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1. 信号無視とは?無視するとどうなる?
信号無視とは、信号に従わずに道路を通行することをいいます。一般に赤信号で交差点に進入することをイメージする人が多いですが、黄色信号であっても、態様によっては信号無視になる可能性があります。また、信号無視は道路交通法7条に違反し、違反点数や反則金の対象になり得ます。
各「信号」の意味は道路交通法施行令という法律で細かく定義されており、具体的には次のように定められています。
1-1. 青信号の意味
青信号は、歩行者にとっては「進行できること」を意味し、自動車等にとっては「直進・左折・右折ができること」を意味します。
また、原動機付き自転車や自転車などの軽車両については、「直進(右折地点まで進んでから右折する場合を含む)または左折ができること」とされています。
したがって、対面信号が青であれば、原則として信号無視には当たりません。
1-2. 赤信号の意味
赤信号は、歩行者にとっては「道路を横断してはならないこと」、車両にとっては「停止位置を越えて進行してはならないこと」を意味します。ただし、すでに交差点内で右左折を行っている車両については、そのまま進行することが認められています(原動機付き自転車や軽車両は除く)。
そのため、対面信号が赤の場合、交差点に進入していない状態で進行すれば信号無視となります。
1-3. 黄信号の意味
黄信号は、歩行者にとっては「横断を開始してはならず、すでに横断している場合は速やかに渡り切るか引き返すべきこと」を意味します。
車両についても原則は赤信号と同様で、「停止位置を越えて進行してはならない」とされています。ただし、停止位置に近接しており、安全に停止できない場合に限り進行が認められます。
このように、黄信号は「注意して進める」ものではなく、原則は停止すべき信号です。安全に停止できる状況で交差点に進入すれば、信号無視に当たります。
2. 【パターン別】交差点における信号無視事故の過失割合は?
信号無視事故の過失割合は、車両の種類や進行方向、信号の状態などによって大きく異なります。
ここでは、代表的な事故パターンごとに、基本的な過失割合の目安を解説します。
2-1. 直進四輪車同士の事故
自動車同士の事故の場合、赤信号を無視して直進した側の過失が非常に大きくなります。以下、信号の色ごとの過失割合の目安です。
事故類型 | 過失割合 |
|---|---|
青信号車vs赤信号車 | 0:100 |
黄信号車vs赤信号車 | 20:80 |
赤信号車vs赤信号車 | 50:50 |
2-2. 右折四輪車と直進四輪車の事故
直進車と右折車が事故を起こした場合の過失割合は以下のとおりです。
直進車の信号 | 右折車の信号 | 直進車の過失割合 | 右折車の過失割合 |
|---|---|---|---|
青信号 | 青信号 | 20 | 80 |
黄信号 | 青信号で進入後、黄信号で右折 | 70 | 30 |
黄信号 | 黄信号 | 40 | 60 |
赤信号 | 赤信号 | 50 | 50 |
赤信号 | 青信号で進入後、赤信号で右折 | 90 | 10 |
赤信号 | 黄信号で進入後、赤信号で右折 | 70 | 30 |
赤信号 | 右折の青色矢印信号で進入 | 100 | 0 |
2-3. 直進四輪車と直進二輪車の事故
直進する四輪車と二輪車(バイク)の事故の場合、過失割合は以下が目安になります。
二輪車の信号 | 四輪車の信号 | 二輪車の過失割合 | 四輪車の過失割合 |
|---|---|---|---|
青信号 | 赤信号 | 0 | 100 |
赤信号 | 青信号 | 100 | 0 |
黄信号 | 赤信号 | 10 | 90 |
赤信号 | 黄信号 | 70 | 30 |
赤信号 | 赤信号 | 40 | 60 |
2-4. 直進四輪車と直進自転車の事故
直進する四輪車と自転車の事故の場合、過失割合は以下が目安になります。
自転車の信号 | 四輪車の信号 | 自転車の過失割合 | 四輪車の過失割合 |
|---|---|---|---|
青信号 | 赤信号 | 0 | 100 |
赤信号 | 青信号 | 80 | 20 |
黄信号 | 赤信号 | 10 | 90 |
赤信号 | 黄信号 | 60 | 40 |
赤信号 | 赤信号 | 30 | 70 |
2-5. 直進四輪車と横断歩道を渡る歩行者の事故
直進する四輪車と歩行者の事故の場合、過失割合は以下が目安になります。横断歩道の信号が赤、車道の信号が青の場合でも、四輪車側にも過失がつくため、注意が必要です。
歩行者の信号 | 四輪車の信号 | 歩行者の過失割合 | 四輪車の過失割合 |
