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1. 交通事故に関するセカンドオピニオンとは?|弁護士と医師、二つの視点が必要な理由
弁護士や医師は、自らの専門的知見に基づき、専門職として事件処理や治療にあたります。そのため、それぞれの経験や考え方によって、10人いれば10通りの処理方針や治療方針があります。
したがって、被害者としては、依頼する弁護士や医師が自分の望むサービスを提供してくれるかどうかを事前に十分検討する必要があります。
もっとも、契約前や受診時に弁護士や医師から事前に説明された処理方針、治療方針の内容が、果たして自分にとって最適なものなのか、判断が難しい場合もあります。
また、契約後にさまざまな事情で処理方針や治療方針が変更となり、提供されるサービスや治療が当初の想定とは変化する場合もあります。そうなると、そのまま依頼を続けてよいものかどうか、不安に感じるかもしれません。
こうした不安や疑問点を解消しようと思っても、専門知識がないと自身で判断するのは難しいでしょう。
そこで必要となるのが、同じ専門職による「セカンドオピニオン」です。
2. 弁護士のセカンドオピニオンについて
弁護士のセカンドオピニオンを求めたほうがよいケースや求める場合の手順、費用などについて解説します。
2-1. 弁護士のセカンドオピニオンを求めるべきケースとは
弁護士のセカンドオピニオンを求めたほうがよいケースとしては、弁護士が説明した事件処理の見通しや方針に、被害者として納得がいかない場合が挙げられます。
弁護士の説明に納得がいかない場合は、正式な契約前であれば別の弁護士に相談したほうがよいです。また、説明内容に納得できる弁護士を探して依頼するべきです。
契約後に意見や認識の食い違いが出てきた場合は、まずはその弁護士と再度、話し合いの場を持ち、なぜ自分が望むような見通しにならないのか、その理由について説明を受けるようにしましょう。
被害者にとって、ほかの弁護士をゼロから探して依頼先を変えるのは大きなエネルギーが必要になります。可能であれば弁護士を変えず、話し合いで方針をすり合わせるようにしてください。
それでも納得できない場合は、契約している弁護士の見通しが妥当なのかを判断するためにも、セカンドオピニオンを受けたほうがいいかもしれません。
ほかにも、見通しや方針自体は問題なくても、依頼先の弁護士からなかなか返答がなく不安になる場合や、弁護士と性格的に合わず、必要な情報提供が円滑に行えない場合なども、セカンドオピニオンを検討すべきでしょう。
そもそも、安心を得るために弁護士に依頼をしているのに、逆に不安を覚える状態になるのは本末転倒です。さらに、弁護士との連携がうまくいかず、事件処理に必要な情報提供を行えなければ、被害者自身に不利益な結果になるおそれもあります。
2-2. ほかの弁護士にセカンドオピニオンを求める際の手順は?
まず、相談したい内容や資料をまとめ、相談する弁護士を探して法律相談を申し込みます。この際、セカンドオピニオンを聞きたい旨を伝えましょう。
次に、実際にセカンドオピニオンを求める弁護士に相談に行き、現在依頼している弁護士の見通しや、対応に疑問を感じている点を伝え、回答をもらいます。
セカンドオピニオンを求めた弁護士に正式に依頼をしたいと考えた場合は、現在依頼中の弁護士との契約や今後の引き継ぎをどうすればよいかをその弁護士に尋ねます。
一般的には、元の弁護士との委任契約を終了させてから、セカンドオピニオンを求めた弁護士と新たに委任契約を締結するケースが多いです。また、書面や資料の引き継ぎは、相談者自身が現在、委任契約を結んでいる弁護士から書面の写しや資料の提供、返却を受け、新たな弁護士に渡すケースが一般的です。
場合によっては、弁護士同士で引き継ぎをするケースもあるかもしれません。その場合でも、それまでに加害者側とどのようなやりとりがあったのかを被害者自身も把握しておく必要があります。その意味においても、被害者自身が書面や資料の引き継ぎをしたほうがよいでしょう。
そののちに新たな弁護士と委任契約を締結し、弁護士費用を支払えば弁護士の変更は完了します。そこからは、納得のいくセカンドオピニオンに基づいて相手側の保険会社との交渉や訴訟提起などの事件処理をしてもらいます。
2-3. 弁護士にセカンドオピニオンを求める場合、費用はどうなる?
