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1. 交通事故でけがをしたら、1カ月15日以上通院したほうがいい?
インターネット上などでは、「交通事故でけがをしたら、毎月の通院日数を『15日を上限』とするほうが、賠償金額との兼ね合いで有利だ」という意見が見られます。しかし、結論から言うと、この「15日」という数字に特別な意味はありません。
筆者も弁護士として数多くの交通事故の賠償実務に携わっていますが、「15日」という数字を意識したことは一度もありません。交通事故を多く取り扱うほかの弁護士も同様だと思います。
一方、通院日数やその内容について、「主治医の指示に従って適切な治療を受けているかどうか」については常に意識しています。通院の日数や頻度は、けがの状態や治療の状況、主治医の方針によって決められるべきだからです。
2. ネット上で「通院15日」という数字が一人歩きする3つの理由
ネット上でよく見かける「通院日数が15日だと有利」とする意見の根拠として考えられるものは、次の3つです。
2-1. 自賠責保険の慰謝料計算式では、通院15日で慰謝料額が最大化される
自賠責保険から支払われる慰謝料は、以下のいずれか短いほうの日数に、日額4300円をかけた金額となります。
通院期間の総日数
実際に通院した日数×2
たとえば、治療期間が1カ月(30日)の場合、慰謝料の計算に用いる日数の上限は30日です。実際に通院した日数が15日のときは、「15日×2=30日」となるため、この時点で慰謝料は上限額に達します。つまり、16日以上通院しても慰謝料は増加しないことになります。
一方、弁護士に示談交渉を依頼した場合、自賠責保険基準ではなく、弁護士基準(裁判所基準)を用いることになるため、弁護士がこの「15日」という数字を意識することはありません。弁護士基準では、原則として「実際の通院日数」ではなく「通院期間(治療期間)」をベースに計算することになるからです。
加害者が任意保険に加入している場合、基本的には任意保険会社から賠償を受けられるため、無保険の場合と異なり賠償金未回収の可能性を気にする必要はありません。一方で、加害者が自賠責保険にしか加入していない場合、最大120万円という自賠責の限度額を超えた場合は治療費などは自己負担になるため、「15日以上は通院しない」と検討する余地はあります。
しかし、この場合でも、大事なのは体であり、後日の受領可能な慰謝料額を気にして適切な治療を受けないというのは適切ではないと言えます。やはり、「15日」という日数を気にして治療を行うのはあまり意味がありません。
2-2. 自賠責保険の傷害部分の上限額120万円との兼ね合い
自賠責保険では傷害部分の支払上限額として、治療費も含め「120万円」という枠が設けられています。一般的に交通事故の自由診療の治療費は健康保険使用時と比べてかなり高いため、通院頻度が多いと、治療費だけでかなりの枠を使うことになります。たとえば、治療費が80万円だとすると、残り40万円分しか慰謝料を受け取ることができません。
この額を慰謝料で割り戻すと、総治療日数をもとに算出した場合、約93日分の3カ月程度の通院しかできません(総通院期間3カ月で治療費80万円・慰謝料40万円)。さらに実通院日数をベースにすると日額8600円(4300円×2)なので、約46日の通院しかできないことになります(実際の通院46日で治療費80万円・慰謝料40万円)。こう考えると、「多く通院をすると不利になるから、あまり通いすぎないほうがいい」という文脈で、「15日」という数字が使用されているようにも思えます。
しかし、将来の賠償額を気にして本来必要な治療を受けないでいれば、後悔するおそれがあります。
2-3. 過剰診療や、弁護士基準における慰謝料減額との兼ね合い
1カ月あたり15日の通院というのは2日に1回の頻度であり、かなり多いです。一般的なむちうちの治療としては、最初の1カ月の急性期の通院時期を除けば、「過剰診療」という主張が保険会社側から出されそうなラインと言えます。
しかし、過剰診療かどうかは、具体的なけがの内容と主治医の治療方針で決まるもので、定型的に決まっているわけではありません。
弁護士として筆者が相談段階から気にしているのは、病院に実際に通った実通院日数が、治療期間の3分の1を下回ってしまうかどうかです。他覚所見のないむちうちなどの場合、これが弁護士基準においても、慰謝料額の減額が認められるラインだからです。
筆者の経験上、責任感が強い人ほど、職場への影響を気にして、痛みをがまんして通院より仕事を優先する傾向にあります。その結果、本来、けがの状況からもっと通ったほうがいいと医師から指摘されているにもかかわらず、病院に実際に通った日数が治療期間の3分の1を大きく下回ることがあります。
