が意識不明の重体となった場合は、早い段階で弁護士に相談するのがよいでしょう。 この記事では医学的な意識不明の重体の定義をはじめ、回復の可能性や損害賠償請求について法律の専門家の視点から弁護士がわかりやすく解説します。

目 次

1. 意識不明の重体とはどういう意味? どんな状態? 助かる確率は?

1-1. 意識不明の重体=意識がなく、生命の危険がある状態

1-2. 意識不明の重体からの回復率と生存率は?

2. 意識不明の重体になったあとはどうなる?

2-1. 数時間〜数日以内に意識が回復する

2-2. 意識不明の状態が長期間続く(遷延性意識障害)

2-3. 意識は回復したが、重い後遺症が残る

2-4. 死亡する

3. 意識不明の重体から生還したあと、残る可能性がある後遺症と後遺障害等級

3-1. 身体性機能障害(麻痺)

3-2. 高次脳機能障害

3-3. 外傷性てんかん

3-4. 失語および失認

3-5. 遷延性意識障害(植物状態)

4. 交通事故で意識不明の重体となった被害者のために、家族がすべきこと

4-1. 医師の指示に従って治療を受けさせる

4-2. 必要であれば、成年後見人の選任を申し立てる

4-3. 後遺障害等級の認定を申請する

4-4. 加害者に対して損害賠償を請求する

5. 交通事故で意識不明の重体になった人が請求できる賠償金

6. 意識不明の重体の後遺症について、適正な後遺障害等級を認定してもらうためのポイント

6-1. 治療の経過や後遺症の状態を記録化する

6-2. 医師に適切な内容の後遺障害診断書を作成してもらう

6-3. 被害者請求を行う

7. 意識不明の重体になった場合の事故後の生活設計

8. 意識不明の重体になった交通事故被害者の家族が、弁護士に依頼するメリット

9. 賠償金の3つの基準

9-1. 自賠責保険基準

9-2. 任意保険基準

9-3. 裁判所基準(弁護士基準)

10. 意識不明の重体に関してよくある質問

11. まとめ 家族が交通事故で意識不明の重体となった場合は弁護士に相談を

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1. 意識不明の重体とはどういう意味? どんな状態? 助かる確率は?

「意識不明の重体」の定義に加え、回復率や生存率について説明します。

1-1. 意識不明の重体=意識がなく、生命の危険がある状態

一般的に報道や警察発表などで用いられる「重体」という用語は、単なる重傷とは明確に区別されます。重体とは、脳や内臓の深刻な損傷により生命が危険な状態、あるいは死亡する見込みが高いと認められる予断を許さない状態を指すものと解されます。一般的に警察庁などでは、重傷を「30日(1カ月)以上の治療を要する負傷」と定義しています。

1-2. 意識不明の重体からの回復率と生存率は?

家族にとって最も気がかりなのは、「助かるのか」「意識は戻るのか」という点、すなわち生命および身体機能がどのような経過をたどるかについてでしょう。しかし、同様の症例における一般的な救命率や後遺障害の発生頻度といったデータが存在する場合であっても、一概に「〇〇%の確率で回復する」と断定することは困難です。

一般論としては、心肺停止や呼吸不全による意識不明の状態が長引くほど脳細胞への障害が進行し、生命が危険にさらされるほか、高次脳機能障害や四肢麻痺(ししまひ)などの重篤な後遺症が残るリスクは高まります

意識不明の重体となったあとの経過はさまざまです。適切な治療により回復するケースもあれば、一命をとりとめても、肺炎や敗血症などの重い合併症を併発して全身状態が悪化するケース、あるいは命は助かったものの意識が戻らないまま遷延性意識障害(いわゆる植物状態)や重度障害が残るケースなどがあります。

2. 意識不明の重体になったあとはどうなる?