すでに依頼している弁護士に支払った着手金は、返金されないケースが一般的です。金額や事件の進行度にもよりますが、依頼後、すでに事件に着手して処理を進めている以上、着手金の返金がなされないのはやむを得ないでしょう。
また、セカンドオピニオンを求める場合、無料相談に対応していない弁護士もいるため、あらかじめホームページや電話などで確認しておきましょう。
セカンドオピニオンを求めた弁護士に新たに依頼をする場合、最初の弁護士との委任契約とは別契約であるため、新たに費用が発生します。
この点、加入している保険において弁護士費用特約が付帯していると、新たな弁護士との弁護士費用についても、多くの場合は特約に定められた金額の範囲内において保険会社が負担してくれます。
弁護士費用特約を使えるかどうかで弁護士費用の負担が大きく変わるため、弁護士費用特約が適用されるかどうか、保険会社に事前に確認する必要があります。
2-4. セカンドオピニオンを受けても対応や結果が変わるとは限らない
現在、依頼している弁護士に疑問を感じたとしても、実際はその弁護士の見通しや対応に問題がないケースもあります。しかし、初めて弁護士に依頼をする場合は特に、弁護士の対応が適切なのかわからない部分があると思います。セカンドオピニオンを求めるのはそのような不安を取り除くためであり、セカンドオピニオンを求めること自体に問題はありません。
とはいえ、弁護士の変更は大きなエネルギーがかかり、場合によっては追加の弁護士費用も必要になります。セカンドオピニオンを求める際にも冷静に話を聞き、弁護士を変えるべきかを慎重に判断する必要があります。
2-5. セカンドオピニオンの弁護士を選ぶ際のチェックポイント
基本的には最初に弁護士を選ぶ際と同様ですが、費用などの観点から何度も弁護士を変えるわけにはいかないため、より慎重に判断する必要があります。
まずは、交通事故の事件処理を依頼する以上は、交通事故分野に明るいと思われる弁護士を探してください。弁護士事務所の公式ホームページなどで解決実績や処理方針を紹介している弁護士も多いので、確認して参考にするとよいでしょう。
また、実際に弁護士と対話して説明を受けたときの印象も大切です。説明がわかりやすいかどうか、自分の意見を尊重する姿勢を見せてくれるかどうか、メリットやデメリットを示すなど自分にとって必要な情報を提供してくれるかなどの点に注目すると、自分に合う弁護士がおのずと見つかると思います。
また、費用について明瞭な説明をしてくれるかどうかも重要です。セカンドオピニオンについては無料相談対応をしていない弁護士もいます。新たに依頼をするとなれば、さらに弁護士費用が追加されるため、十分な費用対効果を得られるかを考慮に入れながら慎重に判断しましょう。
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3. 医師のセカンドオピニオンについて
続いて、医師のセカンドオピニオンを求めるべきケースや求める場合の手順、費用などについて解説します。
3-1. 医師のセカンドオピニオンを求めるべきケースは?
考え方は弁護士の場合とほぼ同様です。医師の治療方針に納得がいかない場合は、ほかの医師によるセカンドオピニオンを検討したほうがよいです。医師からどのような治療を受けるかは、健康という最も重要な部分に直接関わるため、後悔なく、納得のいく治療を受ける必要があります。
筆者が弁護士として医師のセカンドオピニオンに関する相談を受けていてよくあるのは、現在、治療を受けているのが、距離的に、または診療時間的に通いにくい病院だという相談です。
事故当日に事故現場の近くの病院に救急搬送されて治療を開始したものの、事故現場が自宅から遠方で通いづらいケースや、仕事後にリハビリに通いたいものの、終業時間に病院が診療を行っていないケースなどがあります。
また、筆者が弁護士として相談を受けていて驚いた事例として、被害者が訴える症状を医師が信じてくれない、といったケースがありました。医師から「もう完治しているはずで、痛みを感じているのは気のせいだから、後遺障害診断書は書けない」と言われたそうです。
相談者は実際にまだ痛みを感じていたため、その痛みについて医学的に納得のいく説明をしてくれる医師に治療を求めるべきであるのは言うまでもありません。
3-2. 医師のセカンドオピニオンを求めたり、転院したりする際の手順は?