|---|---|---|---|
青信号で横断開始 | 赤信号 | 0 | 100 |
黄信号で横断開始 | 赤信号 | 10 | 90 |
赤信号で横断開始 | 赤信号 | 20 | 80 |
赤信号で横断開始 | 黄信号 | 50 | 50 |
赤信号で横断開始 | 青信号 | 70 | 30 |
青信号で横断開始 その後赤信号になった | 赤信号 | 0 | 100 |
赤信号で横断開始 その後青信号になった | 赤信号 | 10 | 90 |
青信号で横断開始 その後赤信号になった | 青信号 | 20 | 80 |
黄信号で横断開始 その後赤信号になった | 青信号 | 30 | 70 |
青信号で横断開始 その後安全地帯付近で赤信号になった | 青信号 | 30 | 70 |
黄信号で横断 その後安全地帯付近で赤信号になった | 青信号 | 40 | 60 |
2-6. 右左折四輪車と横断歩道を渡る歩行者の事故
右左折する四輪車と横断歩道を渡る歩行者の事故の過失割合は以下の通りです。
歩行者の信号 | 四輪車の信号 | 歩行者の過失割合 | 四輪車の過失割合 |
|---|---|---|---|
青信号で横断開始 | 青信号 | 0 | 100 |
黄信号で横断開始 | 青信号 | 30 | 70 |
赤信号で横断開始 | 青信号 | 50 | 50 |
黄信号で横断開始 | 黄信号 | 20 | 80 |
赤信号で横断開始 | 黄信号 | 30 | 70 |
赤信号で横断開始 | 赤信号 | 20 | 80 |
青信号で横断開始 その後赤信号になった | 赤信号 | 0 | 100 |
赤信号で横断開始 その後青信号になった | 赤信号 | 10 | 90 |
3. 信号無視でも過失割合が10対0にならないケースは?
信号無視があった場合でも、必ずしも一方の過失が100%になるとは限りません。事故の状況や当事者の行動によっては、信号を守っていた側にも一定の過失が認められることがあります。ここでは、過失割合が10対0とならない主なケースを解説します。
3-1. 相手方が黄信号の場合
黄信号は、歩行者にとっては「道路の横断を始めてはならないこと」、車両にとっては、赤信号と同じく「停止位置をこえて進行してはならないこと」を意味します。そのため、たとえ一方が赤信号であっても、黄信号で横断(進入)した側にも一定の過失が認められることから、10:0とはならない場合があります。
3-2. 相手方の青信号が途中で変わった場合
相手が青信号で交差点に進入していても、その後、黄信号や赤信号に変わった状態で右折した場合には、一定の過失が認められます。つまり、「進入時が青信号だった」というだけでは不十分で、右折時の信号状況も考慮されます。そのため、このようなケースでは過失割合が10対0にならないことがあります。
3-3. 青信号の側に速度超過などの過失があった場合
原則として、赤信号無視をした側の過失は100%となります。しかし、青信号側にスピード違反などの落ち度がある場合には、その分の過失が加算されます。
たとえば以下のように、青信号であっても運転状況によっては過失が認められ、10対0にならないことがあります。
・時速15~30km未満の速度違反 → 約1割の過失加算
・時速30km以上の速度違反 → 約2割の過失加算
3-4. 信号無視をしたのが歩行者や自転車である場合
赤信号を無視したのが歩行者や自転車であっても、車側が完全に無過失になるとは限りません。車は交通弱者に対して高い注意義務が求められるため、青信号で進入していても、車側に2割程度の過失が認められることがあります。そのため、歩行者や自転車が相手の場合は、10対0にならないケースが多い点に注意が必要です。
3-5. 緊急車両(パトカー・救急車など)との事故だった場合
パトカーや救急車などの緊急車両は、赤信号でも進行できるなど、特別な優先権が認められています。そのため、一般車両には進路を譲る義務があります。たとえば、一般車が青信号で進入し、緊急車両が赤信号で進入した場合でも、過失割合は20:80程度になることがあります。
3-6. 夜間や見通しの悪い交差点での事故だった場合
青信号で進入していても、周囲の安全確認を怠っていた場合には過失が認められることがあります。
特に、夜間や見通しの悪い交差点では、赤信号車の存在を回避できた可能性があると判断されると、約1割程度の過失が加算されることがあります。
このように、青信号であっても「安全確認義務」は免除されない点に注意が必要です。
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4. 信号無視の違反点数は何点?