交通事故により意識不明の重体となったあとの経過は、大きく以下の4つに分けられます。

2-1. 数時間〜数日以内に意識が回復する

脳しんとうや一時的な脳浮腫(脳が膨張する症状)などで、比較的早く意識が戻るケースです。

ただし、意識が回復しても、高次脳機能障害のように性格が変わったり、新しいことを覚えられなかったりするなどの障害が残ったりする可能性があります。退院後も慎重な経過観察が必要です。

2-2. 意識不明の状態が長期間続く(遷延性意識障害)

脳の広範囲に損傷が及び、自力移動や意思疎通が困難な状態が続くケースです。このような重大な意識障害が「遷延性意識障害」で、「植物状態」と呼ばれることもあります。

2-3. 意識は回復したが、重い後遺症が残る

意識不明の重体を脱し、意識も回復したものの、脳損傷により半身麻痺や言語障害、記憶障害などの重い後遺症が残るケースです。一命をとりとめ意識が戻った場合、このケースが多くなると考えられます。

2-4. 死亡する

懸命な治療にもかかわらず、脳死状態や多臓器不全などで死亡するケースです。遺族が被害者の権利を相続し、葬儀費用や死亡慰謝料、死亡逸失利益などの損害賠償を加害者に請求することとなります。なお、死亡逸失利益とは、被害者が生きていれば得られたはずの収入や利益などを言います。

3. 意識不明の重体から生還したあと、残る可能性がある後遺症と後遺障害等級

脳細胞は一度死滅すると再生しません。そのため、意識不明の重体となったあとに意識が戻ったとしても、さまざまな後遺症が残る可能性があります。残った後遺症は、法的に後遺障害として認定された場合に賠償金の対象となります。

意識不明の重体から生還したあとに残る主な後遺症には、次の5つがあります。

  • 身体性機能障害(麻痺)

  • 高次脳機能障害

  • 外傷性てんかん

  • 失語および失認

  • 遷延性意識障害(植物状態)

3-1. 身体性機能障害(麻痺)

脳の運動野や神経の通り道である脊髄(せきずい)が損傷することで生じる障害です。主な症状として、片側の手足が動かない片麻痺、両足が動かない対麻痺(ついまひ)、両手両足が動かない四肢麻痺、一本の手足のみが動かない単麻痺などがあります。感覚が麻痺し、食べ物を飲み込みにくくなる嚥下障害を伴うケースもあります。

後遺障害の等級は、麻痺の範囲および生活や仕事への支障の程度によって判断されます。食事や排泄、着替えなどに常に介護が必要な高度な麻痺は要介護1級、随時の介護が必要な場合は要介護2級となります。

介護までは不要でも労働に支障がある場合、働く能力がどれだけ失われたかを意味する「労働能力」の喪失度合いに応じて後遺障害等級が認定されます。たとえば、一生働けないほどの麻痺は3級、杖をついて歩ける程度など非常に軽易な作業しかできない場合は5級、軽易な作業に限られる場合は7級といったかたちです。

3-2. 高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、交通事故による脳挫傷やびまん性軸索損傷、あるいはくも膜下出血といった頭部外傷によって脳の神経ネットワークが広範囲に断裂または損傷することで、記憶や注意、感情などを司る認知機能に障害が生じる状態を指します。

この障害の最大の特徴は、手足の麻痺といった目に見える身体的な損傷を伴わないケースも多いため、外見からは障害を負っていることが判別しにくい点にあります。

具体的な症状としては、新しいことを覚えられなかったり、直前の出来事を忘れてしまったりする記憶障害、気が散りやすく一つの作業に集中し続けられない注意障害、物事の優先順位をつけて段取りよく計画的に行動することが困難になる遂行機能障害などが代表的です。

後遺障害等級の認定では、日常生活や社会生活においてどの程度の支障があり、周囲からのサポートがどれくらい必要かという能力喪失の程度が総合的に判断されます。

食事や排泄などに常に介護を必要とする最も重篤な状態であれば要介護1級、状況に応じた介護が必要であれば要介護2級が認定されます。介護は不要でも、一生涯働けないような重い状態であれば3級、きわめて軽易な単純作業しかできず、頻繁な指示や指導がなければ業務が遂行できない場合は5級が認定の目安となります。

さらに、一般就労は可能であっても、職場の理解や配慮がなければ働き続けることが難しい場合には7級、労働能力に一定の低下が見られ、業務の効率や持続力に問題が残る場合には9級が認定される可能性があります。

