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1. 後遺障害12級とは?
交通事故により症状が残った場合、その症状が「後遺障害」に該当すると認定されることがあります。認定は「損害保険料率算出機構」という非営利の民間法人が行っており、要介護1級・2級と、1級から14級に分かれており、症状が重いほど等級が小さくなります。
後遺障害12級は骨の変形や関節の機能障害、指の喪失など幅広い症状が該当する等級です。日常生活や仕事にも影響が出るため、認定されると後遺障害慰謝料や逸失利益(事故がなければ将来得られたはずの収入)を受け取ることができます。
2. 後遺障害12級の具体的な症状と認定基準
後遺障害12級は、症状などにより1号から14号に区分されています。各号の認定基準は以下のとおりです。
後遺障害 12級の区分 | 症状 |
|---|---|
1号 | 一眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの |
2号 | 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
3号 | 7本以上の歯に対して歯科補綴を加えたもの |
4号 | 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの |
5号 | 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの |
6号 | 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
7号 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
8号 | 長管骨に変形を残すもの |
9号 | 一手の小指を失ったもの |
10号 | 一手の人差し指、中指、または薬指の用を廃したもの |
11号 | 一足の第二の足指を失ったもの、 第二の足指を含み二の足指を失ったものまたは 第三の足指以下の三の足指を失ったもの |
12号 | 一足の第一の足指またはほかの四の足指の用を廃したもの |
13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14号 | 外貌に醜状を残すもの |
なお、後遺障害の認定には事故とけがとの因果関係など、さまざまな要素が関わってきます。そのため、次のような症状があるからといって、必ず認定が受けられるとは限らない点に注意が必要です。
2-1. 12級1号|片目に調節機能障害や運動障害が残った
12級1号とは、具体的には片方の目が以下のいずれかのような状態にある場合を言います。
・物を見るときの瞳の調節力(ピントを合わせる力)が半分以下になった
・注視野(頭を固定した状態で、眼球だけを動かして直視できる範囲)が半分以下になった
ただし、眼の調節機能は年齢とともに衰えるため、55歳を超える場合は原則として後遺障害として認定されません。
2-2. 12級2号|片目のまぶたに著しい運動障害が残った
12級2号とは、具体的には以下のような症状がある場合などを言います。
・自分では目を開いたつもりでも、まぶたが十分に開かずに瞳孔領(黒目の部分)が完全に覆われている
・自分では目を閉じたつもりでも、実際にはまぶたが十分に閉じておらず角膜を完全に覆えない
2-3. 12級3号|7本以上の歯に歯科補綴を加えた
「歯科補綴(しかほてつ)」とは、歯が欠けたり失われたりした場合に、それを補うための入れ歯やインプラント、ブリッジなどの人工の歯を追加する治療を言います。治療が行われた歯の本数により後遺障害等級が異なりますが、7本以上の歯に治療を行った場合は12級3号に認定される可能性があります。
2-4. 12級4号|片耳の耳殻(耳介)の半分以上を失った
「耳殻(耳介)」とは、耳のうち外側に張り出している部分を言います。この耳殻(耳介)の軟骨部分を半分以上失った場合に、12級4号の認定が受けられる可能性があります。
なお、この部分の欠損は「外見の著しい醜状障害」に該当するとして7級12号に認定される可能性もあります。
2-5. 12級5号|鎖骨・胸骨・肋骨・肩甲骨・骨盤骨のいずれかが変形した
鎖骨、胸骨、肋骨(ろっこつ)、肩甲骨(けんこうこつ)、骨盤骨(尾骨は除く)のいずれかが、裸になったときに変形や欠損が残っていることが明らかにわかる状態にある場合を言います。
なお、変形や欠損は目視でわかる程度でなければならず、X線などで確認できるだけでは認定されない可能性があります。
