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交通事故で骨折し、1カ月ほど通院しています。利き腕を痛めたため、料理や掃除、洗濯といった家事ができず、家族に大きな負担をかけてしまっています。パートなどには出ていない専業主婦ですが、家事ができなかった期間の「休業損害」を請求することはできますか?(東京都在住、30代女性)
結論から言いますと、専業主婦(以下、主夫も含む)でも休業損害は請求できます。よくあるのが、「休業損害は給与などの収入がある人しか請求できないから、専業主婦は一切請求できない」という誤解です。保険会社から示談交渉の際に、そのような説明を受けることも多くあります。
しかし、一定の条件はあるものの、専業主婦でも休業損害を請求することは可能です。家事代行サービスなどに費用が発生することからもわかるとおり、家事労働は金銭的な評価が可能な労働と認められているからです。裁判実務上も、家事ができなかったことによる損害は休業損害の一種と考えられています。
1. 専業主婦の休業損害の算定方法
休業損害は「1日あたりの収入額×休業日数」で算出します。それぞれの算定方法は以下のとおりです。
1-1. 1日あたりの収入額を算定する
弁護士や裁判所が使用する交通事故の「裁判所基準(弁護士基準)」では、会社員などの場合、事故直近の3カ月間の給与額から1日あたりの収入額を算出します。一方、専業主婦の場合はこうした明確な賃金が決まっていません。そこで、実務上は厚生労働省が毎年発表する「賃金構造基本統計調査(賃金センサス)」を使用します。
賃金センサスとは、日本国内の労働者の平均賃金を業種や学歴、性別などの分類ごとに調べることができる統計です。専業主婦の場合は、事故前年の賃金センサスの女性労働者の平均年収をもとに、1日あたりの収入額を算出します。
2026年に交通事故にあった場合を例にとると、2025年の賃金センサスを基に算出した女性労働者(学歴計、全年齢)の平均年収は437万700円となっています。これを365日で割ると1日あたり約1万1975円となり、この金額を1日あたりの収入額として使用します。
1-2. 休業日数を算定する
自賠責保険や保険会社の基準では、実際に入院・通院した日数で算定されることが多くあります。一方、弁護士基準では、入通院日数を使用することもありますが、通院日以外にも家事ができなかった日が発生することもあるため、異なる方法で休業日数を算定することがあります。
具体的には、けがの回復状況に応じて家事のできる割合が増えていくと考え、算定することがあります。たとえば最初の1カ月(30日)は100%(30日分)、2~4カ月目は50%(各月15日分)、5~6カ月目は30%(各月9日分)というように計算します。ただし、けがの程度や治療の経過によって異なるため、個別具体的な検討が必要になります。
2. 保険会社と交渉する際の注意点
けがの治療がひと段落し、休業損害を含めた賠償金を請求する際は、加害者の保険会社と直接交渉する必要があります。専業主婦の場合、保険会社から「休業損害は請求できない」と説明されることがありますが、ここまで解説したように、専業主婦の休業損害は、通常とは異なる主張や証明が必要になります。そのため、被害者自身で直接交渉をするのは難しく、負担になることも少なくありません。
悩んだり迷ったりすることがあれば、弁護士に相談・交渉を依頼することをお勧めします。
(記事は2026年6月1日時点の情報に基づいています。質問は実際の相談内容をもとに再構成しています)
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