その場合、一般的には賠償額が大幅に減額される可能性があることを伝え、夜間も受診できる整形外科への転院などもお勧めしています。しかし、この場合でも「1カ月15日以上通ったら不利になる」ではなく、「平均して1カ月10日以上通わないと不利になる可能性がある」という話になります。
つまり、1カ月15日以上の通院をすると賠償などで不利に扱われるという主張は、賠償実務には必ずしも当てはまらないものであり、重要なのは医師の指示に従ってきちんと通院をしているかどうかになります。
3. 交通事故の入通院慰謝料の計算方法
交通事故の入通院慰謝料の計算方法について、具体例を出しながら解説します。
3-1. 入通院慰謝料の算定に用いる3つの基準
入通院慰謝料の算定基準には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」という3つの基準があります。
強制加入である自賠責保険基準は、国が定めた支払基準にのっとり、交通事故の最低限度の保障が定められている基準です。入通院慰謝料は「通院期間の総日数」と「実際に通院した日数×2」のいずれか短いほうの日数に、日額4300円をかけた金額となります。
任意保険基準は、任意保険会社が独自に定めた基準で、自賠責保険基準と同等か若干高いことが多いです。
弁護士基準は、弁護士や裁判所などで参照されている基準です。地域によって参照する対象が異なりますが、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』、いわゆる「赤い本」などが有名な基準です。
もちろん事案によって異なりますが、弁護士基準を100%とすると、自賠責保険基準が60%から70%、任意保険基準が70%から80%程度とイメージするとわかりやすいです。被害者としては、最も高額の弁護士基準で請求することが大切です。
3-2. 自賠責保険基準による入通院慰謝料の計算方法
自賠責保険から支払われる慰謝料は、以下のいずれか短いほうの日数に日額4300円をかけた金額となります。
通院期間の総日数
実際に通院した日数×2
この計算方法をもとに具体的事例を見ていきましょう。
【通院期間の総日数2カ月(実通院日数15日)の場合】
1カ月間を30日とすると、通院期間の総日数は60日となります。実際に通院した日数は15日×2=30日となり、実際に通院した30日のほうが少ないため、入通院慰謝料は「4300円×30日=12万9000円」となります。
【通院期間の総日数3カ月(実通院日数45日)の場合】
1カ月間を30日とすると3カ月は90日間で、実際に通院した日数45日×2=90日と同じになります。よって、慰謝料額は「4300円×90日=38万7000円」になります。
3-3. 弁護士基準による入通院慰謝料の計算方法
弁護士基準で入通院慰謝料を算定する場合、以下の早見表が用いられます。骨折を伴わない頸椎捻挫(けいついねんざ、いわゆるむちうち)は「軽傷」扱いとなります。
この「軽傷」扱いの図の場合、実通院日数が通院期間の3分の1を下回ると慰謝料が減額される可能性があるため注意が必要です。
以下、交通事故でむちうちなどの場合における計算シミュレーションです。
【通院期間3カ月(実通院日数15日)の場合】
実通院日数が通院期間の3分の1である30日を下回るため、慰謝料が減額されます。慰謝料が減額される場合、「実通院日数の3倍の日数」を上記の交通事故の入通院慰謝料早見表(重傷の場合)にあてはめます。
15日×3=45日となり、1カ月+15日です。まず最初の1カ月の慰謝料が28万円です。1カ月から2カ月までの慰謝料は52万円−28万円=24万円となり、1カ月から2カ月までの半月分の慰謝料はその2分の1の12万円です。そのため、45日分の入通院慰謝料は28万円+12万円=40万円となります。
【通院期間3カ月(実通院45日)の場合】
通院期間が3カ月であるため、入通院慰謝料は53万円になります。実通院日数が45日間あり、通院期間の3分の1である30日間を下回っていないので、通院日数を理由とした減額は基本的に生じません。
4. 交通事故の通院期間と実通院日数の数え方
次に、「通院期間」と「実通院日数」の意味と算定方法を解説します。
通院期間とは、治療開始から症状固定(医学上これ以上の改善が見込めなくなった状態)、または治癒までの期間の総日数を言い、カレンダーで日数を数えることで算出できます。
一方、実通院日数とは、実際に病院に行った日数を指します。
4-1. リハビリのために通院した場合
