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1. むち打ちの後遺症について、後遺障害等級認定を受けるのが難しいとされる理由
むち打ちとは、交通事故などによる急な衝撃で首に負担がかかることで生じる、首の痛みや手指のしびれなどの症状の総称です。
むち打ちで後遺障害等級が認定されるのが難しい理由として、主に以下の五つが挙げられます。
客観的な証明が難しい
事故との因果関係の証明が難しいケースがある
症状が継続している必要がある
適切な治療実績が求められる
後遺障害診断書の内容が認定基準を満たしていないことがある
以下で詳しく解説します。
1-1. 客観的な証明が難しい
後遺障害等級が認定されるためには「痛みやしびれがある」という自覚症状だけでなく、「その症状が起きていることが客観的に判断できること」が必要です。たとえば、身体の一部を欠損していたり、可動域が制限されていたりすれば「客観的に判断できる」状況と言えます。
しかし、むち打ちは神経のダメージに起因することが多く、X線やMRIといった画像検査を行っても、異常がはっきりと写らないことも珍しくありません。その場合は症状が客観的に判断しにくいため、後遺障害等級も認定されにくくなります。
1-2. 事故との因果関係の証明が難しいケースがある
後遺障害等級が認定されるためには「その事故によって症状が発生したこと」を証明しなければなりません。しかし、既往症や持病によってもともと骨が変形していたり、神経が圧迫されていたりする場合、それらの症状と事故によるむち打ちを区別することは困難です。そのため、事故との因果関係を証明することが難しくなります。
また、既往症や持病がなくても、事故に遭った日から時間を置いて症状が出てきた場合は、事故との関係を疑われやすくなります。
1-3. 症状が継続している必要がある
後遺障害等級が認定されるためには「症状の継続性」が必要です。つまり「ある動きをしたときだけ痛む」「毎日ではないがときどき痛む」のではなく、いつも痛みやしびれがあることが必要です。症状に波があったり、特定の条件下でしか症状が現れなかったりする場合は、後遺障害に該当しないと判断される可能性が高くなります。
1-4. 適切な治療実績が求められる
後遺障害等級が認定されるためには「適切な頻度で適切な期間通院したこと」も必要です。たとえば、まったく通院せず、適切な治療を受けなかったために症状が残った場合などは、後遺障害には該当しないと判断される可能性があります。
これ以上治療しても改善の見込みがない状態である「症状固定」と医師に診断されるまでは、定期的に整形外科に通院する必要があります。
1-5. 後遺障害診断書の内容が認定基準を満たしていないことがある
後遺障害等級が認定されるためには、医師の作成した「後遺障害診断書」の提出が必要です。後遺障害等級認定の可否は、この後遺障害診断書による書面審査で判断され、一部の後遺障害を除いて問診や新たな検査などは行われません。
医師は医学の専門家であっても、後遺障害診断書作成の専門家ではありません。そのため、書面審査に必要な情報が後遺障害診断書に書かれていなければ、後遺障害等級が認定されない可能性もあります。
2. むち打ちの後遺症の主な症状と後遺障害等級の認定基準
むち打ちによる後遺症の主な症状と、後遺障害等級の認定基準について説明します。
2-1. むち打ちの後遺症の主な症状
むち打ちとは、追突などの強い衝撃によって首がムチのようにしなり、これによって頸部の筋肉、靱帯(じんたい)、椎間板(ついかんばん)、血管、神経などの組織が損傷して生じる症状のうち、骨折や脱臼(だっきゅう)を除いたものの総称です。正式な疾病名としては「頸椎捻挫(けいついねんざ)」「頸部捻挫(けいぶねんざ)」などと診断されます。
首回りから肩、腕にかけての痛みやしびれなどの自覚症状が代表的な症状ですが、それ以外にも頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気などの症状も多く報告されています。いずれの症状も外から見えにくいため、周囲につらさを理解されづらいという苦しさもあります。
後遺障害等級は症状の重さに応じて1級から14級に分類されます。数字が小さいほど症状が重くなり、後遺障害の内容などによってさらに細かく号で分類されます。むち打ちで症状が残った場合に後遺障害等級として認定される可能性があるのは「12級13号」か「14級9号」です。「12級13号」に認定されるほうが有利な補償を受けられますが、むち打ちは「14級9号」の認定を受けるのさえ難しい場合もあります。
2-2. 12級13号|局部に頑固な神経症状を残すもの
12級13号と認定されるためには、事故によって症状が生じたことを「他覚的に証明できること」が求められます。つまり、X線やMRIなどの画像検査によって明らかに神経が圧迫されている画像所見が得られていたり、腱反射(けんはんしゃ)検査(ハンマーで反射を確認する検査)などで神経学的所見が得られていたりと、客観的に症状を証明できることが必要です。
