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1. 交通事故で6カ月通院した場合の慰謝料相場は?
交通事故で6カ月通院した場合の慰謝料額の相場は、算定に用いる基準によって異なります。
弁護士基準(裁判所基準)に基づいて算定した場合の慰謝料の相場は、むちうちなど軽傷で6カ月通院した場合は89万円、骨折など重傷で6カ月通院した場合は116万円が目安です。
弁護士基準が用いられるのは、弁護士に依頼した場合や、訴訟など裁判所の手続きを通して慰謝料額を決める場合です。そのため、この基準をもとに慰謝料を請求するには通常、弁護士に依頼するか、裁判所で手続きをする必要があります。
ただし、実際に相手の保険会社から提示される慰謝料額は、上記の弁護士基準より低くなることが少なくありません。交通事故の慰謝料には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」の3つの算定基準があり、どの基準を用いるかによって金額が大きく変わることがあります。そのため、6カ月通院したからといって必ず算定表通りに支払われるわけではなく、個別の事情や交渉の状況によって実際の賠償額は異なります。
2. 入通院慰謝料の3つの算定基準とは?
入通院慰謝料を算定する際の基準には、以下の3つがあります。
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
2-1. 自賠責保険基準
自賠責保険とは車を運転するすべての人が加入を義務づけられている保険で、最低限の補償が目的です。自賠責保険基準で通院慰謝料を算定する場合、「実際の通院日数の2倍の日数」または「通院期間の日数」のいずれか少ない日数に4300円をかけた金額となります。
たとえば、通院期間が6カ月の場合、自賠責保険基準の慰謝料の最高額は、
180日(30日×6カ月)×4300円=77万4000円
と計算され、77万4000円程度です。
実際に病院に通院した日数が90日を下回ると、通院慰謝料は「実通院日数×2×4300円」で計算されるため、慰謝料額はこの最高額よりも減額されます。
ただし、自賠責保険の傷害に関する補償の上限は、原則として120万円とされており、このなかには休業損害や治療費も含まれます。自賠責保険基準による慰謝料が高額だったとしても、休業損害や治療費、文書料などの費用と合わせて120万円までしか支払いを受けられないため、注意が必要です。
2-2. 任意保険基準
任意保険基準は、各保険会社が独自に設定している基準です。具体的な金額は個別のケースによりますが、弁護士基準よりも低く、自賠責保険基準よりも高い金額であることが多いです。
2-3. 弁護士基準(裁判所基準)
弁護士基準とは、これまでの交通事故に関する裁判例の蓄積によって作成された基準です。弁護士が代理人として相手や相手側の保険会社と交渉する場合や、訴訟など裁判所での手続きを行う場合に用いられます。3つの基準の中で最も高額になる可能性が高いのが特徴です。
弁護士基準には、むちうちなどの軽傷用と、骨折を伴うけがなどの重傷用の2つの基準があります。上記算定表における「横軸の入院期間」と「縦軸の通院期間」が交差する部分に記載された金額が、弁護士基準による慰謝料の金額の相場となります。
ただし、通院期間に対して通院日数が少ない場合や、通院期間がけがの程度などのわりに長い場合などは、実際の通院期間よりも短い期間を目安として通院慰謝料が算定されることもあります。
たとえば、むちうちなど軽傷の場合、実際の通院期間ではなく、実際の通院日数の3倍程度の日数を慰謝料算定時の通院期間の目安とすることがあります。
3. 【シミュレーション】むちうちで6カ月(実通院60日、3日に1回程度)通院した場合の計算例
自賠責保険基準と弁護士基準では、同じ通院期間や通院日数だったとしても、慰謝料の金額に大きな差が生じることがあります。
実際の通院慰謝料額が自賠責保険基準と弁護士基準とでいくらになるのか、むちうちで6カ月間、3日に1回程度の頻度で通院し、実通院60日だったケースで考えてみます。
なお、任意保険基準については基本的に公表されていないため、ここでは割愛します。
3-1. 自賠責保険基準
通院期間(180日)よりも、実通院日数の2倍(60日×2=120日)のほうが少なくなります。そのため、実通院日数の2倍をもとに通院慰謝料を計算すると、
60日×2×4300円=51万6000円
となり、通院慰謝料額は51万6000円です。
ただし、自賠責保険から休業損害や治療費などの支払いをすでに受けている場合、これらと合わせて120万円が上限額となるため、実際に支払いを受けられる慰謝料は減額される可能性があります。
3-2. 弁護士基準
このケースでは、実通院日数60日の3.5倍、つまり210日が目安となりますが、実際の通院期間180日のほうが短いため、実際の通院期間を基準に通院慰謝料を算定されることが多いでしょう。
