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1. 【事故直後】電動キックボード事故に遭ったときの対応の流れ
電動キックボードが関与する交通事故が発生したら、被害者・加害者を問わず、次の対応を速やかに行ってください。
1-1. 安全確保と警察官への連絡(110番)
まずは道路上の安全を確保することが大切です。可能な範囲で車両やキックボードを安全な場所に移動し、後続車による二次被害を防ぎましょう。
相手方が負傷している場合は、救護する必要があります。安全な場所に移動して応急措置をする、119番に連絡して救急車を呼ぶなどの対応を行いましょう。
事故が発生したことやその状況については、速やかに警察官へ報告しましょう。110番へ連絡して、警察官に事故現場へ来てもらいます。警察官への報告は道路交通法によって義務付けられているほか、後に交通事故証明書の発行を受けるために必須となるため、事故直後の段階で速やかに行ってください。
1-2. 相手方の情報の確認
身分証明書を見せ合うなどして、事故の相手方について次の情報などを確認しておきましょう。損害賠償請求などの際に必要となります。
氏名
住所
連絡先
車両のナンバー
加入している保険の保険会社
1-3. 事故状況の記録
事故現場や損傷した車両、けがの状況を撮影するなどして、事故の状況をできる限り記録しておきましょう。相手方との間で争いが生じたときや、警察に対して説明する際などに役立つことがあります。
ドライブレコーダーやスマートフォンの録画記録などがあれば、その映像を消えないうちに保存しておきましょう。目撃者がいれば、証言を依頼して連絡先を聞いておくのが望ましいです。
1-4. 医療機関の受診
けがの自覚症状があるか否かにかかわらず、速やかに医療機関を受診しましょう。気づかないところでけがをしている可能性があるため、自覚症状がなくても受診すべきです。
事故直後の段階から診察や治療を受けることで、けがの完治や改善が期待できるとともに、事故とけがとの因果関係を明確にするうえでも重要です。
1-5. 自分の保険会社への連絡
自動車保険や個人賠償責任保険などに加入している場合は、契約している保険会社へ連絡しましょう。事故後の対応の流れや、利用できる保険の有無について案内を受けられます。
任意保険には「弁護士費用特約」が付いていることがあります。損害賠償請求について弁護士に依頼する際、弁護士費用が300万円程度まで補償されるものです。自己負担を大幅に抑えることができるので、弁護士費用特約が使えるかどうかもこの段階で確認しておきましょう。
2. 【事故翌日以降】電動キックボード事故の被害者がとるべき対応
電動キックボードに衝突されてけがをしたときは、次の流れで治療や損害賠償請求の手続きを進めましょう。
2-1. 通院の継続
医師の指示に従い、完治または症状固定の診断を受けるまで治療を続けます。通院の頻度についても、医師の指示に従ってください。自分だけの判断で、途中で通院をやめてはいけません。
適切な治療を続けることが、けがの改善や適正な損害賠償を受けることにつながります。
2-2. 完治または症状固定の診断
症状が完全に回復した場合は「完治」、これ以上治療を続けても大幅な改善が見込めない場合は「症状固定」と診断されます。
症状固定の診断を受けた場合は、医師に後遺障害診断書を発行してもらいましょう。後遺障害等級認定を申請する際の重要な資料となります。
2-3. 後遺障害等級認定の申請
後遺症が残った場合は、後遺障害等級の認定を申請しましょう。認定される後遺障害等級に応じて、後遺障害慰謝料や逸失利益の損害賠償を請求できます。
加害者(電動キックボードの運転者)が任意保険に加入している場合は、その保険会社に申請を任せる「事前認定」という方法もあります。事前認定は手間がかからないのがメリットですが、どのように申請が行われているのかが見えにくいのが難点です。
より主体的に申請資料を準備したい場合は、被害者が自ら申請を行う「被害者請求」を選択しましょう。被害者請求は手間がかかりますが、弁護士に依頼すると手続きを代行してもらえます。
2-4. 示談交渉
後遺症がない場合は完治の診断を受けた後、後遺症がある場合は後遺障害等級の認定を受けた後で、加害者側との示談交渉を始めます。加害者が任意保険に加入していない場合は加害者本人、任意保険に加入している場合はその保険会社との間で示談交渉を行います。
示談交渉では、事故による損害を漏れなく把握したうえで、適切な基準および過失割合によって計算した額を請求することが重要です。相手方から提示された金額についても法的な観点から検証し、低すぎる場合は増額を求めましょう。
また、電動キックボード事故では、加害者が任意保険に加入していないケースもあります。その場合は、加害者本人に対して直接損害賠償を請求することになります。
2-5. ADR・訴訟
示談交渉がまとまらないときは、ADR(裁判外紛争解決手続)や訴訟によって解決を図ります。ADRは、交通事故紛争処理センターなどの中立的な第三者機関が関与する紛争解決手続きであり、訴訟は裁判所が取り扱う紛争解決手続きです。
ADRや訴訟では、事故状況や損害額を裏付ける証拠を提出し、自らの主張の正当性を説明することが求められます。弁護士と協力して、十分な準備を整えたうえでADRや訴訟に臨みましょう。