14級9号に比べて受け取れる賠償金額はかなり大きくなりますが、むち打ちの後遺症で12級の認定を受けるのはハードルが高いのが実情です。
2-3. 14級9号|局部に神経症状を残すもの
14級9号と認定されるためには、事故によって症状が生じたことを「医学的に説明可能なこと」が求められます。「医学的に説明可能」とは、事故の状況や症状の推移、治療期間などから、現在の自覚症状どおりの痛みやしびれがあることが推認できることを言います。そのため、12級の認定に必要な画像所見がなくても認定される可能性があります。
ただし、「医学的に説明可能」と言えるだけの実績をそろえるのは簡単ではありません。後遺障害等級認定を見据えた準備は不可欠です。詳しくは後述します。
3. むち打ちの後遺症について、後遺障害等級認定を受けるためのポイント
むち打ちによる後遺症で後遺障害等級認定を受けるための重要なポイントとして、以下の七つがあります。
事故直後に整形外科を受診する
医師の指示に従って適切な頻度で通院する
症状固定まで治療を続ける
必要な検査を受ける
自覚症状を医師に対して具体的に伝える
認定基準を踏まえた後遺障害診断書を作成してもらう
保険会社に任せず、被害者請求を行う
以下で詳しく解説します。
3-1. 事故直後に整形外科を受診する
たとえ強い痛みを感じていなくても、交通事故に遭った当日か翌日には整形外科を受診してください。確かに、事故から数日が経ってから痛みやしびれなどの症状が出てくることもあります。しかし、事故日と受診日に開きがあると「事故とは別の原因でけがをしたのではないか」と疑われてしまうのです。これは、むち打ちに限った話ではありません。
3-2. 医師の指示に従って適切な頻度で通院する
事故直後から整形外科を受診したら、その後も医師の指示に従い、週2回から3回の頻度で、短くても3カ月から6カ月程度は通院を続ける必要があります。これは、保険会社や裁判所に「痛みがあるなら病院に行くはずで、病院に行っていないのは大した痛みではないからだろう」と判断されるのを避けるためです。仕事などで忙しかったとしても、週2回から3回のペースでの通院をしっかり維持することが大切です。
また、接骨院や整骨院は直接的な施術を受けられるため魅力的に感じられるかもしれませんが、必ず整形外科に通院することが重要です。後遺障害等級認定においては、医療機関ではない接骨院や整骨院への通院は、整形外科に比べて重視されない傾向が強いからです。
3-3. 症状固定まで治療を続ける
症状固定と医師に診断されるまでには3カ月から6カ月程度の期間を要します。症状固定の診断後に痛みやしびれが残っている場合、その痛みやしびれを後遺障害として主張できます。
症状固定前に加害者側の保険会社が治療費の支払いを打ち切ってくるケースもあります。しかし、医師が「継続治療が必要」と判断しているのであれば、健康保険などに切り替えてでも、症状固定までは通院を継続すべきです。
3-4. 必要な検査を受ける
むち打ちで12級13号の認定をめざすのであれば、画像所見や神経学的所見が必要です。医師と相談しながら、MRIやCTなどの画像検査、可動域検査や腱反射検査などの神経学的検査を受けてください。検査によっては高価な場合もあるので、加害者側の保険会社が治療費を負担してくれている間に実施できると理想的です。
3-5. 自覚症状を医師に対して具体的に伝える
症状を医学的に説明できる状態にするためにも、通院するたびにどのような症状があるのか具体的に医師に伝えることが重要です。診断書の記載が一貫しているほど、説得力が増します。たとえば、受診日にたまたま痛みを感じにくかっただけなのに「ずいぶん調子がよくなりました」などと言ってしまうと、診断書の一貫性が損なわれるため注意が必要です。
3-6. 認定基準を踏まえた後遺障害診断書を作成してもらう
症状固定と診断され、後遺障害等級認定を申請する際には、医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。14級9号の認定には事故と症状との因果関係など、医学的説明を充実させる必要があります。12級13号ではさらに他覚的所見の記載も求められます。
しかし、担当の医師が後遺障害等級認定のポイントを押さえているとは限りません。早めに弁護士に相談し、どのような事項を診断書に記載してもらう必要があるのか、医師とコミュニケーションをとってもらうのが最も確実です。
3-7. 保険会社に任せず、被害者請求を行う
後遺障害等級認定の申請には、すべての手続きを相手の保険会社に任せる「事前認定」と、自分で手続きを行う「被害者請求」の2種類があります。
事前認定のほうが圧倒的に手間が少なくて済みますが、手続きに最低限必要な書類しか提出されません。一方、被害者請求であれば認定に有利に働く資料を自分で追加提出できます。等級認定を受ける確率を少しでも上げたいのであれば、被害者請求による申請がお勧めです。
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4. むち打ちで後遺障害等級が認定された場合に受け取れるお金は?