むちうちなど軽傷で6カ月通院した場合、弁護士基準での慰謝料額は89万円が目安です。自賠責保険と異なり、上限額はありませんが、相手から実際に支払いを受けるためには裁判などの手続きが必要になることもあります。
4. 通院6カ月は「症状固定」の重要な分岐点! 慰謝料が増える可能性
通院6カ月は、治療終了の目安として重要な分岐点です。医師がこれ以上治療を続けても改善が見込めないと判断し、症状が残っている場合には、後遺障害等級認定によって慰謝料が増える可能性があります。以下で詳しく解説します。
4-1. 症状固定とは? 医師が「6カ月」を目安にする理由
むちうちの場合、多くは3カ月から6カ月程度で治療が終了するのが一般的です。そのため、治療を続けても数カ月にわたって症状に大きな変化がみられない場合、6カ月程度を目安に、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない「症状固定」と判断され、治療終了となることがあります。
4-2. 痛みが残っているなら「後遺障害等級」の申請を
症状固定と判断された場合でも、痛みやしびれなどの症状が残っている場合、そのような症状が「後遺障害」に該当する可能性があります。けがによる症状が残っている場合には、後遺障害等級の認定申請が可能です。等級認定されれば、後遺障害に関する賠償金を請求できるようになります。
申請する際は、自賠責保険会社の書式で、医師に後遺障害診断書を作成してもらうことが必要です。診断書を作成してもらったら、ほかの必要書類をそろえて事故の相手側の自賠責保険会社に後遺障害等級認定の申請を行います。
なお後遺障害等級の認定申請は、事故の相手側の任意保険会社に依頼することも可能です。どちらの申請方法がいいかはけがの状況にもよるので、不安な場合は弁護士に相談してみることをおすすめします。
4-3. むちうちで認定されやすい14級9号、12級13号とは
後遺障害等級は、要介護の場合の1、2級と、要介護以外の場合の1級から14級に分かれています。後遺障害の程度が重いほど等級が小さくなります。
後遺障害等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
要介護1級 | 1650万円 | 2800万円 |
要介護2級 | 1203万円 | 2370万円 |
1級 | 1150万円 | 2800万円 |
2級 | 998万円 | 2370万円 |
3級 | 861万円 | 1990万円 |
4級 | 737万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
10級 | 190万円 | 550万円 |
11級 | 136万円 | 420万円 |
12級 | 94万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
むちうちの場合、14級9号(局部に神経症状を残すもの)または12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)と認定される可能性があります。症状が残ってさえいれば後遺障害に該当するわけではなく、症状が存在していることを医学的な根拠に基づき説明可能であることが必要です。
また、12級13号の場合、症状がMRI検査などの他覚的な検査結果などによって証明できることも通常必要となります。
後遺障害の認定は、損害保険料率算出機構によって行われます。後遺障害の認定申請自体は、自分で資料をそろえて申請する「被害者請求」で行うことも可能で、事故の相手側の保険会社に依頼することもできます。
自分で申請を行う場合、資料の準備を負担に感じることは少なくありません。その場合には、弁護士に依頼するのも選択肢の一つです。
4-4. 後遺障害が認定されると慰謝料はさらに数百万円増える
後遺障害に該当すると認定された場合、後遺障害が残ったことに対する慰謝料の支払いも受けることができます。たとえば後遺障害14級と認定された場合の後遺障害慰謝料は、自賠責保険基準で32万円、弁護士基準では110万円です。後遺障害12級の場合、自賠責保険基準では94万円(2020年4月1日以降に発生した事故の場合)、弁護士基準では290万円が後遺障害慰謝料の目安です。
また、後遺障害が認定された場合には、後遺障害慰謝料に加えて「逸失利益」も請求できる可能性があります。逸失利益とは、後遺症によって労働能力が低下し、将来得られるはずだった収入が減少したことによる損害です。
そのため、認定された等級や年齢、収入などによっては、後遺障害慰謝料だけでなく逸失利益も含めて数百万円から数千万円の賠償額になることがあり得ます。
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5. 入通院慰謝料が相場より高くなる事例