3-3. 外傷性てんかん

事故によって脳についた傷跡が原因で、脳内の電気信号に異常が生じ、発作を繰り返す障害です。突然意識を失ったり、全身がけいれんしたり、体の一部が勝手に動いたりするなどの発作症状が現れます。

後遺障害等級は、発作の頻度や型、抗てんかん薬によるコントロール状況に応じて認定されます。目安としては、月に1回以上の発作があり就労がきわめて困難な場合は5級、数カ月に1回以上の発作があり就労に大きな制限がある場合は7級、投薬によって発作は抑えられているものの就労に一定の制限がある場合は9級や12級が認定される可能性があります。

3-4. 失語および失認

脳の損傷により、言葉を理解したり話したりすることが困難になる失語や、視力に問題はないのに対象物が時計なのか鍵なのかといった意味を認識できなくなる失認という症状が現れる場合があります。

これらの症状は他者とのコミュニケーション能力を奪うものであり、労働能力に直結する深刻な問題です。そのため、後遺障害等級の実務では、1級から3級という非常に重い等級が認定される傾向にあります。

3-5. 遷延性意識障害(植物状態)

日本脳神経外科学会の定義に基づき、自力での移動や食事ができず、意思の疎通も図れない状態が治療を続けても3カ月以上継続している場合、遷延性意識障害(いわゆる植物状態)と診断されます。

後遺障害等級は、最も重篤な1級1号に該当するのが通常です。この場合、将来にわたる手厚い介護が必要となることから、将来介護費などを含めた賠償請求額が億単位に上ることも珍しくありません。適正な賠償を裁判で認めてもらうためには、高度な専門的知識に基づく対応が求められます。

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4. 交通事故で意識不明の重体となった被害者のために、家族がすべきこと

交通事故に遭った被害者が意識不明の重体となった場合に家族がすべきこととして、次の4つが挙げられます。

  • 医師の指示に従って治療を受けさせる

  • 必要であれば、成年後見人の選任を申し立てる

  • 後遺障害等級の認定を申請する

  • 加害者に対して損害賠償を請求する

4-1. 医師の指示に従って治療を受けさせる

交通事故で家族が意識不明の重体となった場合、まずは医師の指示に従い治療に専念させることが最優先です。同時に、将来の適切な賠償請求を見据える必要もあります。

特に頭部外傷においては、時間の経過とともに脳室の拡大や脳の萎縮といった変化が生じる可能性があります。これらを客観的に証明するためには、事故直後から経時的に撮影されたCTやMRI画像がきわめて重要な証拠となります。

そのため、受傷直後に集中的な治療を行う急性期病院からリハビリ病院へ転院する際であっても、脳神経外科の専門医が在籍しているか、あるいはMRIなどの精密検査機器が整っているかを確認し、適切な検査と画像保存が継続できる病院を選ぶことが望ましいと言えます。

4-2. 必要であれば、成年後見人の選任を申し立てる

交通事故により被害者の意識が戻らない、あるいは判断能力が著しく低下してしまった場合、被害者本人は示談書への署名や弁護士との委任契約を行えません。このような状況では、被害者の家族が家庭裁判所に申立てを行い、被害者に代わって法的手続きや財産管理を行う成年後見人を選任してもらう手続きが必要となります。

なお、本人が未成年である場合には、親権者が法定代理人となるため、成年後見人の申立ては不要です。

4-3. 後遺障害等級の認定を申請する

「交通事故によるけがの治療を続けても、医学的にこれ以上の改善が見込めない」と医師が判断した状態を「症状固定」と言います。症状固定と診断された時点で、痛みや機能障害などの症状が体に残っている場合には、後遺障害等級の認定を受けるための申請手続きを行うことになります。

認定される後遺障害の等級は、その後の損害賠償額、特に後遺障害慰謝料や逸失利益の算定に直結するため、きわめて重要です。

逸失利益を図解。交通事故に遭わなければ稼ぐことができたはずの収入を加害者側に請求できる
逸失利益を図解。交通事故に遭わなければ稼ぐことができたはずの収入を加害者側に請求できる

