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1. 交通事故の過失割合が10対0の場合、代車費用は請求できる?
交通事故の全責任が相手方にある場合、過失割合は「10対0」となります。この場合、被害者は加害者側に対して、事故によって受けた損害全額の賠償を請求できます。
事故で使えなくなった車の代車を借りるための費用(=代車費用)も、損害賠償の対象です。ただし、加害者側に対して請求できる代車費用の額は、必要かつ相当な範囲に限られます。
代車費用の請求をめぐっては、加害者側の保険会社との間で主張がぶつかりやすいです。保険会社が代車費用の支払いに難色を示しているときは、弁護士を通じて交渉も検討しましょう。
2. 過失割合が10対0の交通事故で、代車費用を請求するための要件
加害者側に対して代車費用を請求するためには、次に挙げる要件をすべて満たす必要があります。
事故と代車費用の間に因果関係があること
実際に代車を使用し、費用を支払ったこと(立替払い)
代車を使用する必要性があること
代車費用のグレード・金額が適正であること
代車の使用期間が適切であること
2-1. 事故と代車費用の間に因果関係があること
加害者側に対して損害賠償を請求できるのは、その損害と事故の間に因果関係がある場合に限られます。つまり、事故の影響で損害が発生したといえる必要があります。
代車費用についても、事故との間に因果関係がなければ請求できません。たとえば、事故で損傷した箇所以外の修理が長引いているために代車の使用期間が延びた場合は、延びた分の代車費用を請求できないことがあります。
2-2. 代車を使用する必要性があること
代車費用の請求が認められるのは、客観的に見て代車を使用する必要性がある場合に限られます。たとえば、公共交通機関を利用しにくく、代車を使用しなければ生活が成り立たない場合などです。
徒歩や公共交通機関によって移動手段を十分確保できる場合は、代車の必要性が認められず、代車費用を請求できないことがあるのでご注意ください。
2-3. 実際に代車を使用すること
代車費用を請求するには、実際に代車を借り、費用が発生している必要があります。代車を借りていないにもかかわらず、代車費用相当額の支払いを加害者に請求することはできません。
代車費用を立替払いした後に、領収書などを提出して加害者側に請求するのが一般的です。
2-4. 代車のグレードなどが適正であること
加害者側に対して請求できる代車費用の額は、原則として事故車と同等のグレードや年式の代車を借りた場合の相場額が上限です。事故車よりも優良な代車を借りた場合は、差額について加害者側への請求が認められない可能性があります。
また、事故車が外国製の高級車である場合は、国産の高級車程度の代車費用しか請求が認められないこともあります。
2-5. 代車の使用期間が適切であること|修理なら2~3週間程度、買い替えなら1カ月程度
代車費用の請求が認められるのは、客観的に見て代車を借りる必要がある期間に限られます。具体的な事情によって異なりますが、事故車を修理する場合は2~3週間程度、全損して買い替える場合は1カ月程度が目安です。
3. 代車費用はいくら請求できる?|相場は1日当たり5000円~2万5000円程度
加害者側に請求できる代車費用の額は、事故車のグレードや年式などによって異なります。
安い車なら1日当たり5000円程度、国産の高級車なら1日当たり1万5000円~2万5000円程度かかります。基本的には、事故車と同等グレードの相場額が上限となります。
外国製高級車はさらに高額になる場合がありますが、事故車が外国製でも、国産高級車相当額までしか認められないケースが多い点に注意が必要です。超過分は自己負担となります。
4. 過失割合が10対0の場合に、代車費用について揉めやすいポイント
代車費用をめぐっては、被害者と加害者側の保険会社の間で揉めやすいポイントがあります。請求にあたっては、保険会社が支払いを制限する可能性を想定し、根拠を準備しておく必要があります。
4-1. 事故車を買い替える場合の代車の必要性
事故車を買い替える場合、保険会社が代車の必要性を否定してきたり、短期間の代車費用しか認めなかったりすることがあります。「早く選んで買い替えれば、代車を使う必要はない」というのが保険会社の言い分です。