まずはセカンドオピニオンを求めたい相談先の病院、あるいは転院を求めたい病院を探します。
次に、保険会社が病院に治療費を支払っている場合、転院の前に、必ず保険会社へ説明や報告をします。これにより、転院先での保険会社による治療費の支払いが円滑に行われます。保険会社への事前報告をしないまま、むやみに転院やほかの病院での受診を繰り返すと、治療費の支払いの際に保険会社との間でトラブルになるため気をつけてください。
保険会社への報告が済んだら、それまで治療を受けていた病院に転院したい旨を説明してください。その際、紹介状を書いてもらうと新しい病院への引き継ぎが適切に行われるため、紹介状の作成もお願いするとよいでしょう。その後、転院先の病院で治療を開始します。
3-3. 医師のセカンドオピニオンを求めたり、転院したりする際の注意点は?
治療行為を受けるのではなく、セカンドオピニオンを求めたいだけの場合は、全額が自己負担となり、費用が高額になる可能性があります。
また、転院先の病院には事故によるけがの治療を途中から依頼するかたちになりますが、病院側から見た場合は事故当時からの一貫した治療ではない状況になります。そのため、後遺障害等級認定の審査に必要な「後遺障害診断書」の作成を断られるケースもあります。転院時のリスクとして頭に入れておいてください。
転院が後遺障害診断書を作成する際の支障とならないよう、転院前の病院と新しい病院の医師の間で治療経過の情報共有をしてもらうのがおすすめです。
3-4. 医療機関から整骨院、接骨院、鍼灸院への安易な転院にはリスクがある
交通事故の損害として認められる治療費は、必要かつ相当な範囲に限られます。この点、けがの治療行為を行えるのはあくまで医師であり、病院での治療以外は、原則として必要な治療とは認められません。
整骨院、接骨院、鍼灸院は医療機関ではありません。そのため、病院から整骨院、接骨院、鍼灸院に転院し、病院には通わない状態になると、転院後の整骨院、接骨院、鍼灸院での施術費用については必要性がないものとみなされ、保険会社から治療費が支払われなくなる可能性があります。
また、治療を続けたものの後遺症が残って後遺障害等級を申請しようとした場合に後遺障害診断書を作成してもらえない可能性があります。さらに、病院への通院実績が途切れるといった事情から、後遺障害等級の認定を受けられなくなる可能性が高まります。
そのため、転院先は整骨院、接骨院、鍼灸院ではなく病院にする必要があります。整骨院などに通うとしても、転院先の病院の診察を受けながら医師の承諾と指示のもとに通うようにしてください。
3-5. 転院を検討しているなら早いほうが望ましい
転院が遅れると、転院先での治療期間が短くなります。たとえば、5カ月間通院したのちに転院し、転院先で1カ月間の治療を受けて、それ以上の回復が見込めない「症状固定」の診断を受けた場合、転院先の病院では6カ月間のうち1カ月間しか診察を受けていないかたちになります。
そこで問題となるのが、後遺障害診断書の作成です。後遺障害診断書は症状固定と判断した医師が作成するのが通常です。転院が遅れると、1カ月しか診察していないために詳細な治療経過や見通しを記載しようにも情報が足りず、十分な後遺障害診断書を作成できない、あるいはそもそも診断書自体の作成ができない状況になりかねません。
