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1. 後遺障害8級とは?
交通事故によって後遺症が残った場合、症状の程度に応じて認定されるのが後遺障害等級です。後遺障害等級は「自動車損害賠償保障法施行令」によって定められています。
後遺障害等級は、要介護1・2級と介護を要しない1級から14級の計16段階で構成されており、症状が重いほど等級が小さくなります。認定を行うのは、損害保険料率算出機構に設置された自賠責損害調査事務所です。
後遺障害8級はさらに10区分(1号から10号)に分かれており、聴力障害や関節の機能障害など症状に応じて細かく認定されます。後遺障害によって失われた労働能力の割合を示す「労働能力喪失率」は45%とされており、一般的な労働能力を100%とすると、ほぼ半減する水準です。運動機能の大きな低下などが生じ、事故前と同様に仕事や日常生活を送るのが難しくなるケースも少なくありません。
2. 後遺障害8級の症状と認定基準
後遺障害8級に該当する症状を、1号から順に紹介します。
1号 | 一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの |
|---|---|
2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
3号 | 一手のおや指を含む二の手指を失ったもの、 又はおや指以外の三の手指を失ったもの |
4号 | 一手のおや指を含む三の手指の用を廃したもの、 又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの |
5号 | 下肢を五センチメートル以上短縮したもの |
6号 | 上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
7号 | 下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
8号 | 上肢に偽関節を残すもの |
9号 | 下肢に偽関節を残すもの |
10号 | 一足の足指の全部を失ったもの |
2-1. 8級1号|片目が失明し、または視力が0.02以下になった
失明とは、次のいずれかの状態をいいます。
・眼球を亡失(摘出)したもの
・明暗が完全にわからないもの
・明暗がかろうじてわかる程度のもの
視力は矯正視力(眼鏡やコンタクトをつけた状態の視力)によって等級認定をすることが原則ですが、矯正が不能な場合は、裸眼視力によって等級認定を行います。
2-2. 8級2号|脊柱に運動障害が残った
脊柱(せきちゅう)の運動障害とは、以下のいずれかの場合に認定されます。
・首や胸、腰などの可動域(動かせる範囲)が事故前に比べて半分以下になった
・頭と首の上部との間に著しい異常可動性(関節以外の場所で骨が動くこと)が生じた
脊柱に運動障害が残ったかどうかの認定には、X線やMRIなどの画像診断が必要です。とくに腰椎(ようつい)圧迫骨折は、事故以外での転倒や尻もちなどによっても起こり得るため、事故との因果関係の判断が難しいと言われています。
2-3. 8級3号|親指を含む2本の手指、または親指以外の3本の手指を失った
「手指を失う」とは簡単にいうと、片手の親指ともう1本の指を根本から失った場合や、片手の親指以外の3本の指を根本から失った場合に8級3号に認定されるということです。なお、指を失った手が右か左か、利き手かそうでないかは3号の認定に影響しません。
2-4. 8級4号|親指を含む3本の手指、または親指以外の4本の手指の用を廃した
「手指の用を廃した」とは、次のいずれかの状態を指します。
・末節骨(第1関節から先の骨)の半分以上を失った
・中手指節関節(指の付け根の関節)に著しい運動障害が残った
・親指なら指節間関節(指の先端側の関節)、その他の指なら近位指節間関節(指の根元から2番目にある関節)に著しい運動障害が残った
「著しい運動障害」とは、障害のない方(健側)と比べて関節の可動域が半分以下になることをいいます。
2-5. 8級5号|片脚が5㎝以上短くなった
前腸骨棘(股関節近くの骨盤の出っ張った部分)から内くるぶし下端までの長さが、もう片方の脚と比べて5㎝以上短くなった状態です。
なお、片脚が3㎝以上5㎝未満短縮した場合は10級に、1㎝以上3㎝未満短縮した場合は13級に該当します。
2-6. 8級6号|片腕の3大関節(肩・ひじ・手首)のうち1つの用を廃した
「関節の用を廃する」とは、以下の状態を指します。
・関節が強直(癒着して動かなくなること)した
・関節が完全弛緩性麻痺(筋肉が緩み自分の意思で動かせない状態)になるか、それに近い状態になった
・人工関節や人工骨頭に置き換えた関節の可動域が通常の半分以下になった
なお、右腕か左腕か、利き腕かそうでないかは6号の認定に影響しません。
2-7. 8級7号|片脚の3大関節(股・ひざ・足首)のうち1つの用を廃した
「関節の用を廃する」という定義は6号と同じです。なお、6号と同様に、右脚か左脚か、利き脚かそうでないかは7号の認定に影響しません。
2-8. 8級8号|片腕に偽関節が残った
偽関節とは、折れた骨がくっ付かずに関節のように動いている状態のことをいいます。実際には関節ではないが、折れた部分が関節のように動いてしまうことから「偽関節」と呼ばれます。
