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1. 駐車場での事故の特徴
まずは、駐車場での事故の特徴について説明します。
1-1. 物損事故が多く、駐車ミス・安全不確認が主な原因であることが多い
駐車場内で発生する事故の多くは、スピードが出ていないため重大事故に至りにくく、物損事故が中心となります。原因の多くは運転者の安全確認不足や駐車ミスです。
特に、駐車スペースへの出入りでは後退時(バック時)の死角が多く、歩行者や他車を見落としやすい傾向があります。また、駐車位置を探すことに気を取られ、周囲への注意が散漫になるケースも多いです。
典型的な事故としては、バックで駐車しようとした際に直進してきた車に気付かず接触するケースや、ハンドル操作を誤って隣の車にぶつけてしまうケースなどが挙げられます。さらに、ドアの開閉時に隣の車へ接触し傷を付けてしまう事故も頻繁に起こります。
加えて、駐車場は見通しが悪い場所も多く、死角から歩行者や子どもが突然飛び出してくる可能性もあるため、たとえ低速でも注意を怠らないことが大切です。
1-2. 駐車場事故の件数
警察庁の「令和5年中の交通事故の発生状況 」によると、2023年中に駐車場などで発生した事故は14,865件であり、全体の事故の約5%にあたると発表されています。誰もが日常的に利用する場所であることから、駐車場内の事故リスクは想像以上に高いといえます。
また、スピードが出ていない状況だからこそ、運転者の注意が緩みやすい点も特徴の一つです。
2. 駐車場事故で知っておきたいこと
駐車場での事故は、一般の道路での事故と違う部分があるため、あらかじめ把握しておきましょう。
2-1. 事故の場所が道路か私有地で取り扱いが変わる
駐車場で事故が発生した場合、まず確認しておきたいのが「事故現場が道路か、私有地か」という点です。ショッピングモールやスーパーの駐車場のように一般車両が自由に出入りできる場所は、道路に近い扱いを受けることもありますが、基本的には私有地と位置づけられています。
私有地での事故の場合は、道路交通法上の通報義務や罰則が必ずしも適用されるとは限りません。一方で、相手にケガを負わせた場合には、私有地であっても民事・刑事の両面で責任を問われることに変わりはありません。
2-2. 駐車場の持ち主(管理者)は基本的に関与しない
駐車場の所有者や管理会社が事故処理に関わるケースは多くありません。通常は、当事者同士の過失割合(事故におけるミスや落ち度の度合い)を基準として話し合いを進めることになり、管理者が示談に加わる場面はほとんどないのです。
ただし、駐車スペースの区画ラインが消えていて判別しにくい場合や、照明が極端に暗い、構造に問題があるなど、駐車場設備そのものに欠陥がある場合は、管理者側の注意義務違反が問われる可能性があります。
結局のところ、駐車場内の事故では「自分と相手がどのように動いていたか」が最も重要な判断材料となります。場所が私有地かどうかにかかわらず、状況に応じた注意義務の程度によって過失割合が決まっていくため、事故後は速やかに警察へ連絡し、後日のトラブルに備えて記録を残しておくことが重要です。
3. 駐車場事故の過失割合
駐車場内で双方の車が動いている状況では、どちらにも一定の注意義務があるため、過失割合が10対0になることはほとんどありません。ここでは代表的な4つのパターンを紹介します。
3-1. 通路を進行中の車 × 駐車スペースから出ようとしている車
駐車場内の通路を直進している車と、駐車スペースから出庫しようとしている車が衝突したケースです。一般的には、直進車よりも出庫車のほうに重い安全確認義務があると評価され、過失割合は「直進車3:出庫車7」と判断されるのが通常です。
出庫車は後方や側面に死角が多く、通路を走ってくる車を見落とすリスクが高い点が理由に挙げられます。一方で、直進車が明らかに速度超過していた場合や、わき見運転が疑われる場合には、割合が修正されることもあります。
3-2. 通路を進行中の車 × 駐車スペースへバックで入れようとしている車
通路を直進中の車と、駐車スペースへバックで入庫しようとしている車の事故です。この場合は直進車の優先性がより強く認められ、基本過失割合は「直進車2:入庫車8」とされます。バックでの入庫車は切り返しを行う際に、前方や左右の確認が十分に取れないまま通路へ車体を出してしまうことがあり、直進車より注意義務の程度が高いと判断されやすいためです。
3-3. すでに駐車中の車との事故
すでに停めてある車との事故です。バック操作中に停車車両へぶつけてしまったり、ドアを開けた際に隣の車を傷つけてしまうケースが典型例として挙げられます。この場合は、動いている側の注意義務が非常に重く評価されるため、過失割合は「動いている車10:停車中の車0」となるのが一般的です。
3-4. 歩行者 × 車の事故