2-6. 賠償金の受け取り
示談交渉・ADR・訴訟の結果に従い、加害者側から賠償金の支払いを受けます。保険会社からは、示談成立後や手続き完了後、数日~1カ月程度で賠償金が支払われるのが一般的です。
3. 電動キックボードの事故は増加傾向
警察庁の統計によると、電動キックボードによる事故は近年増加傾向にあります。特に電動キックボードと人が接触する事故の割合が高くなっています。
3-1. 令和5年度から令和6年度で事故件数は約2倍|9割がレンタル利用
多くの電動キックボードが該当する「特定小型原動機付自転車」に関連する交通事故の件数は、令和6年の合計数で338件でした。
特定小型原動機付自転車の区分は令和5年7月から施行されたところ、令和5年7月から12月までの事故件数は85件でした。1年間に直すと170件であるところ、令和6年の338件はほぼ2倍に相当します。
338件中、レンタル(シェアリングを含む)での利用が304件(90%)を占めています。電動キックボードはレンタル利用が大多数を占めているところ、そのことが事故件数にも反映されています。
なお、令和7年の事故件数は386件で、令和6年よりもさらに増加しました。
3-2. 電動キックボードと人が接触する事故の割合が高い
令和7年に発生した電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車が関係する交通事故の中では、車両相互の事故が243件(63.0%)、車両単独の事故が87件(22.5%)、人対車両の事故が56件(14.5%)を占めています。
人対車両の事故の割合は14.5%と少ないようですが、これは自転車の人対車両事故の割合と比べると約3倍となっています。電動キックボードについては、特に歩行者との接触事故が発生するリスクが高いことが見て取れます。
3-3. 電動キックボードによる事故が増加している理由
電動キックボードによる事故が増加していることの一因は、普及率が向上したためであると考えられます。特にここ数年で、民間業者のレンタル事業への参入や、道路交通法の規制緩和などの影響により、電動キックボードに乗る人を目にする機会が増えました。
普及率が向上する一方で、電動キックボードの危険な運転に関する指摘も見られます。
道路交通法上、多くの電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に分類されますが、この分類が施行されたのは令和5年(2023年)7月と比較的最近です。電動キックボードの利用者のうち、新たに設けられた交通ルールの理解が十分でない人もいると考えられ、そのことが事故増加の一因となっている可能性があります。
4. 電動キックボードによる事故のよくある事例
電動キックボードが関係する交通事故の主なパターンとしては、次の3つが挙げられます。
4-1. 歩行者との接触事故
電動キックボードは、時速6km以下の速度しか出ない歩道モードに設定するなどの条件を満たす場合に、歩道を通行することが認められています。しかしこのルールを無視して、電動キックボードを歩道モードに設定せず高速度で歩道を通行した結果、歩行者と接触する事故が発生しています。
また、歩行者が車道を横断しようとした際、車道を走行してきた電動キックボードと衝突する事故も発生しています。
4-2. 車道における自動車や自転車との接触事故
自転車道・路側帯・歩道を通行できる場合を除き、電動キックボードは車道を通行することになります。
車道では、電動キックボードは左側端によって通行しなければなりません。しかし、レンタルの利用者は運転操作に不慣れな場合が多いため、電動キックボードの運転中にふらついてしまうケースや、後方確認をしないまま車線側へ飛び出してしまうケースもあります。このような場合には、後方から来た自動車に追突されるおそれがあるので要注意です。
そのほか、自動車が左折する際に電動キックボードを巻き込んでしまう事故も発生しています。
4-3. 転倒による自損事故
電動キックボードについては、転倒による自損事故(単独事故)も比較的多く発生しています。
転倒による自損事故の原因は多くの場合、電動キックボードの運転操作を誤ったことです。その原因としては、レンタルの利用者をはじめとして運転操作に不慣れな人が多いことや、タイヤが小さく路面の影響を受けやすいことなどが挙げられます。
また、飲酒運転や「ながらスマホ」なども、転倒による自損事故のリスクを高める危険な行為です。
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5. 道路交通法上の電動キックボードの種類(区分)と適用される交通ルールの違い
電動キックボードは、道路交通法上「一般原動機付自転車」または「特定小型原動機付自転車」のいずれかに分類されます。どちらに該当するかによって、適用される交通ルールが異なります。
5-1. 電動キックボードの種類(区分)|特定小型原動機付自転車と一般原動機付自転車
電動キックボードは「原動機付自転車」に該当します。そのうち、次の要件をすべて満たすものは「特定小型原動機付自転車」に当たります。
車体の長さが190cm以下、幅が60cm以下であること
原動機として、定格出力が0.60kW以下の電動機を用いること
時速20kmを超える速度を出せないこと
走行中に最高速度の設定を変更できないこと