4-4. 加害者に対して損害賠償を請求する

後遺障害等級などが確定したあと、加害者側の保険会社と本格的な示談交渉に入ります。成年後見人が選任されている場合は、成年後見人が被害者の代理人として示談交渉を行います。

保険会社から提示される示談案は、裁判で認められる本来の基準よりも低額に抑えられているケースが一般的です。提示額が適正かどうか、安易に合意する前に弁護士などの専門家に確認したほうがよいでしょう。

当事者間での話し合いで解決しない場合、主に以下の手続きを検討します。

【交通事故ADR(裁判外紛争解決手続)】
弁護士会や専門機関が当事者の間に入り、裁判によらずに話し合いによる解決をめざす方法です。裁判に比べて費用が抑えられ、手続きが迅速かつ柔軟であるというメリットがあります。

【民事訴訟(裁判)】
裁判所に訴えを提起し、法的な判断を仰ぐ手続きです。解決まで時間を要しますが、証拠に基づいた厳格な審理が行われ、判決による強制力のある解決が図れます。また、最も高額な弁護士基準(裁判所基準)での賠償を請求するための確実な手段です。

5. 交通事故で意識不明の重体になった人が請求できる賠償金

意識不明の重体となるような重大な交通事故では、請求すべき損害賠償の項目は多岐にわたり、その計算も非常に複雑かつ賠償金も高額になります。

請求できる主な賠償金の種類は次のとおりです。

  • 治療費(診察費や手術費、入院雑費、通院交通費など)

  • 休業損害

  • 入通院慰謝料

  • 後遺障害慰謝料

  • 後遺障害逸失利益

  • 将来介護費

【治療費】
事故直後から発生する診察費や手術費、入院雑費、病院までの交通費といった治療費関係の費用は、事故による損害として請求可能です。

【休業損害】
治療期間中に仕事ができなくなったことによる収入の減少分は休業損害として請求しますが、これは給与所得者だけでなく、主婦や主夫の家事労働も金銭的に評価されて補償の対象となります。

【入通院慰謝料】
入院や通院を余儀なくされた精神的苦痛に対しては、その期間の長さに応じて計算される入通院慰謝料が支払われます。

【後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益】
後遺症が残った場合には、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益がきわめて重要な項目となります。若年者が重度障害を負った場合などは、逸失利益だけで数千万円から数億円に達するケースも珍しくありません。

【将来介護費】
植物状態や重度の麻痺が残り、将来にわたって介護が必要となる場合には将来介護費を請求します。一生涯にかかる介護費用を計算するため、場合によっては億単位の請求となる可能性があります。

6. 意識不明の重体の後遺症について、適正な後遺障害等級を認定してもらうためのポイント

意識不明の重体から回復後に後遺症が残った場合、適正な後遺障害等級を認定してもらうためには次の3点に留意しましょう。

  • 治療の経過や後遺症の状態を記録化する

  • 医師に適切な内容の後遺障害診断書を作成してもらう

  • 被害者請求を行う

6-1. 治療の経過や後遺症の状態を記録化する

高次脳機能障害のような重篤な後遺症が疑われる場合、まずはCTやMRIなどの画像検査を行い、脳挫傷や脳室拡大、脳萎縮などの脳の損傷状況を客観的に調べる必要があります。

しかし、医師は診察室での限られた時間内でしか患者の状態を確認できません。特に高次脳機能障害に見られる「些細なことで怒り出す」「新しいことを覚えられない」「排泄の失敗がある」「身の回りの清潔を保てない」といった症状は、リラックスしている家庭内でこそ現れやすく、短時間の診察では医師が把握しきれないケースが多々あります

そのため、家族が具体的な症状を日々ノートに記録し、それを医師と共有することがきわめて重要になります。医師に家庭での実態を正しく伝えることで、後遺障害診断書に具体的な症状を反映してもらえるためです。

6-2. 医師に適切な内容の後遺障害診断書を作成してもらう

後遺障害診断書は、等級認定のための答案用紙のようなものです。空欄があったり、表現があいまいだったりすると、後遺障害等級が低くなる、あるいはどの等級にも該当しないと判断されるおそれがあります。