交通違反や交通事故を起こしたドライバーには、「点数制度」によって違反点数が付けられます。
これは、過去3年間の累積点数に応じて、免許停止や免許取り消しなどの行政処分を行う仕組みです。
違反点数は違反の内容ごとに定められており、1点から25点までの複数の区分があります。
累積点数は、6点以上14点以下で免許停止、15点以上で免許取り消しの対象となります。
信号無視の違反点数は、車両の種類に関係なく2点です。ただし、酒気帯びの状態で信号無視をした場合は、呼気中アルコール濃度が0.25mg/L未満で14点、0.25mg/L以上で25点と大幅に加点され、一度で免許停止や取り消しとなる可能性があります。
また、点数は過去3年間で累積されるため、信号無視を繰り返すと、数回でも免許停止処分に至る点に注意が必要です。
5. 信号無視の反則金はいくら?
信号無視をすると「交通反則告知書」(通称:青キップ)というものが交付されます。決められた期間内に反則金の納付を行うことで、刑事罰が科されなくなるというもので「交通反則通告制度」といいます。
信号無視の場合、車両の種類(大型・普通車・二輪車など)と信号の色によって、5000円~12000円の反則金が課されます。具体的には次の通りです。
大型車 | 普通車 | 二輪車 | 小型特殊車 | 原付車 | |
|---|---|---|---|---|---|
信号無視(赤色等)違反 | 12000円 | 9000円 | 7000円 | 6000円 | 6000円 |
信号無視(点滅)違反 | 9000円 | 7000円 | 6000円 | 5000円 | 5000円 |
たとえば、普通車で赤信号を無視した場合には、9000円が反則金となります。
6. 信号無視による事故でもらえる示談金の内訳や相場は?
信号無視による事故では、けがの程度や後遺症の有無などに応じて、さまざまな損害について賠償を受けることができます。示談金は大きく「積極損害」「消極損害」「慰謝料」に分けられ、それぞれ計算方法や対象となる費用が異なります。
ここでは、主な損害項目とその内容、相場の考え方について解説します。
6-1. 積極損害|治療費など
積極損害とは、事故に遭ったために発生することになった費用のことをいいます。代表的な項目としては、次のとおりです。
項目 | 概要 | 注意事項・計算方法(弁護士基準) |
|---|---|---|
治療費 | 病院で行う診察代や処方箋料、 リハビリなどにかかった治療費などの 実費の合計 | 医療機関や薬局から交付される明細書にて確認 |
入通院付添費 | 症状や幼児等、 付添が必要と判断される場合に 認められる損害 | 入院付添費 6500円(一日) 通院付添費 3300円(一日) 上記付添費×通院日数で算出 |
通院交通費 | 通院先までの往復の交通費の実費相当額 | ・原則として電車・バスといった公共交通機関が対象 ・タクシーは原則NGであるが、 けがの程度や交通の便からしてタクシー利用の妥当性が認められれば請求可能 ・自家用車など、車で通院した場合は、15円/1kmとして、ガソリン代として請求 |
将来介護費 | 医師の指示または症状の程度により 必要があると認められる場合の損害 | 職業介護人:実費全額 近親者:8000円(一日) |
装具代 | 義歯、義眼、義足や義手といった 装具購入代(交換代)など | 必要かつ相当な範囲 装具費用は一生のうちに何度も買い替える必要があるため、 耐用年数に基づいた将来かかるであろう費用も認められる場合がある |
6-2. 消極損害|休業損害・逸失利益など
消極損害とは、事故に遭った結果として失われる利益をいいます。代表的な項目は次のとおりです。
項目 | 概要 | 注意事項・計算方法(弁護士基準) |
|---|---|---|
休業損害 | 交通事故を原因とした収入の減少 | 1日あたりの基礎収入 × 休業日数 基礎収入の算定にあたっては、就業先から休業損害証明書の交付を受ける必要がある |
後遺障害逸失利益 | 交通事故の後遺症によって働く能力が低下し、 将来得られるはずだった収入を失った損害 | 基礎収入額 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数 |
死亡逸失利益 | 被害者が死亡したことによって 得られなくなってしまった将来にわたる収入 | 事故前の基礎収入(年収)×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数 |
6-3. 慰謝料|入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料
慰謝料とは精神的苦痛に対する賠償をいいます。代表的な項目としては、次のとおりです。
項目 | 概要 | 注意事項・計算方法(弁護士基準) |
|---|---|---|
入通院慰謝料 | 交通事故のけがで入院・通院をしたことによる 精神的苦痛に対する慰謝料 | 入院・通院期間や実通院日数をもとに 算定される(いわゆる「赤い本」の基準表を使用) |