むち打ちで後遺障害等級が認定された場合に受け取れるお金の種類について解説します。
4-1. 後遺障害慰謝料|身体的、精神的苦痛に対する賠償金
「後遺障害慰謝料」とは、後遺症が一生残ることで受ける身体的、精神的苦痛に対する補償です。
後遺障害慰謝料の額は、後遺障害認定の等級と、慰謝料の算定基準によって大きく左右されます。
慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判所基準)の三つがあります。自賠責基準は自賠責保険の支払い基準で、三つのなかで最も低額な基準です。弁護士基準は過去の裁判例などをもとに算出される基準で、三つのなかで最も高額な基準です。任意保険基準は各保険会社が算定している基準で、自賠責基準と弁護士基準の中間程度の額となります。
後遺障害慰謝料の額は等級と基準で大まかな目安が決められており、まとめると下表のとおりです。ただし、これらはあくまでも目安です。
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
|---|---|---|
12級 | 94万円 | 290万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
上表のとおり、等級や基準が変わると、慰謝料額は大きく変化します。任意保険会社は自社の任意保険基準により慰謝料額を提案してきます。一方、弁護士に依頼すれば弁護士基準で交渉してくれるため、最終的な合意ラインは任意保険基準よりも高い水準になります。
4-2. 逸失利益|労働能力の喪失によって失われた収入
「逸失利益」とは、後遺症によって以前のように働けなくなり、将来得られるはずだったのに失われてしまった収入に対する補償です。後遺障害等級以外に、被害者の年齢や年収などによって金額が変動します。
逸失利益の計算式は、以下のとおりです。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
・基礎収入:事故前の年収
・労働能力喪失率:後遺障害によって失われた労働能力の割合。12級は14%、14級は5%とされている
・労働能力喪失期間:後遺障害によって従前どおりの労働ができなくなってしまった期間。原則として症状固定時から67歳までの期間が認定されるが、むち打ちの場合は12級で10年程度、14級で5年程度に制限されることが多い
・ライプニッツ係数:将来受け取るはずのお金を前払いで受け取る際に中間利息を控除するための数値
被害者が年収500万円の40歳男性の場合を例に、逸失利益の額を計算してみます。
【12級が認定された場合】
基礎収入が500万円、労働能力喪失率が14%で、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を8.530(10年)とすると、逸失利益額は「500万円×0.14×8.530=597万1000円」となります。
【14級が認定された場合】
基礎収入が500万円、労働能力喪失率が5%で、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を4.580(5年)とすると、逸失利益額は「500万円×0.05×4.580=114万5000円」となります。
5. 後遺障害等級認定の申請と損害賠償請求の流れ
事故が発生してから最終的に賠償金を受け取るまでの基本的な流れは以下のとおりです。
5-1. 事故直後の対応
交通事故が発生したら、警察への連絡、加害者との連絡先の交換、自身の保険会社への連絡を必ず行います。また、近くを走っていた車のドライブレコーダーに事故の様子が映っていることもあります。映像を提供してくれる人がいたら、その人との連絡先の交換も忘れずに行ってください。
5-2. 医療機関の受診
事故の当日または翌日には整形外科を受診し、事故の状況や自覚症状を医師にすべて伝えます。
5-3. 完治または症状固定の診断
3カ月から6カ月治療を続けても完治にいたらない場合、症状固定と診断されることが一般的です。けがの程度によっては9カ月、12カ月と長期化する場合もあります。
