目 次
朝日新聞社運営「交通事故の羅針盤」で
交通事故トラブルに強い弁護士を探す
交通事故トラブルに強い
弁護士を探す
1. 診断書に記載された「全治1週間」とはどういう意味?
交通事故によるけがの診察を受けた際、医師から「全治1週間」の診断書が交付されたら、一般的には軽傷と考えられます。しかし、実際に1週間でけがが完治するとは限りません。
1-1. 全治1週間=初診時に医師が判断した治療期間の目安
「全治1週間」とは、けがの初診を担当した医師が、診察時点において1週間程度で完治すると見込んだことを意味します。あくまでも当初の見通しや目安であって、実際に1週間で完治することが保証されているわけではありません。
1-2. 全治1週間と記載されることが多い症状の具体例
一般的に、全治1週間と診断されるけがは比較的軽傷であると考えられます。たとえば、次のようなけがは全治1週間と診断されやすいです。
軽度の擦り傷、切り傷
軽度の打撲、あざ
軽度のねん挫
1-3. 【重要】診断書をもらったら必ず「人身事故」に切り替える
全治1週間の軽傷でも、交通事故によってけがをした場合は「人身事故」として扱われます。
もし警察官に「物損事故」として報告しているなら、警察署へ診断書を持参して人身事故への切り替えを申請しましょう。自動車安全運転センターから人身事故の交通事故証明書の交付を受けられるようになり、治療費や慰謝料の請求をスムーズに行うことができます。
人身事故として処理されると実況見分が行われるため、事故状況を客観的な資料として残しやすくなる点もメリットです。
事故発生から期間が経過すると、人身事故への切り替えが認められない可能性もあるため、診断書を受け取ったらできるだけ早く警察署で手続きを行いましょう。
2. 追突事故で全治1週間となった場合の慰謝料相場
追突事故によるけがが全治1週間と診断された場合、軽傷ではあるものの、加害者側に対して慰謝料を請求できます。弁護士基準で請求を行い、適正な慰謝料額での解決を目指しましょう。
2-1. 交通事故の慰謝料の3つの算定基準
交通事故の慰謝料を算定する基準は「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3種類があります。
自賠責保険基準は自賠責保険から支払われる保険金額を算定する基準、任意保険基準は保険会社が独自に定めている基準です。自賠責保険基準や任意保険基準による慰謝料の額は、被害者が本来受け取るべき金額よりも大幅に低くなる点に注意が必要です。
被害者としては、弁護士基準で慰謝料を請求することが大切です。弁護士基準は過去の裁判例に基づいており、被害者に生じた客観的な損害額を算定します。3つの基準の中で最も公正であり、かつ被害者にとって有利です。
加害者側の保険会社は、自賠責保険基準や任意保険基準で慰謝料額を算定することがよくあります。弁護士基準に基づく再計算を行い、提示額に納得できない場合は増額を求めましょう。
2-2. 入通院慰謝料と後遺障害慰謝料
交通事故によるけがが全治1週間の場合、被害者は「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」を請求できる可能性があります。
「入通院慰謝料」は、けがの治療のために入院や通院を強いられたことによる身体的・精神的苦痛の賠償金です。通院が1週間程度と短期間でも、それに応じた入通院慰謝料を請求できます。
「後遺障害慰謝料」は、後遺症が残ったことによる身体的・精神的苦痛の賠償金です。全治1週間のけがは基本的に軽傷なので、後遺症が残ることは少ないです。しかし、医師の当初の見立てよりも重傷だった場合は後遺症が残る可能性もあり、その場合は後遺障害等級に応じた後遺障害慰謝料を請求できます。
2-3. 入通院慰謝料の計算方法と金額相場
自賠責保険基準では、入通院慰謝料の金額は「日額4300円×対象日数」で計算します。対象日数とは、次のAとBのうち、いずれか少ない方です。
A:治療期間(=事故発生日~完治または症状固定の診断日)
B:実際に入院または通院をした日数の2倍
たとえば、2回通院して治療期間が1週間(7日間)だったときは、対象日数は4日(=2日×2)です。したがって、自賠責保険基準による入通院慰謝料の額は1万7200円(=4300円×4日)となります。
弁護士基準による入通院慰謝料の金額は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(いわゆる「赤い本」)」に基づいて計算するのが一般的です。重傷の場合は別表Ⅰ、むちうちや打撲などの軽傷の場合は別表Ⅱを用いて、入院期間と通院期間が交差する部分の金額を確認します。
軽傷の場合に適用される別表Ⅱを抜粋・編集した表を紹介します。
入院期間や通院期間は1カ月単位となっていますが、1カ月未満の期間については日割り計算を行います(1カ月=30日として計算)。通院期間が1週間(7日間)だったときは、1カ月間の金額である19万円について日割り計算を行うため、弁護士基準による入通院慰謝料の額は4万4333円(=19万円÷30日×7日)です。
2-4. 後遺障害慰謝料の金額相場
後遺障害慰謝料の額は、損害保険料率算出機構が認定する後遺障害等級によって決まります。