診断書作成を依頼する前に弁護士に相談し、「どのような検査が必要か」「どのような表現を記載してもらうべきか」についてアドバイスを受け、医師に伝えることが有効です。

6-3. 被害者請求を行う

後遺障害等級認定の申請を行う場合、加害者側の保険会社任せにする「事前認定」ではなく、被害者側で資料をそろえて提出する「被害者請求」を推奨します。なぜなら、家族が作成した報告書や、弁護士が作成した意見書を添付できることから、審査側に障害の深刻さをより強くアピールできるためです。

7. 意識不明の重体になった場合の事故後の生活設計

交通事故で意識不明の重体となり、重い障害が残ってしまった場合、被害者本人はもちろん、家族全員のライフスタイルも大きく変化せざるを得ません。

まず、車椅子での生活が必要となるようなケースでは、自宅で安全に暮らせるよう、玄関へのスロープ設置や廊下の拡張、浴室の改修といった住環境の整備が不可欠です。これらのリフォーム費用は、必要性が認められれば損害賠償として加害者に請求できます

また、在宅での介護が必要となった際、家族だけですべてのケアを背負おうとすれば、心身ともに疲弊して共倒れする危険性があります。安定した介護生活を長く維持するためには、家族が適度に休息をとれる持続可能な体制を整えることが欠かせません。将来介護費として認められる賠償金を活用し、職業ヘルパーを雇う選択肢などを検討しましょう。

8. 意識不明の重体になった交通事故被害者の家族が、弁護士に依頼するメリット

意識不明の重体となるような重大な交通事故において、家族が弁護士へ依頼することは、単なる選択肢の一つではなく、実質的に必須の対応といっても過言ではありません。

まず最大のメリットは、賠償金が数千万円から数億円単位で増額される可能性がある点です。加害者側の保険会社が提示する金額は、本来裁判で認められるべき金額と比較して低額に抑えられていることが一般的です。重度障害が残るケースではその差額だけで家が1軒建つほどの大きな開きが生じる可能性があります。

また、適切な後遺障害等級の認定を有利に進められる点も重要です。特に意識障害を伴う高次脳機能障害などは、外見からはわかりにくいため、立証が困難です。しかし、弁護士のサポートがあれば、必要な神経心理学的検査の選定や医師への意見書作成依頼などができ、医学的証拠に基づいた専門的な観点から障害の状況を立証できます。治療は長期間にわたるため、早い段階で弁護士に依頼すれば、より適切なサポートを得られる可能性が高まります。

さらに、弁護士に依頼することで、家族は看病と生活再建に専念できます。保険会社とのわずらわしい電話対応や膨大な書類作成、裁判所への手続きなどをすべて弁護士が代行するため、精神的な負担を大幅に軽減し、被害者に寄り添う時間を確保できるようになります。

自身が加入する自動車保険に弁護士費用特約が付帯されていれば、原則として300万円までの弁護士費用や法律相談料を保険会社が負担してくれます。そのため、実質的な自己負担なし、または少ない費用負担で弁護士の支援を受けられるケースがほとんどです。

9. 賠償金の3つの基準

交通事故の賠償額を計算する際には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」という3つの異なる物差しが存在しています。

交通事故の賠償金の3つの算定基準の図。弁護士基準が被害者にとって最も有利
交通事故の賠償金の3つの算定基準の図。弁護士基準が被害者にとって最も有利

9-1. 自賠責保険基準

自賠責保険基準は、すべての車に加入が義務づけられている自賠責保険における賠償金の算定基準です。被害者救済を目的としているため、補償の水準は最低限となっています。たとえば、常に介護が必要な重篤な後遺障害が残った場合でも上限額は4000万円と決められているなど、被害者にとって十分な補償とは言えないケースが少なくありません。

9-2. 任意保険基準

任意保険基準は各保険会社が独自に設定している社内基準です。自賠責保険基準に多少の上乗せをした程度の補償水準にとどまるケースが多く、本来認められるべき金額より低く抑えられているのが一般的です。

9-3. 裁判所基準(弁護士基準)

弁護士基準は、被害者が本来受け取るべき賠償額を算出できる基準です。過去の裁判例の積み重ねに基づいた法的に正当な基準であり、3つのなかで最も高額な算定基準となります