X線などの画像で癒合不全が確認できるかどうかが認定のポイントとなります。常に硬性補装具(偽関節が動かないように患部を固定するための装具)を必要とする場合は、更に重い後遺障害7級に該当します。
2-9. 8級9号|片脚に偽関節が残った
認定基準やポイントは8号と同じです。太ももの骨の中心部や、すねの骨の中心部に偽関節が残った場合に認定されます。
2-10. 8級10号|片足の指をすべて失った
「足指の全部を失った」とは、足指の中足指節関節(足指の付け根の関節)から先を失った状態をいいます。足指は身体のバランスを保つ役割を果たしているため、片足のすべての指を失うと、歩行などに大きな影響が出ます。
2-11. 併合8級|後遺症が複数ある場合は等級が繰り上がる
複数の後遺症が残ってしまった場合、後遺障害の等級認定は「併合」というルールによって認定されます。基本的には後遺障害が2つ以上ある場合、最も重い等級が繰り上がるというものです。併合のルールは以下のとおりです。
・13級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある:重いほうの等級を1級繰り上げ
・8級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある :重いほうの等級を2級繰り上げ
・5級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある :重いほうの等級を3級繰り上げ
たとえば、10級の後遺障害と13級の後遺障害が残った場合、最も重たい等級である10級が2級繰り上がり「併合8級」と認定されます。
また、8級の後遺障害が2つ以上残った場合は、もっとも重たい等級である8級が2級繰り上がり「併合6級」と認定されます。
3. 後遺障害8級の被害者が受け取れる慰謝料相場
後遺障害等級が認定された場合に受け取れる慰謝料には「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」があります。後遺障害8級に認定された場合の慰謝料の相場について説明します。
3-1. 【重要】慰謝料を算定する際の「3つの基準」
慰謝料を請求する際、実務上は通称「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」という3つの基準が用いられます。
・自賠責保険基準:最低限の補償基準。強制保険である自賠責保険に基づく
・任意保険基準 :任意保険会社が独自に定める。自賠責保険基準より高いが、弁護士基準より低い
・弁護士基準(裁判所基準):過去の判例に基づく。3つの基準のなかで最も高くなる
自賠責保険基準が最も低く、弁護士基準が最も高くなる傾向にあります。また、相手方の保険会社は弁護士基準よりも低額となる任意保険基準を用いた賠償金額を提示してくることが多いため、基本的には弁護士基準で計算・請求することが望ましいといえます。なお、任意保険基準は一般には公開されていません。
弁護士基準を用いて請求するためには、弁護士に事件処理を委任している必要があります。
3-2. 入通院慰謝料の相場
入通院慰謝料は、けがの痛みや治療の苦痛に対する慰謝料です。交通事故により通院や入院を余儀なくされた場合、入通院の期間や日数に応じて入通院慰謝料を請求することができます。
たとえば、交通事故によって重傷を負い、入院1カ月+通院4カ月(実際の通院日数32日)の場合の入通院慰謝料額を、自賠責保険基準と弁護士基準で比較してみます。
【自賠責保険基準】
自賠責保険基準における入通院慰謝料は「日額4300円(2020年3月31日以前の事故は日額4200円)×対象日数」で計算します。対象日数は「治療期間」または「実際の入通院日数×2」のいずれか少ない方を採用します。
上記の例の場合、対象日数は治療期間(=150日)と、実際の入通院日数×2(=124日)のうち、少ないほうの124日を採用します。したがって、自賠責保険基準における入通院慰謝料額は「4300円×124日=53万3000円」です。
なお、自賠責保険の補償には支払限度額があり、交通事故でのけがによる損害は、一つの事故につき総額120万円が上限となっています。治療費などが高額になると、満額の慰謝料額を受け取れない可能性があります。
【弁護士基準】
弁護士基準では、公益財団法人日弁連交通事故相談センターが発行する「赤い本」に記載されている早見表をもとに、入通院慰謝料額を算定します。
以下は、交通事故で重傷を負った場合の早見表(別表Ⅰ)です。
表の見方を説明します。たとえば交通事故で骨折などの重傷を負い1カ月入院した後、4カ月通院した場合では、上の表の「入院期間1カ月」「通院期間4カ月」が交差するマスの数字を見ます。数字は「130」となっているので、この場合の入通院慰謝料額の目安は130万円です。
3-3. 後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料とは、事故によって後遺障害を負った被害者が請求できる慰謝料です。交通事故によって後遺症が残ってしまった場合は、認定される等級に応じた後遺障害慰謝料を請求できます。
後遺障害8級に認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は、自賠責保険基準と弁護士基準で下表のとおりです。
自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|