2-6. 12級6号|片腕の3大関節(肩・ひじ・手首)のうち1つの機能に障害が残った
具体的には、片腕の肩関節、ひじ関節、手首の関節のうちいずれかの可動域が、けがをしていない側の関節の可動域と比べて4分の3以下になった場合に、12級6号の認定を受けられる可能性があります。
2-7. 12級7号|片脚の3大関節(股・膝・足首)のうち1つの機能に障害が残った
片脚の股関節、膝関節、足首の関節のいずれかの関節の可動域が、けがをしていない側の関節の可動域と比べて4分の3以下になった場合に、12級7号の認定を受けられる可能性があります。
2-8. 12級8号|腕や足などの長い骨が変形した
「長管骨(ちょうかんこつ)」とは、腕や脚の長い骨のことを言います。大腿骨(太ももの骨)や上腕骨(肩関節からひじ関節をつなぐ骨)などがあります。この長管骨を骨折した場合に骨がうまくくっつかず、正常な形に戻らないときには、12級8号に認定され得ます。
なお、骨折後に骨がくっつかず、関節のように動くようになる「偽関節」が残った場合には12級よりも重い7級や8級が認定される可能性があります。
【上腕骨の障害の場合における7級9号、8級8号との違い】
離れていた骨や筋肉、皮膚などの組織が再び接着し、再び一つの組織となることを「癒合(ゆごう)」と言います。上腕骨の骨幹部等(骨幹部または骨幹端部)が完全に接着せずに不完全なまま停止してしまう「癒合不全」となった場合、または橈骨(とうこつ)および尺骨(しゃっこつ)の両方の骨幹部等に癒合不全が残り、常に硬性補装具を必要とする場合は、7級9号に認定される可能性があります。硬性補装具とは、骨折や変形の強い箇所を支えるための、金属やプラスチックなどでできた強固な医療器具です。
また、同じく癒合不全があるものの、常に硬性補装具を必要とするものではない場合、8級8号に認定される可能性があります。
【下肢の障害の場合における7級10号、8級9号との違い】
大腿骨の骨幹部等や、膝より下の脛骨(けいこつ)および腓骨(ひこつ)の両方の骨幹部等、脛骨の骨幹部等のいずれかに癒合不全があり、常に硬性補装具を必要とする場合、7級10号に認定される可能性があります。
また、癒合不全があるものの、常に硬性補装具を必要とするものではない場合、8級9号に認定される可能性があります。
2-9. 12級9号|片手の小指を失った
具体的には、片手が以下のような状態にある場合に12級9号の認定を受けられる可能性があります。
・中手骨(指の付け根にある骨)または基節骨(中手骨よりも指先側についている骨)で切断した
・近位指節間関節(指の根元に近い関節)において、基節骨と中節骨とを切り離した
小指を失っても日常生活に影響はないと思われがちです。しかし、実際は小指がないと握力に大きな差が生まれるため、職種によっては大きなダメージとなるほか、日常生活上も不便が残ります。
2-10. 12級10号|片手の人差し指・中指・薬指のいずれかの用を廃した
「用を廃する」とは、身体の部位本来の働きができなくなることを言います。具体的には、以下のような状態にある場合、12級10号の認定を受けられる可能性があります。
・末節骨の長さを半分以上失った
・中手指節関節または近位指節間関節の可動域が健康なときの半分程度しか動かない
・末節(指先)の痛み、温度、触感などの感覚が完全に失われた
2-11. 12級11号|片足の親指以外でいずれかの指を失った
具体的には、以下のような場合に12級11号の認定を受けられる可能性があります。
・片足の人差し指を失った
・片足の人差し指とそれ以外の1本の指を失った
・中指・薬指・小指の3本すべての指を、 中足指節関節(足指の付け根の関節)から失った
2-12. 12級12号|片足の親指またはほかの4本の指の用を廃した
具体的には、片足の親指または親指以外の4本の指が以下の状態にあてはまる場合に12級12号の認定を受けられる可能性があります。
・親指の末節骨(指先の骨)の長さを半分以上失った
・親指以外の指の遠位指節間関節(第一関節)から先のすべてを失った
・親指の指節間関節(指の骨の間の関節)の動きが健康な状態の半分程度に制限される
・親指以外の指の中足指節関節(足指の付け根の関節)または近位指節間関節(指の根元から2番目にある関節)の動きが健康な状態の半分程度に制限される
2-13. 12級13号|局部にしびれなど頑固な神経症状が残った
局部の頑固な神経症状とは、主にむち打ち症を指します。
12級に該当するためには、CTやMRIなどにより、医学的かつ客観的に神経の圧迫などの異常所見が認められるかどうかが重要となります。客観的な異常所見があり、かつしびれなどの症状が残っている場合、12級13号の認定を受けられる可能性があります。