ただし、弁護士が交渉に介入しない限り、加害者側の保険会社が弁護士基準による賠償額を認める可能性はまずありません。そのため、適正な賠償金を獲得するには、弁護士に正式に依頼することがきわめて重要です。

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10. 意識不明の重体に関してよくある質問

Q. 意識不明の状態が続くとどうなる?

医学的には、意識不明に陥ってから時間が経過するほど脳神経の回復は難しくなるとされています。しかし、適切なリハビリや刺激によって、半年後や1年後に意識を取り戻したり、意思疎通が可能になったりする事例も存在します。

Q. 意識不明が続く場合、症状固定はいつになる?

骨折など、交通事故で多く見られるけがの場合は6カ月が症状固定の目安です。しかし、重い脳損傷の場合は1年から1年半程度の経過観察期間をとることが一般的です。早く示談して終わらせたいという保険会社の提案を受け入れる必要はありません。医師が「これ以上の回復も悪化もしない」と判断するまで、治療費を打ち切られないよう交渉することが大切です。

Q. 意識が戻らない間の入院費は、加害者に請求できる?

意識不明となっている間の入院費を加害者に請求することは可能です。通常は加害者が加入している任意保険会社が、病院に対して入院費を一括で直接支払います。これを「内払い」と言います。

ただし、赤信号無視など、被害者にも過失(落ち度)がある場合や、治療が長期化した場合には、保険会社が支払いを停止する可能性があります。その場合は人身傷害保険の使用や、自身の健康保険への切り替えを検討します。

Q. まだ意識不明なのに、保険会社が示談を急かしてきたらどうすべき?

絶対に示談に応じてはいけません。一度示談書にサインをしてしまうと、あとから意識が戻って重い障害が見つかったり、容体が急変して亡くなったりしても、原則として追加請求ができなくなります。「弁護士への依頼を検討中ですので、回答は控えます」と伝え、自身で交渉することは避けたほうがよいでしょう。

Q. 家族が交通事故で意識不明の場合、保険会社とは誰が交渉する?

法的には、本人以外は代理権がないため、たとえ配偶者であっても正式な示談契約は結べません。そのため、家庭裁判所に申し立て、成年後見人を選任する必要があります。成年後見人は、判断能力が不十分な人に代わって財産管理や生活に必要な契約を行えます。

ただし、当座の治療費の支払い対応などに関する事務連絡は、家族が窓口となって行うケースが一般的です。本格的な示談交渉に入る段階で、成年後見人の選任または弁護士への委任が必要になります。

11. まとめ 家族が交通事故で意識不明の重体となった場合は弁護士に相談を

家族が交通事故で意識不明の重体になった場合、まずは、本人の生命力と医療チームを信じ、回復を祈ることが何より大切です。

意識不明の重体から回復しても、後遺症が残ることで働けない期間や労働能力の低下が生じるケースも少なくありません。今後の生活を考え、後遺障害等級認定を申請したうえで、加害者に損害賠償を請求することが必要です。賠償金の算定には3つの基準があり、弁護士が用いる基準に基づく算定額が最も高額になります。そのため、弁護士に加害者側との交渉を依頼すれば、賠償金を増額できる可能性が高まります。

意識不明の重体事案は、医学的にも法律的にもきわめて難易度が高く、被害者の家族だけで対応するのは不可能です。一人で抱え込まず、交通事故に精通した弁護士に相談してください。法律の専門家を味方につけることで、精神的な負荷を軽減し、将来への備えを確かなものにできるでしょう。

(記事は2026年2月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

石井政成(弁護士)

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石井・竹口法律事務所 代表弁護士
第二東京弁護士会所属、登録番号59308。交通事故、医療過誤、家事事件を主軸として、数多くの事件の解決に尽力する。特に後遺症が争点となる交通事故や、医療過誤事件においては、当事務所の共同代表である医師兼弁護士の竹口英伸と一体となり、医学的観点から深く事案を分析することで、後遺症の適切な認定や、正当な賠償請求の実現を力強くサポートを行う。依頼者の一人ひとりが受けた被害を最大限に回復するために、常に最善の道を模索し、全力で弁護活動に取り組んでいる。
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