後遺障害等級 | 裁判基準 | 後遺障害等級 | 裁判基準 |
|---|---|---|---|
1級 | 2,800万円 | 8級 | 830万円 |
2級 | 2,370万円 | 9級 | 690万円 |
3級 | 1,990万円 | 10級 | 550万円 |
4級 | 1,670万円 | 11級 | 420万円 |
5級 | 1,400万円 | 12級 | 290万円 |
6級 | 1,180万円 | 13級 | 180万円 |
7級 | 1,000万円 | 14級 | 110万円 |
たとえば痛みやしびれなどの後遺症については、後遺障害12級または14級が認定される可能性があります。仮に14級の認定を受けたとすると、後遺障害慰謝料の額は自賠責保険基準で32万円、弁護士基準で110万円です。
3. 全治1週間の追突事故について、慰謝料以外に請求できる主な賠償金
追突事故でけがをして全治1週間の診断を受けた人は、慰謝料以外にも次に挙げる賠償金などを請求できます。全治1週間と診断された軽傷事故であっても、状況によっては慰謝料以外の賠償金が高額になるケースがあります。受けた損害を漏れなく把握したうえで請求しましょう。
3-1. 治療費
追突事故によるけがを治療するため、医療機関や薬局に支払った費用は、その実費を加害者側に対して請求できます。後から請求内容を確認できるよう、領収書を保存しておきましょう。
3-2. 通院交通費
通院するために要した交通費も、加害者側に対して請求できます。公共交通機関を利用した場合はその実費相当額、自家用車を利用した場合は1km当たり15円で計算するのが一般的です。
タクシー代については、公共交通機関や自家用車の利用が困難である場合に限り、請求が認められる可能性があります。タクシーを利用した場合は、利用区間や利用理由を記録しておくとよいでしょう。
3-3. 休業損害
追突事故によるけがの影響で仕事を休んだ場合は、それによって減少した収入を休業損害として請求できます。有給休暇を取得した場合も、所定労働時間分の賃金を休業損害として請求可能です。
全治1週間の軽傷でも、業務内容や症状によっては仕事を休まざるを得ないケースはあります。
3-4. 逸失利益
後遺症が残った場合は、労働能力が失われたことによって将来にわたり減少した収入(=逸失利益)の損害賠償を請求できます。
逸失利益の金額は、事故時点での収入や年齢、認定される後遺障害等級、後遺症の性質などによって決まります。軽度の痛みやしびれ(14級相当)でも、100万円~数百万円程度の逸失利益が認められる可能性があります。
3-5. 物的損害(修理代など)
追突事故時に自動車や積荷などが破損した場合は、次の賠償金などを請求できます。
・自動車の修理代、買替費用
・自動車のレッカー代、保管料
・代車費用
・自動車の評価損
・積荷の破損による損害
追突事故では、人身損害よりも車両の修理費の方が高額になるケースも少なくありません。
朝日新聞社運営「交通事故の羅針盤」
4. 全治1週間のけがの治療を受ける際の留意点
追突事故による全治1週間のけがの治療は、損害賠償請求に備える観点から、次に挙げるポイントに留意してください。
診断書に全治1週間と記載されていても、実際の治療期間や賠償額に影響する重要なポイントがあります。
4-1. 治療完了の時期は医師が判断する|自分だけの判断で通院を中断してはいけない
追突事故によるけがの治療は、医師から完治または症状固定の診断を受けるまで続けましょう。
自分だけの判断で通院を中断すると、けがが治りにくくなるうえに、損害賠償請求にも悪影響が及ぶおそれがあります。
4-2. 保険会社とのコミュニケーションが重要
全治1週間のけがについては、軽傷であることを理由に、保険会社が慰謝料の支払い終了を打診してきたり、1週間を超える通院の治療費を支払わなかったりすることがあります。
このような事態を防ぐには、保険会社に治療の状況を詳しく伝えるなど、適切にコミュニケーションをとることが大切です。医師や弁護士のサポートを受けながら、保険会社と連絡をとり合いましょう。
4-3. 整骨院や接骨院に通うのは、医師の指示を受けた場合のみ
整骨院や接骨院での治療は、医学的な必要性が認められず、治療費や慰謝料の対象外となることがあります。
基本的には、追突事故によるけがの治療は医療機関で受けるべきです。整骨院や接骨院への通院を希望する場合は、事前に医師へ相談することをおすすめします。
5. 追突事故による全治1週間のけがについて、損害賠償を請求する際の注意点
追突事故で全治1週間のけがをした人が、加害者の保険会社と示談交渉をする際には、次に挙げるポイントに注意して対応を進めてください。
5-1. 治療が完了する前に、示談書にサインしてはいけない
保険会社との示談は、治療が完了してから行ってください。治療が完了するのは、医師から完治または症状固定の診断を受けたときです。後遺症が残っている場合は、示談交渉に先立って後遺障害等級の認定も受ける必要があります。
治療が完了していない段階では、まだ事故による損害が確定していません。この段階で示談書にサインすると、賠償金を十分に得られない可能性が高いです。早くお金を受け取りたいとしても、示談に応じるのは治療完了後(後遺症が残っている場合は、後遺障害等級の認定後)にしましょう。