客観的な異常所見がなくても、むち打ち症の自覚症状があり、医学的に説明可能な神経系統または精神の障害を残す所見がある場合には、後遺障害14級に該当する可能性もあります。
むち打ちの場合、自覚症状はあるものの、客観的な異常所見が見られず、かつ症状について医学的な説明が難しいケースもあります。このようなケースでは、後遺障害等級の認定が得られない可能性もあります。
2-14. 12級14号|顔など人目につく部分に傷跡が残った
顔面や頭部に目立つ傷跡や欠損がある状態を「醜状」と言います。以下のような醜状が残った場合に認定が受けられる可能性があります。
・頭部に鶏の卵より大きい傷跡、または頭蓋骨に鶏の卵より大きい欠損が残った
・顔面に10円玉より大きい傷跡、または長さ3cm以上の線状痕が残った
・頸部(首)に鶏の卵より大きい傷跡が残った
2-15. 併合12級|複数の後遺症が残った場合
複数の後遺障害が残った場合、複数の後遺障害等級を1つにまとめ、後遺障害等級を繰り上げることがあります。併合のルールは以下のとおりです。
・5級以上の後遺障害が2つ以上残っている場合は、重い方の等級を3級繰り上げる
・8級以上の後遺障害が2つ以上残っている場合は、重い方の等級を2級繰り上げる
・13級以上の後遺障害が2つ以上残っている場合は、重い方の等級を1級繰り上げる
・14級の後遺障害が2つ以上残っている場合は、等級を繰り上げず14級のままとする
たとえば、13級に該当する障害が2つ認定された場合、等級を1つ繰り上げて「併合12級」に認定されます。
ただし、後遺障害の内容によっては併合が適用されないケースもあり得ます。
3. 後遺障害12級で獲得できる慰謝料の相場
後遺障害12級に認定された場合に加害者に請求できる慰謝料の種類と相場について解説します。
3-1. 採用する算定基準によって慰謝料額は大きく異なる
後遺障害等級12級の認定を受けた場合、後遺障害慰謝料と入通院慰謝料を加害者に請求できます。
慰謝料計算の基準には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」の3つがあります。一般的には弁護士基準が最も高額になることが多いです。
しかし、加害者側から最初に提示される慰謝料は自賠責保険基準や任意保険基準で算定されている可能性があります。そのような場合には、弁護士基準での支払いを求める選択肢が考えられます。
3-2. 入通院慰謝料の計算方法
たとえば、骨折を伴うけがにより2カ月(60日)入院したあと、4カ月(120日)間通院し、そのうち実際の通院日数が40日の場合、自賠責保険基準と弁護士基準では次のように金額が異なります。
【自賠責保険基準】
自賠責保険基準の場合、慰謝料は次の計算式によって算出されます。
4300円×対象日数
※対象日数は「実治療日数×2」または「治療期間」のいずれか少ない日数
上記の例の場合、実治療日数×2は「(60日+40日)×2=200日」、治療期間は「60日+120日=180日」となるため、対象日数は少ないほうの180日となります。したがって、入通院慰謝料は「4300円×180日=77万4000円」となります。
【弁護士基準】
弁護士基準の場合、けがの程度により算定基準が異なります。たとえば、事故で重傷を負った場合は下図の早見表が用いられ、被害者の通院期間と入院期間の交差するマスの数字が入通院慰謝料の金額となります。
表の見方を説明します。上記の表の入院期間と通院期間の交わるマスの数字が入通院慰謝料となります。たとえば、入院2カ月+通院4カ月の場合は「入院期間2カ月」と「通院期間4カ月」が交わるマスの数字が「165」となっているため、入通院慰謝料額は165万円です。
ただし、けがの程度や通院頻度、治療内容などにより実際には異なることもあり得ます。
このように、自賠責基準と弁護士基準では金額が大きく異なることもあり得るので、相手から提示のあった慰謝料に疑問がある場合、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
3-3. 後遺障害慰謝料の計算方法
後遺障害等級が認定された場合に請求できる後遺障害慰謝料は、等級ごとに決められています。後遺障害12級における後遺障害慰謝料の目安は、自賠責保険基準で94万円、弁護士基準で290万円です。
自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|
94万円 | 290万円 |
後遺障害12級に認定された場合に適正額の慰謝料を請求するためには、弁護士に相談することをお勧めします。