しかし、修理するか買い替えるかを適切に判断するためには、修理費の見積もりを取得する必要があります。また、新たに購入する車を選ぶための時間もある程度必要です。余裕をもって買い替える車を選びたいという気持ちも分かります。
買い替えの場合の代車の使用期間については、保険会社と被害者の主張が対立しやすい傾向にあります。被害者としては、代車が必要な期間を具体的な根拠に基づいて主張することが大切です。
4-2. 修理が長期間に及ぶ場合の代車使用期間
修理が通常よりも長引くと、相手の保険会社は「事故とは関係ないところを修理しているのではないか」などと疑ってくることがあります。まだ修理が終わっていないのに、代車費用の支払いを打ち切ってくるかもしれません。
修理が長引いている場合は、修理業者とコミュニケーションをとったうえで、その理由を保険会社に対して具体的に説明しましょう。
4-3. 事故車と代車の車種やグレードの違い
事故車と代車の車種やグレードが異なる場合、請求可能な金額をめぐって争いになりやすい傾向があります。
代車費用の相場額については、複数のディーラーから見積もりを取るなどして、保険会社に対して合理的に説明できるようにしておきましょう。また、高グレードの代車を借りる場合には、その必要性についても具体的に説明することが望ましいです。
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5. 過失割合が10対0の場合に、代車費用を請求する手続きの流れ
加害者側の保険会社に対して代車費用を請求する際の手続きの流れを解説します。
5-1. 【STEP1】保険会社に問い合わせて、事前に要件や上限金額を確認する
代車を借りる前に、加害者側の保険会社に連絡し、満たすべき要件や代車費用の上限金額などを確認します。保険会社が提示する代車費用の上限額が低すぎる場合は、増額の交渉をすることも考えられます。増額交渉に当たっては、被害者自身でディーラーから見積もりを取得したり、高グレード車を借りる必要性を説明したりすることが求められます。
5-2. 【STEP2】代車の必要性を証明できるように準備する
保険会社が「代車は不要」と主張する場合に備え、必要性を裏付ける資料を整理します。代車の必要性を基礎づける事情としては、以下の例が挙げられます。これらの事情を組み合わせて、代車が必要であることを合理的に説明できるようにしておくことが大切です。
自分や家族が他の車両を所有していない
日常生活や仕事において、車を使う頻度が多い
車の代わりに利用できる公共交通機関がない など
5-3. 【STEP3】ディーラーなどに申し込んで代車を手配・利用する
代車はディーラーや修理業者、中古車販売店などで手配できます。車種・グレード・年式や費用などを確認したうえで、代車の利用を申し込みましょう。
代車の使用期間は、修理や買い替えに要する期間を考慮したうえで設定します。使用期間が長すぎると、保険会社に代車費用の支払いを拒否される可能性があるので注意が必要です。
5-4. 【STEP4】保険会社に代車費用を請求する
領収書を提出し、代車費用の支払いを請求します。代車費用が支払われる時期は交渉次第ですが、治療費・慰謝料・修理費(買い替え費用)など他の損害と併せて示談交渉を行い、合意が得られた後に精算するのが一般的です。
6. 過失割合が10対0の交通事故で、代車費用を払ってくれない場合の対処法
加害者側の保険会社が代車費用を十分に支払わない場合は、次の対応を検討しましょう。
6-1. 自分の任意保険に付いている代車費用特約を利用する
自動車保険(任意保険)には「代車費用特約」が付いている場合があります。代車費用特約は、交通事故で車が使えなくなったときに、代車費用の補償を受けられるものです。補償される代車費用の額や期間は、特約の内容に従って決まります。
代車費用特約だけを利用した場合は、保険等級が下がらず翌年以降の保険料は上がらないのが一般的です。ただし、人身傷害保険や車両保険などを併用した場合は、保険等級が下がることがあるので注意が必要です。
6-2. ADRや訴訟を通じて代車費用を請求する
代車費用を巡って争いが生じ保険会社との示談交渉がまとまらないときは、ADR(裁判外紛争解決手続)や訴訟を利用することが考えられます。
ADRは、裁判所以外の機関が取り扱う紛争解決手続きです。弁護士などの有識者が調停やあっせんなどを通じて紛争解決をサポートします。