後遺障害慰謝料 | 後遺症が残存した場合に請求できる慰謝料 | 認定された後遺障害等級に応じて、110万円~2800万円 |
死亡慰謝料 | 交通事故によって亡くなった被害者と、 遺族に対する慰謝料 | 被害者の生前の立場(一家の支柱・母親、配偶者など)に応じて、 2000万円~2800万円 |
7. 信号無視事故の損害賠償請求における注意点
加害車側の保険会社が提示してくる示談条件は、被害者にとって不当に不利であるケースが多いです。損害項目が漏れている、適切な算定基準が用いられていない、過失割合が適正でないなどの原因が考えられます。
このように、保険会社から提示される示談条件は保険会社に有利な条件になっているケースが多いため、安易に受け入れてはいけません。しかし、法律の専門家でない限りこの金額の妥当性について適切に判断することは困難であるため、示談条件の妥当性を含めて、専門家である弁護士に相談をすることをおすすめします。
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8. 信号無視の有無が争われた場合の対処法
人間の記憶というものはとてもあいまいなもので、たとえ赤信号であったとしても、青信号であったと思い込む場合があります。また、記憶違いでなくても、自ら信号無視をしたことを認めず、信号無視をしていないと虚偽の事実を述べてくる場合もあります。これらは全て主観的なものになるため、いくらこちらが信号無視をしていないと主張しても、平行線になってしまいます。
そこで、大切になってくるのは客観的な証拠です。代表的なものはドライブレコーダーや近所の防犯カメラ映像です。近年ではドライブレコーダーを設置している車両が増えてきているので、信号無視をしたかどうかの争いについては比較的決着がつきやすい傾向にあります。
防犯カメラの映像も、弁護士から依頼があれば開示してもらえる可能性があります。ただし、防犯カメラ映像は比較的短い期間の映像しか保存されないため、早期に管理者に問い合わせ、映像を保管しておいてもらうことが望ましいといえます。
一方で、互いにドライブレコーダーがついておらず、また、近所の防犯カメラにも映像が残っていない(防犯カメラがない)場合は、他の証拠も検討する必要があります。
具体的には、事故直後に行う警察の実況見分調書や目撃者といった第三者の証言が記載されている供述証拠は、比較的客観性が高いものになるので、信号無視をしたかどうかを争うための有用な証拠になるでしょう。
また、民間の調査会社による調査記録も有用な証拠となる場合があります。どのような戦略をとるかということも含めて、一度弁護士に相談することをおすすめいたします。
9. 信号無視事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリット
示談金の算定には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「裁判所基準(弁護士基準)」の三つがあり、一般的に弁護士基準が最も高額になります。弁護士が交渉に関与することで、この弁護士基準に基づいた請求が可能となり、賠償額の増額が期待できます。
また、弁護士に依頼することで、次のようなメリットもあります。
損害賠償の請求漏れを防げる
適切な過失割合で交渉できる
示談交渉や書類対応を任せられる
さらに、弁護士費用特約が付いている場合は、費用負担なく依頼できるケースもあります。このように、適切な賠償を受けるためには、弁護士への依頼が有効な選択肢といえます。
10. 信号無視による交通事故についてよくある質問
Q. 加害者側から提示される示談金額が低過ぎるのはなぜ?どうしたらいい?
保険会社は支払額を抑えるために低めに提示する傾向があります。過失割合や損害項目に誤りがある可能性もあるため、証拠を整理し弁護士に相談することが重要です。
Q. 信号無視事故で加害者が刑事処分を受けるのはどんなケース?
信号無視が悪質で相手を負傷・死亡させた場合は、過失運転致死傷罪などに問われる可能性があります。反則金を納付しない場合も刑事処分の対象となることがあります。
11. まとめ 信号無視事故は必ずしも10対0にならないので覚えておくこと
信号無視による事故では、信号の種類や進入タイミング、当事者の行動などに応じて過失割合が決まります。赤信号無視があっても、黄信号や速度超過、歩行者との関係などによっては過失割合が修正されることがあります。
また、示談交渉では保険会社の提示が必ずしも適正とは限らないため、内容を慎重に確認することが重要です。適切な賠償を受けるためには、証拠の収集や法的根拠に基づく主張を行い、必要に応じて弁護士へ相談することが有効です。
(記事は2026年8月1日時点の情報に基づいています)
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