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4. 後遺障害12級で慰謝料以外に請求できる賠償金の種類
後遺障害12級に認定された場合、慰謝料以外にも後遺障害逸失利益や休業損害などを請求できます。それぞれについて見ていきましょう。
4-1. 後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、事故によって後遺障害が残り、労働する能力が失われた場合に、将来得られなくなった収入を補償するものです。
逸失利益は次の計算式で算出されます。
基礎収入×後遺障害等級に応じた労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数
・基礎収入:会社員の場合は原則として事故前年の年収
・労働能力喪失率:後遺障害によって失われた労働能力の割合。12級の場合は14%とされている
・労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数:症状固定時から原則67歳までの収入を一括で受け取る際に、中間利息を控除するための係数
たとえば、事故前年の年収が450万円の会社員が交通事故に遭い、症状固定時(これ以上治療しても改善の見込みがないと診断されたとき)に25歳だった場合、12級が認定されたことによる逸失利益の金額は次のとおりです。
450万円(基礎収入)×14%(労働能力喪失率)×23.7014(25歳から67歳までの42年に対応するライプニッツ係数)=1493万1882円
なお、後遺障害が残っていても労働能力に影響がない場合は、逸失利益が認められないケースもあり得ます。
2025年に発表された「令和6年賃金構造基本統計調査」における平均年収に基づく後遺障害逸失利益の目安額は次のとおりです。なお、すべて弁護士基準で算出した金額です。
20歳 | 30歳 | 40歳 | 50歳 | 60歳 | |
|---|---|---|---|---|---|
男性 | 1255万円 | 1628万円 | 1644万円 | 1297万円 | 741万円 |
女性 | 1171万円 | 1287万円 | 1141万円 | 844万円 | 531万円 |
4-2. 休業損害
休業損害とは、交通事故や事故によるけがにより仕事を休まざるを得なくなった場合に、得られなかった収入について生じる損害です。
自賠責保険基準では、事故により収入の減少があった、または有給休暇を利用した場合、1日あたり原則6100円として算出されます。1日あたりの収入が6100円を超えることが明らかな場合には、法律の施行令で決まった金額まで増額される可能性があります。
これに対し、弁護士基準では実際の収入をもとにして休業損害を算出します。
たとえば、事故前3カ月に60日働いて合計78万円の収入を得ていた場合、1日あたりの収入は「78万円÷60日=1万3000円」です。そのため、事故による通院で3日間休んだ場合の休業損害は、自賠責基準によれば「6100円×3日=1万8300円」、弁護士基準によれば「1万3000円×3日=3万9000円」となります。ただし、この計算では単純化するため各種手当などは含んでいません。
なお、自賠責保険から受け取れる休業損害は治療費や通院慰謝料などと合わせて120万円までという上限がある点に注意が必要です。
また、弁護士基準に基づいて算出した休業損害について、基礎収入を相手が争ってくる場合もあり得ます。そのため、実際の交渉や裁判では休業損害の金額が異なる可能性があります。
4-3. そのほかの賠償金
後遺障害逸失利益と休業損害のほかに、次の費用を賠償金として請求できます。
【治療費】
けがの治療に要した治療費は事故の相手に請求可能です。
【付添看護費】
医師の指示があり、入院中に職業付添人を頼んだ場合や、家族が付き添った場合などに請求できる費用です。ただし、入院中は完全看護下にあると考えられるので「心配だから付き添った」という理由では認められないケースも考えられます。
【入院雑費】
入院中に要した消耗品やテレビカードの費用などを請求できる可能性があります。まとめて入院1日あたり1500円と計算する場合もあります。
【通院交通費】
通院のために要した交通費を請求可能です。ただし、タクシーを利用する場合や、近距離にもかかわらず交通機関や自動車を利用している場合は、加害者側が必要性を認めないケースもあり得ます。
【車の修理費用や携行品の損害など】
事故で車が壊れた場合の修理費用や、事故で持ち物や衣服に破損や汚損があった場合などに修理費用やクリーニング費用等を請求できる可能性があります。
5. 後遺障害12級の賠償金は総額でいくら?