5-2. 保険会社の提示額をそのまま受け入れてはいけない
加害者側の保険会社は、支払う賠償金(保険金)の額を抑えるため、弁護士基準と比べて、大幅に低い金額を提示することがよくあります。その内訳を見ると、計上すべき損害が漏れている、弁護士基準で計算されていない、過失割合が不適切であるといった原因が見られます。
被害者としては、保険会社の提示額をそのまま受け入れるのではなく、持ち帰って弁護士に相談することをおすすめします。法的な観点から検討を行い、金額が低過ぎると思われる場合は増額を求めましょう。
5-3. 自分で示談交渉をするのはリスクが高い|弁護士に相談を
示談交渉を自分で行う場合、保険会社の提示や主張が妥当かどうかを判断することは容易ではありません。不利な条件で示談に応じてしまうケースも多々見られます。
適正額の賠償金を獲得するためには、弁護士のサポートを受けるのが安心です。自分で示談交渉に対応しようとする前に、一度は弁護士の無料相談を利用してみてください。
6. 全治1週間でも弁護士に依頼するメリット
交通事故によるけがが全治1週間の軽傷でも、請求できる損害賠償の項目は多岐にわたります。物損を含めたすべての損害を合計すると、100万円以上となるケースも少なくありません。また、診断書に全治1週間と記載されていても、実際には治療が長引くケースもあります。
事故による損害について十分な賠償を受けるためには、弁護士のサポートが大いに役立ちます。漏れのない損害の把握、弁護士基準による請求、適切な過失割合の主張などにより、賠償金の増額が期待できます。自力で対応する場合に比べて、労力やストレスが軽減される点も大きなメリットです。
弁護士に依頼する際には、少なくとも数十万円程度の弁護士費用が必要です。軽傷の場合は費用倒れの懸念がありますが、弁護士費用特約を使えば自己負担を大幅に抑えられます。
弁護士費用特約は、自動車保険(任意保険)や火災保険などに付いていることがあります。自分が加入している保険だけでなく、家族が加入している保険の弁護士費用特約も使えることがあるので、補償内容を保険会社に問い合わせてみましょう。
7. 追突事故で全治1週間の場合についてよくある質問
Q. 全治1週間と診断された場合でも、1週間を超えて通院してもいい?
医師が必要と判断しているなら、1週間を超えて通院しても問題ありません。1週間を超える通院期間についても、治療費や慰謝料を請求できると考えられます。医師の指示に従って通院を続けてください。診断書の「全治1週間」はあくまでも初診時の見込みであり、実際の治療期間を制限するものではありません。
Q. 保険会社に「全治1週間なので治療費はここまでです」と言われた。応じなければいけない?
保険会社の主張を受け入れる必要はありません。治療が必要な期間を判断するのは医師であり、保険会社ではないためです。保険会社に医師の見解を伝えるなどして、治療費の支払いを継続するよう求めましょう。
Q. 停車中の追突事故なのに保険会社から「過失が10%ある」と言われた。軽傷だから過失割合が上乗せされている?
けがの程度は、過失割合とはまったく関係がありません。過失割合は、事故の客観的な状況に応じて決まります。10%の過失があるとされている理由を再度確認したうえで、対応を検討してください。弁護士と協力することをおすすめします。
Q. 診断書には全治1週間と書いてあるのに、まだ首が痛い。この状態で保険会社と示談していい?
けがの治療が完了していないなら、まだ示談をしてはいけません。再度通院して、医師の診察を受けてください。症状が残っている状態で示談を成立させると、その後に治療が必要になっても追加の請求が難しくなる可能性があります。
Q. 全治1週間と診断されたが、事故から2カ月経っても首の痛みが取れない。今から弁護士に相談しても遅くない?
弁護士には、基本的にいつでも相談することができます。特に2カ月も痛みが続いている場合は、損害賠償が高額となる可能性もあるので、すぐに弁護士へ相談してください。
8. まとめ 追突事故で全治1週間と診断されても慰謝料は請求できる
追突事故で全治1週間の診断を受けた場合、基本的には軽傷であると考えられます。しかし、「全治1週間」はあくまでも初診時の見込みであり、実際に1週間で完治するとは限りません。症状が続く場合は、医師の指示に従って通院を継続することが大切です。
また、慰謝料の額は診断書の記載だけで決まるものではなく、実際の治療期間や通院状況などを踏まえて算定されます。加害者側に請求できる損害賠償の項目も、慰謝料だけでなく治療費や休業損害、物的損害など多岐にわたります。
弁護士費用特約を活用すれば、弁護士費用の自己負担を大幅に抑えることができます。軽傷で請求額が少ない場合でも、費用倒れを心配する必要はなくなるでしょう。自分や家族が加入している保険に弁護士費用特約が付いていれば、それを利用して弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
(記事は2026年9月1日時点の情報に基づいています)
朝日新聞社運営「交通事故の羅針盤」で
交通事故トラブルに強い弁護士を探す