駐車場内では歩行者の動きが予測しづらく、特に子どもが死角から突然飛び出してくるケースも少なくありません。こうした環境では車が歩行者に危険を及ぼす可能性が高まるため、運転者にはより慎重な確認が求められます。
駐車場内で歩行者と車が衝突した場合には、一般的に車側の過失が大きく評価される傾向があります。過失割合の目安としては、歩行者の過失が2割から3割、車側の過失が7割から8割(またはそれ以上)と判断されるケースが多いです。
さらに、歩行者が横断歩道付近にいた場合や、歩行者用スペースが明確に区分されていた場合など、歩行者の安全が特に保護されるべき状況では、車側の責任が一段と重くなることがあります。
4. 交通事故で過失割合が重要な理由
交通事故では、双方がどの程度注意義務を怠ったかを示す「過失割合」が、そのまま賠償額に反映されます。被害者側にも過失があると、その割合に応じて受け取れる賠償金が減額される仕組みになっているため、わずか1割の違いでも最終的な金額に大きな差が生じます。
とくに駐車場の事故では双方の車が動いている場面が多く、過失割合が争点となるケースが目立ちます。適切な過失割合を主張するには、事故状況を客観的に示す証拠の有無が重要になります。写真やドラレコ映像、実況見分の内容などによって「どちらがどの時点で注意を払うべきだったか」が判断されるためです。
逆に、事故直後の対応が不十分だと、不利な割合を押し付けられるリスクが高まります。適正な賠償を受けるためには、過失割合の理解と証拠の確保が不可欠です。
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5. 駐車場で事故が起こった際の対応の流れ
駐車場内で事故に遭ったら、慌てずに適切な順序で行動することで後日のトラブルを防ぐことができます。ここでは、駐車場で事故が起こった際の対応の流れについて解説します。
5-1. 車を安全な場所に移動し、二次被害を防ぐ
駐車場で事故が発生した場合、まず優先すべきは二次被害の防止です。車を安全な位置に移し、他車の通行を妨げない状態を確保します。車を現場に放置したままだと、追突事故や新たな接触事故を引き起こすおそれがあります。
5-2. ケガ人の確認・救護(救急車の手配)
続いて、ケガ人の有無を確認し、必要に応じて救急車を呼びます。駐車場内では低速での衝突が多いものの、首や腰を痛めるケースもあり、外見だけでは判断がつかないことがあります。少しでも異常が見られれば、救護を優先しましょう。
5-3. 警察へ通報する(110番)
事故の規模に関係なく、必ず警察へ通報します。駐車場が私有地であっても、後日の紛争を防ぐためには警察の介入が不可欠です。警察は状況を確認して実況見分を行い、保険金請求で必要となる交通事故証明書を発行します。これがないと保険金を請求できない場合があります。
5-4. 相手の情報を収集する
相手方の氏名、連絡先、車両ナンバー、加入保険会社など、基本的な情報を確実に確認します。情報交換をしないままその場で別れてしまうと、後に賠償請求の手続きが進まなくなることがあります。
5-5. 【重要】現場の写真や映像を残す
事故現場の写真や映像を記録することは非常に重要です。車両の位置関係、衝突部分、周囲の見通し、ブレーキ痕などを残しておくことで、過失割合の判断に大きく役立ちます。ドラレコ映像がある場合は必ず保存し、スマホでも複数の角度から撮影しておくことが望まれます。
5-6. 自分の保険会社へ連絡する
自分が加入している保険会社にはできるだけ早く連絡します。加害者・被害者のどちらであっても、報告の遅れは後の対応で不利に働くことがあります。保険会社は修理工場の手配や相手方とのやりとりなどを代行してくれるため、早期連絡が基本です。
5-7. 駐車場の管理者(店舗や管理会社)に知らせる
駐車場の管理者や店舗にも事故の発生を伝えておきましょう。監視カメラの映像が残されている可能性があり、証拠確保のために協力を得られる場合もあるからです。
5-8. 車の修理・代車手配
車両の修理や代車の手配は、保険会社と相談しながら進めます。修理期間中の代車費用が保険で補償されることもあるため、自己判断で進めず確認しながら対応します。
5-9. けががある場合は医療機関を受診・診断書を取得
けががある場合には必ず医療機関を受診し、診断書を取得します。事故直後は痛みがなくても、数日後に症状が現れることは珍しくありません。診断書がなければ人身事故への切り替えができず、慰謝料請求が不利になることがあります。
5-10. 示談交渉
損害額が確定したら、相手側と示談交渉をして最終的な賠償金額を決めます。示談交渉では、過失割合や治療費、慰謝料などで意見が分かれることがよくあります。相手の保険会社からの提案が妥当かどうか判断できない場合は、弁護士に相談しながら進めるのが安心です。
6. 駐車場事故の被害の際に、十分な示談金を受けるためのポイント
誤った行動をとってしまうと、示談金が減って損をする可能性があります。ここでは、十分な示談金をもらうためのポイントを紹介します。