次のようなケースを例にとり、弁護士基準により治療費以外の賠償額を算定してみます。
・会社員男性、事故前年の年収450万円
・事故前の収入は1日あたり1万8750円
・事故で骨折し、入院期間ゼロ+通院期間10カ月のあと25歳で症状固定
・治療のために仕事を20日休業
・車の修理費用50万円
後遺障害12級が認定された場合に請求できる損害の金額は次のように算定されます。
車の修理費用:50万円
休業損害:1万8750円×20日=37万5000円
逸失利益:450万円×14%×23.701=1493万1630円
後遺障害慰謝料:290万円
通院慰謝料:145万円
合計:2015万6630円
6. 後遺障害申請と賠償金請求の手順
交通事故により後遺症が残った場合の後遺障害申請と賠償金請求の手順は次の図のとおりです。
6-1. 【STEP1】適切に通院を続け、「症状固定」の診断を受ける
事故のあとは自己判断で治療をやめたり頻度を減らしたりせず、医師の指示に従って通院を続けましょう。通院を続けるなかで、これ以上治療を継続しても改善しないと医師が判断する「症状固定」の状態になった時点で、治療終了となります。
6-2. 【STEP2】医師に後遺障害診断書を作ってもらう
治療が終了したら、医師に自賠責保険の書式で後遺障害診断書を作成してもらいましょう。作成を依頼する際は、自分の症状について医師にしっかりと伝え、可動域などの検査で無理をせずに正確な状態を記録してもらいましょう。
6-3. 【STEP3】後遺障害等級認定を申請する
後遺障害等級認定の申請には、加害者側の保険会社に申請を任せる「事前認定」と、被害者自身で申請を行う「被害者請求」の2つがあります。
被害者請求では必要書類を自身でそろえて加害者側の自賠責保険会社に送る手間がかかるものの、被害者に有利な資料を添付できるため納得した形で申請できるメリットがあります。ただし、自分一人で必要書類をそろえるのが難しいこともあるため、被害者請求をする場合は弁護士に相談するとよいでしょう。
6-4. 【STEP4】加害者側と示談交渉を開始する
後遺障害の認定を受けたあと、加害者側と賠償額について交渉を始めます。相手の保険会社から提示される賠償金額は自賠責保険基準や任意保険基準により算定されているため、弁護士基準によるものと比べると低額であるケースが多いです。金額について疑問があれば弁護士に相談するとよいでしょう。
6-5. 【STEP5】示談が決裂した場合|交通事故ADRまたは民事訴訟に移行する
交渉が成立しない場合は「日弁連交通事故相談センター」などが行う示談あっせん手続きである「交通事故ADR」や民事訴訟(裁判)を通じて賠償額を決めてもらいます。
たとえば日弁連交通事故相談センターの示談あっせんの場合、1、2回しか期日が開かれず、成立率も80%を超えているなど、早期に解決をはかれるケースが多いと言えます。ただし、利用には一定の条件がある点に注意が必要です。
裁判には時間がかかるものの、相手とどうしても話し合いがつかない場合や譲歩が難しい場合にも判決で最終的な金額を決めてもらえます。
6-6. 【STEP6】賠償金が支払われる
交渉の結果や交通事故ADR、裁判などで決まった内容にしたがって相手から賠償額の支払いを受けます。
7. 後遺障害12級の認定を得るためのポイント
後遺障害12級の認定を受けるためには、次の5点に留意し、手続きを進めましょう。
勝手に治療を中断しない
症状を医師にしっかりと伝え、正しい後遺障害診断書を作成してもらう
むち打ちの場合は画像検査などでの客観的な証拠をそろえる
被害者請求で等級認定を申請する
早い段階で弁護士に依頼する
7-1. 勝手に治療を中断しない
自己判断で治療を中断すると、治療を再開しても事故との因果関係を認めてもらえないおそれがあります。その結果、後遺障害と事故との因果関係も認められない可能性があります。医師が「症状固定」と診断するまで治療を続けましょう。
7-2. 症状を医師にしっかりと伝え、正しい後遺障害診断書を作成してもらう
後遺障害診断書は、等級認定の審査における中心資料です。後遺障害12級の認定基準に当てはまる症状がある場合、医師には症状をしっかりと伝え、後遺障害診断書に記載してもらうようにしましょう。
記載内容が不十分と思われる場合は、弁護士を通じて修正や補足を依頼することも検討すべきです。
7-3. むち打ちの場合は画像検査などでの客観的な証拠をそろえる
むち打ちは、被害者本人に痛みやまひ、しびれといった自覚症状があっても、医学的な証明ができない症例が珍しくありません。
神経が圧迫されていることがわかる、あるいは骨が変形していることがわかる客観的な証明ができる検査がないか、医師に相談してみることが大切です。また、症状が事故後から一貫して続いている事実を医師に伝え、カルテなどに残してもらうとよいでしょう。