訴訟(裁判)は、裁判所で行われる紛争解決手続きです。損害や過失を立証し裁判所が認めれば、賠償金の支払いが命じられます。
ADRの申立てや訴訟の提起を行う際は、主張を裏付ける資料の整理が重要です。弁護士と協力しながら準備を進めましょう。
7. 代車費用について揉めたとき、弁護士に相談・依頼するメリット
代車費用の請求について加害者側の保険会社と揉めた場合は、弁護士に相談することをおすすめします。自動車保険や火災保険などに付いている弁護士費用特約を利用すれば、自己負担ゼロまたは少額の負担で弁護士に依頼できます。
代車費用などの損害賠償請求について、弁護士に相談・依頼することの主なメリットは以下のとおりです。
7-1. 代車の必要性や費用の妥当性などを適切に主張してもらえる
適正額の代車費用の支払いを受けるには、代車の必要性や金額の妥当性などについて、保険会社に対して確固たる根拠を示すことが大切です。弁護士に依頼すれば、客観的な根拠に基づいて代車費用を請求してもらえるので、適正額の支払いを受けられる可能性が高まります。
7-2. 代車費用以外の損害を含めて、賠償金の増額が期待できる
治療費・慰謝料・車の修理代や買い替え費用など、代車費用以外の損害についても、弁護士は適正額の支払いを求めて保険会社と粘り強く交渉します。損害を漏れなく把握したうえで、適正な基準(弁護士基準)に基づいて請求を行うことにより、賠償金の増額が期待できます。
7-3. 労力やストレスが軽減される
交通事故によるけがの治療や日常生活、仕事などと並行して損害賠償請求の対応も自力で行うのは非常に大変です。自分ですべて対応しようとするのではなく、弁護士に頼ることをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、損害賠償請求に関する対応の大部分を任せられます。労力やストレスが大幅に軽減され、けがの治療などに専念できるようになるでしょう。
8. 過失割合10対0の交通事故と代車費用についてよくある質問
Q. 代車費用を事前に支払ってもらうことはできる?
保険会社との交渉次第ですが、基本的には後日精算とされるケースが多いです。
Q. 自分の保険の代車費用特約と、相手方への代車費用請求は併用できる?
併用できますが、二重取りはできません。請求できる代車費用の総額は、実際に支払った金額が上限となります。
Q. 事故車が電気自動車(EV)だったが代車はガソリン車だった場合、代車費用はどう扱われる?ガソリン代も請求できる?
加害者側に請求できる代車費用の額は、事故車であるEVと同等のグレード・年式の車を借りた場合の額が上限となります。ガソリン代は請求できません。
Q. 代車を使わず家族の車を借りて生活した場合でも、代車費用は請求できる?
実際に代車を借りなかった場合は、代車費用は請求できません。
Q. 修理が終わっているのに車の返却が遅れた場合、遅れた期間についても代車費用は請求できる?
返却が遅れた期間については、代車を使用する必要性がないため、代車費用は請求できないと考えられます。
Q. 代車を事故で傷つけてしまった場合、その修理費は加害者側の保険会社に請求できる?
請求できません。代車の運転中に発生した交通事故は、代車を借りる原因となった交通事故の加害者とは関係がないからです。
9. まとめ 代車費用で揉めたら弁護士に相談するのがおすすめ
交通事故について自分に全く過失がない場合(=過失割合10対0の場合)は、加害者側に対して損害全額の賠償を請求できます。代車を借りるための費用についても、損害賠償を請求可能です。
ただし、代車費用の請求については、被害者と加害者側の保険会社の間で主張が対立しやすい傾向にあります。代車の必要性や使用期間、車種やグレードに応じた費用の額など、注意すべき論点が数多く存在します。適正額の代車費用を請求するためには、多角的な検討が欠かせません。
弁護士に依頼すれば、代車費用を含むさまざまな項目の損害賠償について、保険会社と粘り強く交渉してもらえます。賠償金の増額が期待できるうえに、労力やストレスも大幅に軽減され、けがの治療や日常生活に専念できるようになります。
(記事は2026年4月1日時点の情報に基づいています)
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