転院を希望する場合は、先送りせず、できるだけ早く転院するようにしましょう。
4. 交通事故のセカンドオピニオンに関してよくある質問
Q. 現在依頼している弁護士に、セカンドオピニオンを求めたと知られる可能性はある?
弁護士は守秘義務を負っているので、依頼者本人が伝えない限りは伝わる可能性は低いと言えます。
ただし、たとえば新しく契約する弁護士が、依頼者の同意のもと、情報の引き継ぎのために従来の弁護士に連絡をした場合には、依頼者が新しい弁護士にセカンドオピニオンを求めた事実がおのずと従来の弁護士に知られるでしょう。
セカンドオピニオンを求めた事実を従来の弁護士にできる限り知られたくない場合は、自分自身で新しい弁護士に情報の引き継ぎをする必要があります。
Q. 病院や弁護士を変更する適切なタイミングは?
弁護士や医師を変更するのであれば、可能な限り早いタイミングをおすすめします。弁護士のなかには、すでに交渉がある程度進んでいる事件の引き継ぎを断る人もいます。
ただし、弁護士や医師を変更した場合でも、望んだとおりの結果が約束されるわけではありません。セカンドオピニオンで得た情報も検討しながら、本当に変えるべきか、変更によって得られるメリットが大きいのかどうか、慎重に判断してください。
Q. 病院や弁護士を変えるときは、従来の医師や弁護士へどのように伝えるべき?
治療や事件処理を進めるにあたって、これまで関わった医師や弁護士から反感を買ってもよいことはありません。
病院や弁護士の変更を従来の医師や弁護士に伝える際には、角が立つ言い方は避けたほうがよいでしょう。医師に伝える場合であれば、医師自身への不満ではなく、勤務時間の関係で診察時間内に通院できない、といった理由で転院する旨を伝えるケースが多いです。
過去に筆者を新たな担当弁護士に変更した依頼者は、従来の弁護士の事件処理に強い不満を感じていましたが、従来の弁護士との委任契約終了を伝える際には「親族に弁護士を紹介され、親族の顔を立てるために依頼先を変えざるを得なくなった」と伝えたそうです。
さらに、この依頼者は従来の弁護士を解任するかたちではなく、こうした理由を伝えて弁護士本人に辞任してもらう方法もとったそうです。まさに角が立たないスマートな変更と言えるでしょう。
こうした対応がわずらわしいのであれば、特に理由は説明せず、弁護士に解任通知を送付して委任契約を終了させるかたちも可能です。
Q. 転院したら後遺障害診断書を作成してもらえなくなる?
適切に引き継ぎが行われた場合は、後遺障害診断書を作成してもらえるケースが多いです。ただし、情報不足により内容が不十分な後遺障害診断書が作成される可能性もあります。転院にはこうしたリスクがあるため、可能な限り病院間での十分な情報共有をお願いしてください。
Q. セカンドオピニオンの費用は加害者側の保険会社に請求できる?
単に意見を求めるだけのセカンドオピニオンの費用は、治療には必要のない費用として加害者側の保険会社から支払いを拒否される可能性が高いです。
もっとも、転院後の治療費については、必要かつ相当と認められた場合には、支払われるケースもあるでしょう。転院前に加害者側の保険会社に連絡し、治療費の支払いをしてくれるかどうか確認をとってください。
5. まとめ 交通事故の見解についてセカンドオピニオンを求めたい場合は弁護士に相談を
交通事故の被害に遭ったあと、事件処理を依頼している弁護士や治療を担当する医師の見解が自分の意向と食い違う場合や、弁護士からの説明が不十分な場合、自分が訴えている症状を医師が認めてくれない場合などには、他の弁護士や医師へのセカンドオピニオンを求めるのがお勧めです。
弁護士や医師など専門家の意見を聞くと、不満があってもそのまま受け入れてしまうケースも多いと思います。しかし、交通事故という重大な被害を受けた際は、後悔のない事件処理と治療が重要です。そのために求めるセカンドオピニオンは、後悔のない結果を求めるうえで有用な手段であると言えます。
セカンドオピニオンを求める際には、新しい弁護士や医師に現在の状況や疑問点を明確に伝えて回答をもらうようにしましょう。依頼先や通院先を変更できるかどうかは慎重に判断し、実際に変更する場合は、適切な引き継ぎを行う必要があります。
弁護士や医師の見解に疑問や不安がある場合は、まず弁護士に相談してセカンドオピニオンを求めてみてください。
(記事は2026年8月1日時点の情報に基づいています)
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