6-1. けがや痛みがなくても病院にいく
駐車場での事故は軽傷や物損で済むことが多いものの、示談金を適正に受け取るには初動対応が非常に重要です。事故直後に痛みがなくても、必ず医療機関を受診しておきましょう。
むちうちのように数日後に症状が現れるケースは多く、受診が遅れると「事故との因果関係がない」と判断され、慰謝料が認められにくくなることがあります。早期の受診は治療の面でも賠償の面でも大きな意味を持ちます。
6-2. 医師の指示に従って治療を続ける
医師の指示に沿い、必要な期間しっかり通院することも重要です。自己判断で通院を中断してしまうと「治療の必要性がなかった」と評価され、慰謝料が大幅に減額されるリスクがあります。痛みやしびれが続く場合には、後遺障害の認定も視野に入れながら治療を継続します。
6-3. 相手の保険会社が提案する示談金には応じない|示談金の「3つの基準」
相手の保険会社が提示してくる示談金は、必ずしも適正とは限りません。賠償額には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」の3つがあり、最も高額な賠償が認められやすいのは弁護士基準です。
自賠責基準:最低限の補償基準。3つの基準のなかで最も低額となることが多い
任意保険基準:任意保険会社が独自に定める基準。自賠責基準より高いが、裁判所基準より低い
弁護士基準:過去の判例に基づく基準。3つの基準のなかで最も高くなる
相手の保険会社は自賠責基準や任意保険基準で算定した金額を提示してくることが一般的です。そのまま受け入れてしまうと、本来得られるはずの金額より大幅に低い水準で示談が成立してしまう可能性があります。
弁護士に依頼すれば弁護士基準に基づいて請求できるため、示談金を大幅に増額できる可能性があります。保険会社が提示した条件にはすぐに同意せず、一度弁護士に相談することをおすすめします。
6-4. 交通事故に強い弁護士のサポートを受ける
適切な過失割合の主張や賠償額の交渉は専門性が高く、被害者が一人で進めるのは容易ではありません。交通事故に強い弁護士に依頼すれば、過失割合の調整や賠償金の増額交渉を弁護士基準で行うことができます。
また、保険会社とのやり取りや必要書類の作成も任せられるため、精神的・実務的な負担が大きく軽減されます。弁護士費用特約に加入している場合は、自己負担なく依頼できるケースが多いです。
7. 駐車場内での事故を防止する方法
駐車場での事故は、ドライバーの意識によって大きく減らすことができます。通路や出入口付近では歩行者や子どもの飛び出しが起こりやすいため、より慎重な運転を心がけましょう。速度はいつでも止まれる程度に抑え、死角が生じやすい場所ではミラーやバックカメラを活用しながらゆっくり進入しましょう。一時停止のラインがある場所では確実に停止し、左右の安全確認を怠らないことが大切です。
駐車場は視界が悪い場所も多いため、慎重すぎるくらいの運転が結果として事故防止につながります。
8. 駐車場での事故に関してよくある質問
Q. コンビニの駐車場での事故は店舗側の責任になる?警察への通報は必要?
一般的な事故であれば店舗側が責任を負うことはなく、当事者同士の過失割合で処理されます。ただし、駐車スペースの区画ラインが消えている、照明が極端に暗いなど、駐車場設備に問題がある場合は例外的に管理責任が問われる可能性があります。
Q. 私有地の駐車場での事故でも、自動車保険は使える?
結論として、私有地であっても自動車保険は使用できます。ただし、保険適用には事故状況を公的に証明する必要があるため、警察を呼ばずに現場で処理してしまうと、後になって保険金の請求が難しくなるおそれがあります。必ず警察へ通報し、事故証明を取得しておきましょう。
Q. 駐車場内での事故は当事者同士で示談をしてもよい?
当事者同士だけで示談することはおすすめできません。後日、相手の言い分が変わったり、損害額をめぐってトラブルになったりすることが多いためです。また、保険会社への報告を怠ると「報告義務違反」に問われ、保険金が支払われないリスクもあります。必ず警察と保険会社を通して手続きを進めるのがよいでしょう。
9. まとめ 駐車場の事故も一般道の事故と同じように対応すること
駐車場内は低速だからと油断しがちですが、死角の多さや注意不足を原因とした事故が多いのが特徴です。過失割合が争点となりやすいため、道路か私有地かに関わらず、警察への通報と証拠の確保を忘れずに行いましょう。
また、相手の保険会社は自賠責基準や任意保険基準に基づいた、低い示談金額を提示してくることがほとんどです。保険会社の提示をうのみにせず弁護士に相談することで、弁護士基準での適正な示談金を受けられる可能性が高まります。駐車場内で事故に遭ったら、早い段階で弁護士に相談しましょう。
(記事は2026年4月1日時点の情報に基づいています)
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