331万円 | 830万円 |
このように、採用する基準によって慰謝料額に2倍以上の差が生まれることがあります。賠償金請求の際は早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
4. 後遺障害8級の被害者が、慰謝料以外に請求できる賠償金
交通事故で後遺障害8級と認定された場合、請求できる賠償金は慰謝料だけではありません。将来の収入減少を補う逸失利益や、仕事を休んだことによる休業損害のほか、治療費・通院交通費などの実費も対象になります。ここでは、慰謝料以外に請求できる主な賠償項目について整理します。
4-1. 逸失利益
逸失利益とは、交通事故の後遺症によって働く能力が低下し、将来得られるはずだった収入を失った損害を指します。たとえば、後遺症の影響で仕事量が減ったり、転職を余儀なくされたりした場合、その減少分の収入が逸失利益として認められます。
【逸失利益の計算方法】
逸失利益は、一般的に次の計算式で算定されます。
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
基礎収入額:事故前年の年収など(源泉徴収票・確定申告書など)
労働能力喪失率:後遺障害によって失われた労働能力の割合。後遺障害の等級ごとに割合が決まっており、8級の場合は45%
労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数:将来の収入を一括で受け取る際に、現在価値に換算するための係数
労働能力喪失期間は、原則として症状固定(これ以上治療を続けても改善が見込めない状態)を診断された日から67歳までとされています。下表は、18歳以上の人における就労可能年数(=労働能力喪失期間)とライプニッツ係数です。
【計算例(後遺障害8級の場合)】
例えば、年収600万円の会社員で、症状固定時に40歳であり、後遺障害8級と認定された場合の逸失利益は次のとおりです。
600万円(基礎収入額)×45%(労働能力喪失率)×18.3270(40歳から67歳までの27年間に対応するライプニッツ係数)=約4948万円
2025年に発表された「令和6年賃金構造基本統計調査」における平均年収に基づく男女別・年齢別の逸失利益の目安額は次のとおりです。なお、すべて弁護士基準で算出した金額です。
20歳 | 30歳 | 40歳 | 50歳 | 60歳 | |
|---|---|---|---|---|---|
男性 | 4035万円 | 5235万円 | 5285万円 | 4171万円 | 2383万円 |
女性 | 3764万円 | 4138万円 | 3668万円 | 2714万円 | 1706万円 |
このように、年齢が若い方が、より長期間労働能力を喪失することになるので、逸失利益の金額が高くなる傾向にあります。
4-2. 休業損害
交通事故のけがで仕事を休み、収入が減った場合には、その減収分を「休業損害」として請求できます。休業損害の金額は、これまで説明してきた3つの基準(自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準)のいずれかをもとに算定されます。
自賠責保険基準では、原則として1日あたり6100円の定額を基準とし、これに休業日数を掛けて算出します。これに対して弁護士基準では「事故前の実際の収入をもとにした日額×休業日数」で計算するため、一般的には弁護士基準のほうが高額になりやすいとされています。
たとえば、年収600万円(1日あたり約16438円)の会社員が30日間休業した場合、自賠責保険基準と弁護士基準における休業損害の金額は以下のとおりです。
・自賠責保険基準:6100円×30日=18万3000円
・弁護士基準:約16438円×30日=約49万3140円
このように、基準の違いによって休業損害の金額には大きな差が生じることがあります。
4-3. その他|治療費、入院費、通院交通費など
その他、状況に応じて、以下のような費用を請求することができます。
【治療費】
事故によるけがの治療に必要かつ相当な実費を請求できます。
【付添看護費】
けがにより介助や介護が必要な場合にかかる費用です。医師の指示がある場合や、けがの程度・年齢などから付添いが必要と認められる場合に請求できます。
【入院雑費】
洗面用品やテレビカードなど、入院中に必要となる日用品やサービス費用です。
【通院交通費】
通院に必要な交通費を請求できます。原則は電車・バスなどの公共交通機関の実費です。タクシーは、症状などから利用が相当と認められる場合に限られます。自家用車の場合は、1kmあたり15円を目安に請求できます。
【家屋改造費】
後遺障害により、エレベーターやスロープ設置などが必要になった場合、生活維持に不可欠であれば認められることがあります。
【将来介護費】
重い後遺障害が残り、第三者の介護がなければ日常生活が送れない場合に、将来の介護費用を請求できることがあります。
【物損(車両損害)】
車の修理費が基本です。修理が相当な場合は適正修理費が認められます。ただし、修理費が車の時価(再取得費用)を上回る場合は「経済的全損」となり、車両時価+買替諸費用が上限となることがあります。
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5. 後遺障害8級の賠償金総額はいくらになる?