主治医が必要と判断した症状固定前のリハビリは、通院期間と実通院日数のどちらにも含まれます。
4-2. 事故直後に念のため(検査の目的で)受診した場合
事故後に保険会社と相談し、念のために頭部のMRIなどの検査をすることがありますが、けがをしていなかった場合、入通院慰謝料は請求できません。
一方、けがをしている場合には、検査目的の受診日についても通院日数と通院期間の両方に含みます。
4-3. 家庭や仕事の事情で通院できず、途中に自宅で療養した期間がある場合
通院途中で、家庭や仕事の都合で通院できない期間が一部あった場合、病院に通院していないため実通院日数には計上されません。ただし、その後も通院を継続していれば通院期間には含まれます。
一方、あまりに通院期間が空いている場合、事故とけがの因果関係がないとしてそれ以降の賠償を保険会社や裁判所から否定される可能性があるため注意が必要です。
4-4. 同じ日に病院と整骨院の両方に通った場合
2つの治療施設に通った日がある場合でも、実通院日数は1日と数えます。整骨院は医療機関ではないものの、通院日数として考慮されます。
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5. 注意!「通院15日」や賠償額にこだわりすぎることのデメリット
治療費や慰謝料は、治療行為に必要性と相当性が認められる範囲でしか賠償請求ができません。医学的な必要性があることが大前提です。
実際には痛くないのに通院したり、医学的な必要性がないにもかかわらず通院したりしても、その分の治療費や通院交通費の請求は認められません。入通院慰謝料についても、必要がないのに通院しても、増額などは認められません。
むしろ保険会社から「過剰診療」と疑われる可能性もあるため、医師の指示に従ってきちんと通院する必要があります。治療はけがを治すために行うのであって、その結果に基づき賠償が行われます。賠償を求めるために通院をするわけではない点は認識しておくべきでしょう。
筆者も保険会社側から「過剰診療」の主張をされ、整骨院に関する100万円を超える治療費等の返還を求める旨の主張を受けた経験があります。特に、整骨院への通院は整形外科の主治医の指示が必須で、整形外科の定期的かつ具体的な指示のない整骨院への通院は、仮に保険会社が了承していても、あとで治療費や慰謝料が否定される可能性があるため、注意が必要です。
6. 適切な通院日数は?治療をやめるタイミングは?
「適切な通院日数」や「適切な治療をやめるタイミング」というものは決まっていません。実際のけがの症状や治療の状況、主治医の判断によって決まります。そのため、まずは主治医によく相談をする必要があります。
ただし、賠償の仕組みを知らずに、本当はもっと通院すべきだったにもかかわらず、痛みを我慢して仕事を優先した結果、逆に不利に扱われたケースが実際にあります。不安であれば適宜、弁護士に相談するとよいでしょう。
7. 交通事故で通院したときに、入通院慰謝料以外にもらえる賠償金
交通事故で通院した際に、入通院慰謝料以外に以下のような賠償金が認められます。
7-1. 治療関係費
必要かつ相当な範囲での病院や整骨院などの治療費をはじめ、器具代、文書料、入通院時の付添費用、入院時の雑費(日額1500円)、将来介護費などが認められます。
7-2. 通院交通費
自宅から病院への交通費が認められます。公共交通機関の場合は実費、自家用車の場合は、自宅から病院までの距離を算出し、ガソリン代として1km15円と計上するのが一般的です。
7-3. 休業損害
けがを理由に休業をした場合に認められます。自営業者、会社員だけでなく、パートなどの兼業主婦(主夫)や専業主婦(主夫)も、女性の平均賃金に基づいた損害額が認められます。
7-4. 逸失利益
「逸失利益(いっしつりえき)」とは、交通事故がなければ将来得られるはずだったのに、事故による後遺障害のために得られなくなってしまった収入や利益を指し、後遺障害が認定された場合に認められます。
後遺障害等級1級から14級まででそれぞれ将来の減収をもたらす程度(労働能力喪失率)と期間(労働能力喪失期間)が定められており、事故前年度の収入状況などからライプニッツ係数(将来受け取るはずのお金を一括で受け取る場合に、金額を現在の価値に換算するために用いる係数)などを用いた所定の計算方法で算出します。主婦(主夫)はもちろん、実際に働いていない学生や若年者についても認められる可能性があります。
7-5. 後遺障害慰謝料
後遺障害が認定された場合に認められます。1級から14級までの認定等級に従い、ある程度定型的に認定されるケースが多いです。後遺障害等級別の自賠責保険基準と弁護士基準の後遺障害慰謝料額は以下のとおりです。交通事故で多いむちうちが該当することの多い14級9号は、弁護士基準で110万円です。