5-4. 後遺障害等級認定の申請
医師に書いてもらった後遺障害診断書などを提出して後遺障害等級認定の申請を行います。結果が出るまでは早ければ1カ月、長いと2カ月から3カ月を要することもあります。また、結果に不満がある場合は異議申立てをすることも可能です。
5-5. 示談交渉
後遺障害等級が確定して初めて損害の総額が確定します。ここから加害者側の保険会社との交渉がスタートします。
一度示談に合意するとやり直しはできません。相手の保険会社から提示される示談金額はうのみにせず、弁護士に依頼して弁護士基準での算定や交渉を行うことが大切です。
5-6. ADR(裁判外紛争解決手続)や訴訟
示談交渉で折り合いがつかない場合は、裁判所以外の第三者機関によるADR(裁判外紛争解決手続)や裁判所への訴訟手続きを検討する必要も出てきます。
5-7. 賠償金の支払い
示談の成立や判決の確定によって賠償金額が確定すると、およそ2週間から3週間程度で賠償金が支払われます。事故から賠償金の支払いまでは、スムーズに進むケースでも半年程度かかります。治療期間が長かったり、交渉が長引いたりすれば、1年以上かかることもあります。
6. むち打ちの後遺症について、後遺障害等級が認定されなかった場合の対処法
後遺障害等級認定をしても希望どおりの認定が下りるとは限りません。12級13号をめざしたはずが14級9号になってしまったり、14級9号すら認められなかったりすることも少なくありません。そのような場合には、以下の三つの対処法が考えられます。
6-1. 損害保険料率算出機構に異議を申し立てる
「損害保険料率算出機構」とは、後遺障害等級認定の審査を行う機関です。希望する等級が認定されなかった場合、損害保険料率算出機構に対して「もう一度審査をやり直してほしい」と異議を申し立てることができます。消滅時効の期間内(多くの場合、事故の翌日から5年間)であれば、異議申立ては何度でも可能です。
もっとも、損害保険料率算出機構もそれなりの根拠に従って認定しています。そのため、新たに医学的な証拠を提出しない限り、審査の結果を覆すのは困難です。
6-2. 自賠責保険・共済紛争処理機構の紛争処理制度を利用する
損害保険料率算出機構から離れ、第三者的な視点から公正中立に異議申立てを審査する機関として、「自賠責保険・共済紛争処理機構」という機関があります。通常の後遺障害等級認定も行う損害保険料率算出機構と異なり、こちらは異議申立て専門の機関です。
損害保険料率算出機構の判断に不満がある場合には、選択肢の一つです。とはいえ、紛争処理機構での審査も専門家たちによって行われるため、機関が変わっただけで有利な結果が出るとは限りません。また、審査を受けられるのは1回だけです。
6-3. 裁判所に訴訟を提起する
最終手段として、裁判所に訴訟を提起し、裁判官に後遺症の有無を判断してもらう方法があります。
もっとも、裁判官は法律の専門家であって交通事故の専門家ではありません。そのため、交通事故の専門家の判断である損害保険料率算出機構や共済紛争処理機構の判断が重視されることもあります。裁判所に訴訟を提起するとしても、医学的な主張を行うことが不可欠です。
また、訴訟は長期化しやすいため、交通事故に精通した弁護士に依頼するのが得策です。
7. 交通事故でむち打ちとなった場合に、弁護士に相談や依頼をするメリット
むち打ちは後遺障害等級認定を受けるのが非常に難しいけがです。また、けがの痛みや治療があるなかで、自身で保険会社と交渉を続けるのは、大きな精神的ストレスにもなります。
交通事故に強い弁護士に相談や依頼をすることで、以下のようなメリットを得られます。
損害賠償請求を見据えたけがの治療についてアドバイスを受けられる
後遺障害等級認定の申請をサポートしてもらえる
保険会社に治療費の打ち切りを通告された場合も、適切に対応してもらえる
弁護士基準での請求により、賠償金の増額が期待できる
弁護士費用も特約を使えば、実質負担ゼロ
7-1. 損害賠償請求を見据えたけがの治療についてアドバイスを受けられる