弁護士基準の慰謝料は、一般的なけがや治療を想定して作成されたものです。そのため、事故の状況や経緯が悪質な場合や、けがや治療による苦痛がきわめて大きい場合などには、基準よりも高額な慰謝料が認められる可能性もあります。
また、加害者側の対応が著しく不誠実な場合などにも、増額が認められることがあります。
6. 入通院慰謝料が相場より安くなる事例
通院頻度が少ない場合、自賠責保険基準では実通院日数の2倍を基準に慰謝料が決まることが多いため、通院期間が長くても慰謝料は低額になる可能性があります。弁護士基準でも、通院頻度が少ない場合には相場よりも安くなる可能性があります。
頻繁に通院していた場合であっても、けがの程度や治療内容などによっては、弁護士基準よりも低額の慰謝料を相手から提示されることもあります。
また、被害者にも過失がある場合、どちらにどれだけ責任があるかを示す過失割合に応じ、過失相殺として減額されることもあります。
7. 入通院慰謝料以外に受け取れる賠償金の種類
交通事故によりけがをして6カ月間通院した場合、入通院慰謝料以外にも次のような項目の支払いを受けられることがあります。
治療費や通院交通費
休業損害
後遺障害慰謝料や逸失利益
物損
7-1. 治療費や通院交通費
けがの治療のために通った病院での治療費、通院時の交通費を請求できます。
ただし、治療費の支払いを受けられるのは事故と因果関係が認められる場合に限られます。整骨院など病院以外の治療施設に通いたい場合は、医師や相手側の保険会社に事前に相談することをお勧めします。
通院交通費としてタクシー代を請求できることもありますが、必要性を慎重に判断される可能性があります。
7-2. 休業損害
けがにより仕事ができなかった場合や、通院のため仕事を休んだ場合、休業損害の請求ができることがあります。
専業主婦や専業主夫であっても、けがにより家事ができなかった場合には、けがの程度に応じて休業損害を請求できることもあります。
自賠責保険基準の休業損害は、日額6100円です。ただし、実際の損害が6100円を上回ると立証できた場合、増額が認められることもあります。
自賠責保険基準によらない場合、休業損害は原則として実収入をもとに算定されます。主婦休業損害は通常、厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」の結果に基づく賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均賃金を基礎として算定されます。
7-3. 後遺障害慰謝料や逸失利益
交通事故によりけがを負い、治療を続けたものの後遺障害が残った場合には、後遺障害の程度に応じた慰謝料を請求可能です。
また、後遺障害が残ったことで将来の就労に支障をきたす場合には、将来的に働いて得ることができるはずだった利益を指す「逸失利益」を請求することもできます。
これらは後遺障害等級や年齢、職業、収入などによって金額が大きく変わるため、個別の事情を踏まえて算定する必要があります。
7-4. 物損
交通事故により車両が壊れた場合や、事故によってスマートフォンや衣類などの携行品に損傷が生じた場合、修理費用や事故時の携行品の価値相当額、クリーニング費用などを請求できる可能性があります。
このような物に関する損害は自賠責保険の補償の対象外です。そのため相手が任意保険に加入していない場合には、事故の相手に直接請求する必要があります。
8. 後遺症が残った場合に損害賠償請求をする流れ
交通事故が発生してけがをした場合、まずは医師の指示にしたがって通院を続けます。自己判断や仕事が忙しいなどの理由で通院をやめたり通院頻度を減らしたりすると、その後の治療と事故との因果関係を認めてもらえないことがあるため注意が必要です。
治療を続けて、症状固定の状態になったら、医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。このとき、症状があるのにがまんして意識的に軽く伝えることなどはせず、正確な症状に基づいて診断書を作成してもらうことが重要です。
後遺障害等級の認定申請は、被害者請求の場合であれば相手側の自賠責保険会社に対して行います。申請を自分で行うことも可能です。ただし準備が必要な資料が多いため、自分ですべて準備するのが大変な場合には、弁護士に依頼することも考えられます。
9. 通院6カ月で保険会社から「治療費打ち切り」と言われたときの対処法
6カ月間通院を続け、相手の保険会社から「治療費の支払いを打ち切る」と言われた場合、次のような対処法が考えられます。
9-1. 6カ月で打ち切られる理由
むちうちの場合、3カ月から6カ月程度で治療が終了するのが一般的です。そのため、治療を続けても数カ月にわたって症状に大きな変化が見られない場合などには、相手の保険会社から治療費の支払いを打ち切ると言われることがあります。
9-2. 治療継続が必要なら「医師の意見書」で延長交渉
相手の保険会社から「治療費を打ち切る」と言われたとしても、治療の継続が必要な場合には、主治医にその旨の意見書を書いてもらうことも考えられます。