以下のようなモデルケースを想定し、弁護士基準を使った場合の賠償金総額を計算します。
年収600万円の会社員
症状固定時40歳
入院1カ月+通院4カ月
後遺障害8級
上記の条件の場合、賠償金の総額は以下が目安となります。
後遺症慰謝料:830万円
入通院慰謝料:130万円
逸失利益:約4948万円
休業損害:約49万3000円
合計:約5957万3000円
また、これに加えて、実際に支払った治療費や通院のための交通費などを請求することができます。
6. 後遺障害認定の申請と賠償金請求の流れ
交通事故で後遺症が残った場合は、後遺障害等級の認定を受けたうえで賠償金請求を進めていくことになります。ここでは、症状固定から賠償金の受け取りまでの基本的な流れを、順を追って解説します。
6-1. 【STEP①】医師から「症状固定」の診断を受ける
まずは医師の指示に従い、継続して治療を受けましょう。通院頻度についても医師の指示を優先します。特段の指示がない場合でも、一般的には2~3日に1回程度の通院が望ましいとされています。
その後、医学的にこれ以上の改善が見込めない段階になると、「症状固定」と診断されます。症状固定とは、一般的な治療を続けても改善が見込めず、事故前の状態に回復しない状態をいいます。
6-2. 【STEP②】医師に後遺障害診断書の作成を依頼する
症状固定の診断を受けたら、医師に「後遺障害診断書」の作成を依頼します。これは、後遺症の内容や検査結果などを記載する重要な書類であり、医師のみが作成できます。
整形外科と整骨院を併用している場合でも、診断書は医師が作成する必要があるため、整形外科の医師へ依頼するのが一般的です。
6-3. 【STEP③】後遺障害等級認定を申請する
後遺障害診断書が完成したら、後遺障害等級認定の申請を行います。申請方法は大きく分けて次の2つです。
【事前認定】
相手方の任意保険会社が申請を行う方法です。被害者は主に後遺障害診断書を提出するだけでよく、手続きの負担が軽い点がメリットです。ただし、保険会社は賠償金を支払う立場でもあるため、被害者に有利な資料収集や主張までは期待しにくい面があります。
【被害者請求】
被害者自身が申請を行う方法です。交通事故証明書、事故状況報告書、画像資料(X線・MRIなど)を自ら収集する必要があり、手間はかかります。しかし、自分に有利な資料を積極的に提出できるため、納得感のある認定につながりやすいとされています。
6-4. 【STEP④】示談交渉を開始する
後遺障害等級が認定されたら、示談交渉を開始します。主な賠償項目は次のとおりです。
後遺障害慰謝料
入通院慰謝料
逸失利益
休業損害
治療費や交通費などの実費
保険会社の提示額は低めに設定されていることもあるため、すぐに合意せず、弁護士へ相談して増額の余地がないか確認することが重要です。
6-5. 【STEP⑤】示談が成立しない場合|ADR、訴訟
示談がまとまらない場合は、ADR(裁判外紛争解決手続)や訴訟によって解決を図ります。たとえば「交通事故紛争処理センター」では、担当者が間に入り和解を目指す「和解あっ旋」や、その後の「審査」を無料で利用できます。弁護士を付けずに利用できる点はメリットです。
ただし、時効完成猶予の効力がないことや、過失割合や後遺障害等級そのものに争いがある場合には適さないケースもあります。そのため、ADRと訴訟のどちらが適切かについては、弁護士へ相談するのが安心です。
6-6. 【STEP⑥】賠償金を受け取る
示談交渉がまとまった場合はその時点で、ADRや訴訟に発展した場合は当該手続きが終了した時点で、示談や判決などの内容に従って賠償金が支払われます。
7. 後遺障害8級の認定率を上げるための6つのポイント
後遺障害8級の認定を受けるには、適切な治療の継続や書類準備など、いくつかの重要なポイントがあります。認定を有利に進めるために、以下の点を意識して対応しましょう。
症状固定まで医師の指示に従って治療を続ける
関節の可動域制限がある場合は適切な方法で検査する
脊柱の運動障害は理学療法士がいる整形外科を受診する
申請方法は「被害者請求」を選択する
弁護士に依頼する
7-1. 症状固定まで医師の指示に従って治療を続ける
自分の判断で治療をやめてしまうと、正しい後遺障害等級が認められにくくなります。必ず医師の指示に従って、症状固定の診断を受けるまで治療を続けましょう。
7-2. 関節の可動域制限がある場合は適切な方法で検査する