適正な賠償金を受け取るためには、事故直後からの通院実績がきわめて重要です。早い段階で弁護士に相談すれば「週に何回通院すべきか」「MRI検査はいつ受けるべきか」「医師に自覚症状をどう伝えるべきか」など、後の後遺障害認定で不利にならないための具体的なアドバイスを治療中から受けることができます。
7-2. 後遺障害等級認定の申請をサポートしてもらえる
後遺障害等級が認定されるかどうかは、医師が作成する後遺障害診断書の内容に大きく左右されます。弁護士に依頼すれば、診断書に記載漏れや不利な表現がないかを事前にチェックし、医師に追記をお願いするなどのサポートもしてもらえます。
また、認定率を高めるために有効な被害者請求の手続きも、弁護士が代行してくれるため、手間が大幅に省けます。
7-3. 保険会社に治療費の打ち切りを通告された場合も、適切に対応してもらえる
むち打ちの治療を数カ月続けていると、加害者側の保険会社から「そろそろ治療費の支払いを打ち切ります」と通告されることがあります。しかし、まだ痛みが残っていて、医師も継続治療が必要と判断しているなら、安易に保険会社の通告に応じるべきではありません。
弁護士が介入することで、治療期間の延長を保険会社に交渉できます。仮に治療費支払いの延長が難しかったとしても、健康保険への切り替えなど、治療を継続して受けるための方法を相談できます。
7-4. 弁護士基準での請求により、賠償金の増額が期待できる
保険会社が提示してくる賠償金は、保険会社独自の任意保険基準で計算されています。そのまま示談に応じると、裁判例に基づく金額より大幅に少なくなってしまうことがほとんどです。
弁護士に依頼すれば、過去の裁判例に基づき最も高額な弁護士基準を用いて交渉してくれます。そのため、むち打ちの事案であっても、賠償金が保険会社の当初の提示額から大きく増額するケースが非常に多くなります。
7-5. 弁護士費用も特約を使えば、実質負担ゼロ
弁護士に依頼すると高額な費用が発生するイメージがあるかもしれません。しかし、自身の自動車保険などに「弁護士費用特約」が付いていれば、原則として自身の保険会社が弁護士費用を負担してくれます。
弁護士費用特約には上限額がありますが、むち打ちの事案で費用が上限額に達することはまずありません。そのため、実質的には負担額ゼロで弁護士に依頼することが可能です。
8. むち打ちの後遺障害等級の認定基準に関してよくある質問
Q. 後遺障害等級の認定を受けることにデメリットはある?
認定を受けること自体にデメリットはありません。強いて挙げるなら、後遺障害等級認定の申請から審査が下りるまでの日数分、賠償金の入金が先延ばしになる点です。それも賠償金が増額されることを考えればデメリットとは言えないでしょう。治療を尽くしても症状が残ってしまったら、必ず等級認定を申請すべきです。
Q. 一度「非該当」になっても、異議申立てをして認定結果が覆ることはある?
損害保険料率算出機構がまとめた「2024年度 自動車保険の概況」によれば、2023年度に後遺障害(高次脳機能障害などを除く)の専門部会での審査において異議申立てにより等級変更が認められた件数は、全審査件数10727件に対して1024件(約9.5%)です。
高いとは言い難い数字ですが、決してゼロではありません。医学的な新証拠を提出できれば、認定結果が覆る可能性は十分あります。
9. まとめ 交通事故でむち打ちの症状が残ったら、適正な賠償のために弁護士に相談を
むち打ちは交通事故でも特に身近なけがですが、画像検査などから異常を確認しにくいため、後遺障害等級の認定を受けるのが非常に難しいのが現状です。しかし、もし認定を受けられ、その分賠償金が増えれば、今後痛みやしびれを抱えながら生活していくなかでの一つの支えになります。
事故直後からの通院や検査、後遺障害診断書などを適切に積み重ねることで、認定を受けられる可能性は格段に高まります。保険会社との交渉や複雑な手続きに疲弊してしまう前に、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。
(記事は2026年7月1日時点の情報に基づいています)
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