ただし、延長を認めてもらうのは難しいケースもあるうえ、認められたとしても短期間のこともあるため、注意が必要です。
9-3. 打ち切られたあとの「健康保険」利用と事後請求
相手の保険会社が治療費の支払いを打ち切った場合、健康保険を利用して治療を続けることも可能です。
その場合、治療終了後に自己負担した分の金額を事故相手に請求します。この方法の場合、自己負担した治療費について、事故との因果関係が認められなければ支払いを受けられない点は認識しておきましょう。
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10. 交通事故の入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などについて弁護士へ相談するメリット
交通事故の入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などについて弁護士に相談すると、次のようなメリットがあります。
慰謝料を増額できる可能性がある
通院の打ち切りに対応できる
後遺障害認定の手続きを任せられる
適切な解決へ導いてもらえる
弁護士特約を使えば費用負担は実質0円にも
10-1. 慰謝料を増額できる可能性がある
自賠責保険基準や任意保険基準と弁護士基準では、金額に大きな差が出る場合もあります。弁護士に依頼することで、弁護士基準により自賠責保険基準よりも高い慰謝料の支払いを受けられる可能性があります。
10-2. 通院の打ち切りに対応できる
相手の保険会社から治療費の支払いを打ち切ると言われた場合、弁護士に依頼して延長の交渉をしてもらえます。
症状や治療内容によっては延長が認められないこともありますが、認められなかった場合にも、健康保険で治療を続けるか、後遺障害の認定申請をするかなど、その後の対応についてアドバイスを受けることができます。
10-3. 後遺障害認定の手続きを任せられる
被害者が後遺障害等級の認定申請をする場合、事故状況説明書や治療費に関する資料などさまざまな資料の準備が必要になります。弁護士に依頼することで、そのような資料の準備を任せることができます。
10-4. 適切な解決へ導いてもらえる
慰謝料だけでなく、適切な賠償金を受け取るための方法を提案してもらうことができます。早めに相談することで、裁判をするのか、交渉で増額を求めるのか、後遺障害の認定申請をするのかなど、選択できる方法を増やすことができます。
10-5. 弁護士特約を使えば費用負担は実質ゼロ円にも
自分の加入している任意保険に弁護士費用特約が付いている場合、自分で弁護士費用を負担しなくても弁護士に依頼できることがあります。同居家族の任意保険や火災保険、クレジットカードの付帯保険の特約を使えるケースもあるので、交通事故に遭ったらまずは保険契約の内容を確認してください。
11. 通院6カ月の慰謝料に関してよくある質問
Q. 10対0事故のむちうちで6カ月通院すると示談金はいくら?
自分に過失がまったくない事故でむちうちを負い、6カ月通院した場合の入通院慰謝料は、弁護士基準で89万円です。後遺障害が認定された場合には後遺障害慰謝料や逸失利益も受け取ることができます。
また、事故によりけがをして仕事を休んだ場合には休業損害も請求可能です。
Q. 通院を打ち切られないためには?
相手側の保険会社から治療費の支払いを打ち切られるのを防ぐには、医師にしっかりと症状を伝えて、細かくカルテに記載してもらうことが大切です。また、適切な頻度で通院することも重要です。
Q. 通院頻度はどのくらいが適切?
けがの程度や症状にもよるため一概には言えませんが、1カ月に1回程度の通院では少ないと受け取られる可能性はあります。医師にどの程度の頻度で通院が必要か確認し、必要があれば1週間に複数回通院してもかまいません。
12. まとめ 通院6カ月で治療費の支払い打ち切りを打診されたら、弁護士に相談を
交通事故に遭ってむちうちなどの軽傷を負った場合、6カ月程度で相手の保険会社から治療費の支払いを打ち切られることがあります。
そのような場合には、延長の交渉や自分の健康保険を使って治療を続ける選択肢もあります。
また、治療を終了する場合には、後遺障害の認定申請をしたり、慰謝料やほかの損害について交渉したりする必要もありますが、いずれも自分一人で対応しようとすると、時間も手間もかかります。
自分の加入している任意保険に弁護士費用特約が付いていれば、費用の負担なく弁護士を利用できることもあります。交通事故によりけがを負ったら、保険契約の内容を確認し、どのような方法がよいか、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
(記事は2026年8月1日時点の情報に基づいています)
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