ただし、むち打ちを証明する画像所見の審査基準は厳しく、むち打ちだけでの12級認定は難しいと考えられます。
7-4. 被害者請求で等級認定を申請する
加害者側の保険会社を通じて後遺障害等級の認定申請をする「事前認定」ではなく、可能であれば自分で書類をそろえて加害者側の自賠責保険会社に認定申請をする「被害者請求」という方法をとるとよいでしょう。
被害者請求では、審査を行う機関に対して直接症状を説明する書面を送付できるなど、被害者にとって有利に手続きを進められるというメリットがあります。
7-5. 早い段階で弁護士に依頼する
弁護士に依頼すると、弁護士基準で賠償額を算定して加害者側と交渉をしてくれます。また、生活費が足りない場合に休業損害の内払いを受けたいなど、自分で直接交渉が難しい場合にも交渉してもらえる可能性があります。
なお、自分が加入する自動車保険に弁護士費用特約がついている場合、弁護士費用の負担なく、または少ない費用負担で弁護士に依頼できます。加入する保険に弁護士費用特約が付帯しているかどうかを確認のうえ、弁護士に依頼しましょう。
8. 後遺障害12級の認定を受ける際の注意点
後遺障害12級の認定を受ける場合、次の4点に注意しましょう。
【症状固定により治療費や休業損害が打ち切られるリスクがある】
症状固定以後の治療は事故と因果関係がないと考えられ、治療費や休業損害は認められません。
【逸失利益が認められにくいケースがある】
障害の内容によっては労働能力にそれほど影響しないと考えられる場合があり、逸失利益が認められないケースもあり得ます。
【むち打ちでの12級認定は難しい】
むち打ちなど、自覚症状以外の症状が少ない場合、後遺障害等級の認定そのものが受けられない可能性もあります。
【特に被害者請求は手続きに時間と労力がかかる】
自分で書類をそろえて後遺障害等級の認定申請を行う「被害者請求」の場合、準備が大変だと感じられることもあるでしょう。また、書類提出後、結果が出るまでに数カ月かかるケースが多いです。
たとえ後遺障害等級が認定されなくても、手続きに時間がかかる点を除いて等級認定の申請そのものにデメリットはありません。弁護士に相談して認定の必要性や妥当性を判断してもらい、効率的に手続きを進めるとよいでしょう。
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9. 後遺障害12級の被害者が、賠償金以外に受けられる支援や給付は?
たとえば仕事中の事故で労働災害と認定された場合、療養(補償)等給付、休業(補償)等給付といった給付が受けられることがあります。療養(補償)等給付とは、仕事中や通勤中に負ったけがの治療費を労災保険で全額補償する制度です。また、休業(補償)等給付とは、仕事中や通勤中に生じたけがや病気により休業せざるを得なかった場合に労災保険から補償金が支給されるものです。
それ以外にも、仕事中に負った障害に対する障害(補償)給付、障害特別支給金、障害特別一時金といった給付も受けられます。ただし、療養(補償)等給付などは、加害者側から支払われる損害賠償と調整されるケースもあるため、注意しましょう。
10. 後遺障害12級についてよくある質問
Q. むち打ちで後遺障害12級が認定されなかった場合、再申請できる?
後遺障害等級の認定を行う「損害保険料率算出機構」の審査結果に不服がある場合、異議申立てが可能です。
Q. 逸失利益を請求する際、後遺障害によって仕事に支障が出たことを証明する方法は?
逸失利益を請求したい場合、事故で負った後遺障害によって収入が減った事実を証明する資料を提出するとよいでしょう。また、人事異動や降格があった場合はそれを証明する資料をそろえたうえで、事故によって不利益を被った事実を主張する選択肢も考えられます。
11. まとめ 後遺障害12級の申請や認定後の賠償金請求に不安がある場合は弁護士に相談を
交通事故でけがをした場合、まずは医師の指示に従って通院を続けることが重要です。治療が終わっても後遺障害12級に該当する症状が残った場合、後遺障害等級認定を受けたうえで等級に応じた損害賠償を加害者に請求しましょう。
賠償金の算定には3つの基準があり、弁護士が介入した場合に適用される弁護士基準により算出された賠償金額が最も高くなります。適正額の賠償金を請求したいのであれば、弁護士に対応を依頼しましょう。また、後遺障害等級認定の申請を被害者自身が行うことは簡単ではありません。弁護士に依頼することで、被害者の負担軽減も期待できます。
後遺障害認定の結果や相手の提示額などに疑問がある場合も、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
(記事は2026年7月1日時点の情報に基づいています)
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