関節の可動域が問題となる後遺障害では、「関節可動域表示ならびに測定法」(1995年 日本整形外科学会等作成)に基づいた測定が必要です。8級では4号の「一手のおや指を含む三の手指の用を廃したもの、又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの」や、6号の「上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの」、7号の「下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの」で、関節の可動域が問題となります。
また、後遺障害4級・6級・7級でも、関節の可動域制限が認定基準になっている後遺症があります。適切な方法で検査されないと、8級を含め適正な等級が認定されない可能性があります。
7-3. 脊柱の運動障害は理学療法士がいる整形外科を受診する
後遺障害診断書の作成時には、医師の診断だけでなく理学療法士の評価も重要な資料になります。理学療法士とは、けがや病気による身体機能の回復や維持を目的に、運動療法や物理療法などを行うリハビリの専門職です。適切な評価を受けるためにも、理学療法士のいる整形外科を受診するとよいでしょう。
7-4. 後遺障害診断書の記載内容が適切かチェックする
後遺障害診断書は、等級認定の可否を左右する重要な書類です。記載内容が認定基準を満たしているか、不足している情報がないかを確認しましょう。不十分と思われる場合は、弁護士を通じて医師に補足を依頼することも検討できます。
7-5. 申請方法は「被害者請求」を選択する
後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります。
事前認定は認定の申請を「相手方の任意保険会社」に任せる方法です。被害者自身は主に後遺障害診断書を提出するだけでよい一方、相手方の任意保険会社が、被害者側に有利になるように積極的に働きかけてくれる保証はありません。書類の収集や提出という手続きの負担はありますが、自分で申請する「被害者請求」の方が納得できる結果に繋がりやすいでしょう。
7-6. 弁護士に依頼する
弁護士に依頼すると、慰謝料などを「弁護士基準」で請求できる可能性があり、賠償額が大きくなることがあります。また、被害者請求に必要な資料収集や手続きのサポート、医師との調整なども任せられるため、認定手続きを有利に進めやすくなります。
さらに、自動車保険などの弁護士費用特約を利用すれば、実質的な自己負担なく依頼できる場合もあります。
7-7. 後遺障害8級の被害者が受けられる支援や給付は?
後遺障害の程度によっては、障害年金を受け取れる場合があります。交通事故の後遺障害等級と、障害年金の障害等級は別の制度ですが、後遺障害8級の場合、障害年金では3級に該当する可能性があります。
また、後遺症の内容によっては障害者手帳の交付を受けられることもあります。交付には、身体障害者障害程度等級表のうち6級以上に該当する必要がありますが、この等級も後遺障害等級とは別の基準です。一般的には、後遺障害8級では障害者手帳の対象となるケースは多くないとされています。
なお、事故が勤務中や通勤中に起きた場合(労災)には、障害補償給付を受けられる可能性があります。
8. 後遺障害8級についてよくある質問
Q. 後遺障害8級の認定後、転職したものの給料が下がらなかった場合は、逸失利益を請求できない?
原則として、現実に減収が発生していなければ、逸失利益は請求できません。しかし、収入の減少がなかったとしても、将来の昇給・昇進・昇格に影響があったり、収入の減少を防ぐ努力等を本人がしていると認められる場合は、逸失利益が認められる場合があります。
Q. 後遺障害8級の認定を受けられなかった場合の対処法は?
後遺障害等級の認定結果に不服がある場合は、異議申立てを行うことができます。事前認定によって後遺障害等級の認定を受けた場合は相手方の任意保険会社に、被害者請求によって認定を受けた場合は直接、自賠責保険会社に申立書を送付します。
9. まとめ 後遺障害8級は慰謝料だけで1000万円を超える可能性が高い
後遺障害8級は労働能力喪失率45%とされ、慰謝料や逸失利益を含めると賠償額が高額になる可能性があります。ただし、適正な等級認定と弁護士基準での請求を行わなければ、本来の金額を受け取れないおそれもあります。
後遺障害8級を獲得するためには、弁護士に相談のうえ「症状固定まで医師の指示に従って治療を続ける」「適切な検査を受ける」「被害者請求で申請する」などのポイントを意識しましょう。弁護士に依頼することで、申請手続きの手間を削減できるほか、弁護士基準によって賠償金の増額が見込めます。
(記事は2026年5月1日時点の情報に基づいています)
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