なお、任意保険基準は一般に公開されていないため、ここでは割愛します。
後遺障害等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
要介護1級 | 1650万円 | 2800万円 |
要介護2級 | 1203万円 | 2370万円 |
1級 | 1150万円 | 2800万円 |
2級 | 998万円 | 2370万円 |
3級 | 861万円 | 1990万円 |
4級 | 737万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
10級 | 190万円 | 550万円 |
11級 | 136万円 | 420万円 |
12級 | 94万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
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8. 交通事故で通院する場合に賠償金を増額するためのポイント
交通事故で通院する場合に賠償金を増額するためのポイントは、主に次の6つです。
事故後できるだけ早く医療機関を受診する
医師の指示に従い、適切な頻度で最後まで通院する
保険会社に治療費の打ち切りを主張された場合は、医師と弁護士に相談する
後遺障害等級認定の申請に向けた準備を整える
保険会社の提示する示談書にその場でサインせず、精査する
示談交渉は交通事故に強い弁護士に任せる
8-1. 事故後できるだけ早く医療機関を受診する
通院を開始するタイミングとしては、事故当日か遅くとも翌日までが望ましいです。救急車で搬送された場合以外でも、帰宅後すみやかに受診可能な整形外科を探して受診をしましょう。遠いところの整形外科しか見つからなかったとしても、自身が加入している保険会社か相手の保険会社に事情を話すことで、事故から日が浅ければ転院を認めてもらえます。
受診が遅れた場合、けがの状況の把握が遅れ、治療自体に悪影響が生じます。さらには、事故とけがの因果関係を否定されることで損害賠償請求にも支障をきたすおそれがあります。
筆者の経験上、事故から3日以上経過してしまうと、保険会社から因果関係などについて争う旨の主張を受ける可能性が高くなっていく傾向にあります。また、受診時には問診票に受傷部位や症状を書き漏らさないように注意し、医師に対して丁寧にけがの状況を説明する必要があります。医療記録から受傷部位が漏れたために、あとでその部位の治療費を否定される例があります。
8-2. 医師の指示に従い、適切な頻度で最後まで通院する
治療については、医師の指示に従って適切な頻度で通院を続けましょう。
医学的必要性からは本来はもっと通院をしたほうがいい状態でも、仕事などを休めず通院ができていないケースも少なくありません。この場合は賠償との兼ね合いで、きちんと通院日数を把握しておいたほうがよいと言えます。痛みを理由に仕事を休んで通院していた場合より、痛みを我慢して仕事に通っていた場合のほうが、賠償の交渉において不利に扱われるためです。
夜間や、土日に受診ができる整形外科を探すか、それでもどうしても見つからない場合は、整形外科と提携している整骨院などの受診も選択肢の一つです。ただし、整骨院などに通院する場合は、あとでもめないように必ず医師の許可をもらうようにしてください。
8-3. 保険会社に治療費の打ち切りを主張された場合は、医師と弁護士に相談する
交通事故のけがの症状は、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復していきますが、これ以上治療を継続してもけがの改善が認められない状態を「症状固定」と言います。症状固定時期の診断は主治医が下すものの、損害賠償について症状固定時期の判断をするのは裁判官で、主治医の意見や医療記録を参考に判断します。
保険会社には症状固定日を判断する権限はありません。ただし、病院への治療費を代わりに払ってくれる「一括対応」というサービスを保険会社の判断で打ち切るケースもあり、自社が適切と考える症状固定日までで治療の打ち切りを主張してくることもあります。
治療費を打ち切られたあとは一括対応ではなく、自身の健康保険で治療を継続するか、後遺障害申請を行うかを被害者側で判断する必要があります。保険会社から治療の打ち切りを打診された場合は、主治医や弁護士と相談したうえで対応を慎重に検討する必要があります。
8-4. 後遺障害等級認定の申請に向けた準備を整える
治療を続けたものの後遺症が残ってしまった場合、その症状の内容や程度に応じて、自賠責保険等で1級から14級までの各等級に区分して認定される等級を「後遺障害等級」と言います。
交通事故の賠償項目である後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益は、この後遺障害等級によって大きく変わります。後遺障害等級の認定に必要な検査の内容や、後遺障害診断書の記載内容などについては、主治医だけではなく、後遺障害の認定に詳しい弁護士に相談しながら準備を進めることが大切です。
8-5. 保険会社の提示する示談書にその場でサインせず、精査する
示談交渉が始まると相手の保険会社が示談金額を提示してきますが、その額が相場と比べて低いケースが少なくありません。これは慰謝料や逸失利益などについて、自賠責保険基準や任意保険基準が用いられているためです。また、請求項目が漏れてる場合や過失割合が不適切である場合もあります。
基本的に保険会社が当初の提示額から増額しないケースのほうが珍しいため、内容を精査するために弁護士に相談するとよいでしょう。交通事故の示談金については、過去の裁判例に基づく弁護士基準を用いるのが望ましいと言えます。
8-6. 示談交渉は交通事故に強い弁護士に任せる
示談交渉を交通事故に強い弁護士に相談した際のメリットには、以下のようなものがあります。特に自身の保険に弁護士特約が付帯されている場合は、基本的に弁護士への依頼費用がかかりません。
損害賠償請求を見据えた、治療や通院において気をつける点についてアドバイスを受けられる。
慰謝料や逸失利益について弁護士基準で得られる金額の算定、適切な過失割合の主張をすることで、賠償金の増額が期待できる。
保険会社との交渉、ADRの利用、訴訟などの手続きを任せることができ、労力やストレスが軽減される。
※ADR(裁判外紛争解決手続)とは、裁判による判決を経ずに、あっせん、仲裁、調停といった手続きを通じて紛争を解決する方法を指します。
9. 交通事故による通院日数に関してよくある質問
Q. 交通事故の通院日数が少ないと、慰謝料は減る?
弁護士基準による慰謝料は、基本的に通院日数ではなく通院期間に応じて決まります。しかし、実際に通った日数が全体の通院期間の3分の1を大きく下回る場合などは、大幅に減額されるケースがあります。
Q. 仕事が忙しくて通院間隔が1カ月も空いた場合、どうしたらいい?
連休や仕事がある場合でも、通院は定期的かつ継続的に行う必要があります。やむを得ない理由で通院が空いてしまった場合は、すみやかに通院を行い、その旨を主治医に伝え、カルテなどに残してもらうのも一つです。保険会社から理由を尋ねられても、きちんと理由を答えられるようにしておきましょう。
Q. 通院間隔が空いてしまうと、慰謝料は減額される?
通院期間が空くと「本当は治療の必要がないから通っていないのではないか」と、事故とけがの因果関係を争われ、その後の通院費が認められなくなるおそれがあります。また、全体の通院頻度が少なくなるため、慰謝料額が減額される可能性が高いです。
Q. 保険会社から「通院頻度が多い」と言われたらどうすべき?
整形外科に通院しており、かつ、頻度や方法について主治医の指示に従っているのであれば、あまり問題になることはありません。保険会社には医師から通院を指示されていることを伝えるとよいでしょう。整骨院の場合は、後日、過剰診療として争われるケースが多いため、すみやかに整形外科の主治医に適切な頻度や方法などを確認する必要があります。
10. まとめ 通院頻度に関して不安があれば、弁護士に相談を
1カ月あたり15日の通院というのは2日に1回の頻度であり、非常に多い数字と言えます。一般的なむちうちの治療の場合、最初の1カ月の急性期の通院時期を除けば、相手の保険会社から「過剰診療」という主張が出そうなラインと言えます。しかし、通院期間は具体的なけがの内容と主治医の治療方針で決まるものです。
治療費や慰謝料は、治療行為に必要性と相当性が認められる範囲でしか賠償請求ができません。医学的な必要性があることが大前提で、それが15日以内であることもあれば15日以上であることもあるでしょう。賠償は、医師の指示に従ってきちんと通院した結果に基づいて行われます。
賠償の仕組みを知らずに、本当はもっと通院すべきだったにもかかわらず、痛みを我慢して通院しなかった結果、逆に不利に扱われたケースが実際にあります。通院頻度に関して不安があれば適宜、弁護士に相談することをお勧めします。
(記事は2026年8月1日時点の情報に基づいています)
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