オートマチック・トランスミッション(AT)機構がとられていること
最高速度表示灯が備えられていること
これらの要件を一つでも満たしていない電動キックボードは「一般原動機付自転車」に分類されます。特定小型原動機付自転車と一般原動機付自転車では、適用される交通ルールが異なります。主な違いは次のとおりです。
特定小型原動機付自転車 | 一般原動機付自転車 | |
|---|---|---|
運転免許 | 不要 | 必要 |
ヘルメットの着用 | 努力義務 | 義務 |
通行区分 | 車道、自転車道、路側帯 ※一定の条件を満たす場合は、 歩道も通行可 | 車道 ※一部の例外を除き、 自転車道・路側帯・歩道の通行は不可 |
後写鏡・消音器・速度計 | 不要 | 必要 |
特定小型原動機付自転車 講習制度 | 3年以内に2回以上の 違反・事故を行った場合に受講義務あり | 適用なし |
5-2. 違い①|運転免許の要否
特定小型原動機付自転車に当たる電動キックボードは、16歳以上であれば運転免許を要せずに運転できます。なお、16歳未満の人は運転できません。
これに対し、一般原動機付自転車に当たる電動キックボードを運転するためには、普通免許や原付免許などの運転免許を受ける必要があります。
5-3. 違い②|ヘルメット着用義務の有無
特定小型原動機付自転車に当たる電動キックボードの運転時には、ヘルメットの着用が努力義務とされています。安全の観点から着用することが望ましいですが、着用しなくても違法ではありません。
これに対し、一般原動機付自転車に当たる電動キックボードの運転時には、乗車用ヘルメットを着用しなければなりません。
5-4. 違い③|通行区分
特定小型原動機付自転車に当たる電動キックボードは、車道のほか、自転車道および道路の左側に設けられた路側帯(歩行者用路側帯を除く)も通行できます。また、時速6km以下の歩道モードに設定するなどの条件を満たせば、「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識等が設置された歩道も通行可能です。
これに対し、一般原動機付自転車に当たる電動キックボードは、基本的に車道を通行する必要があります。一部の例外を除き、自転車道・路側帯・歩道の通行は認められません。
5-5. 違い④|後写鏡・消音器・速度計
特定小型原動機付自転車に当たる電動キックボードは、一般原動機付自転車と異なる保安基準が適用されるため、後写鏡(バックミラー)・消音器・速度計の設置が不要とされています。
これに対し、一般原動機付自転車に当たる電動キックボードには、保安基準を満たす後写鏡・消音器・速度計を備える必要があります。
5-6. 違い⑤|特定小型原動機付自転車運転者講習制度
特定小型原動機付自転車に当たる電動キックボードの乗車中に、信号無視などの危険行為(17種別)を行い、警察の取り締まりを受けるかまたは交通事故を起こした場合は「特定小型原動機付自転車運転者講習」の受講を義務付けられることがあります。
受講義務の対象となるのは、3年以内に2回以上、危険行為によって警察の取り締まりを受けるか、または交通事故を起こした場合です。
これに対し、一般原動機付自転車に当たる電動キックボードについては、交通違反時には運転免許の違反点数の加算が行われ、一定以上累積すると免許停止または免許取消しとなります。
5-7. 自賠責保険への加入やナンバープレートの装着は、電動キックボードの種類を問わず必要
電動キックボードが特定小型原動機付自転車と一般原動機付自転車のどちらに当たる場合でも、自賠責保険には加入しなければなりません。また、どちらもナンバープレートを取得し、車体に表示する必要があります。
6. 電動キックボードの事故について、被害者が請求できる主な賠償金
電動キックボードに衝突された被害者は、加害者側に対して次に挙げる賠償金などを請求できます。
6-1. 治療関係費
事故によるけがの治療に要した次の費用などを請求できます。請求できる金額は、原則として実費相当額です。
治療費(医療費、薬剤費)
装具、器具の購入費
通院交通費
入院雑費
6-2. 付添費用
入院や通院などの際に付き添いが必要となった場合は、付添費用を請求できます。近親者が付き添った場合には、その間付き添った人が働けなくなったことによる損害に相当する費用を請求できることがあります。職業付添人に依頼した場合は、原則としてその実費を請求できます。
6-3. 休業損害
事故によるけがの影響で仕事を休んだ場合は、そのために得られなかった収入に相当する休業損害を請求できます。
専業主婦や専業主夫でも、賃金センサスの平均値に基づいて休業損害を請求できます。学生の場合でも、アルバイト収入が減少した、就職の時期が遅れたなどの事情があれば、休業損害を請求できることがあります。
6-4. 逸失利益
後遺症が残った場合は、収入額や労働能力が失われた割合・期間に応じた逸失利益を請求できます。
逸失利益の金額は、後遺障害等級に加え、被害者の年齢や収入などによって大きく変わります。重篤な後遺症が残った場合は、逸失利益が数千万円~1億円以上となることもあります。
6-5. 入通院慰謝料
事故によるけがを治療するため、入院や通院をした場合に請求できる精神的損害の賠償金です。入院や通院の期間に応じて金額が決まります。
6-6. 後遺障害慰謝料
後遺症が残った場合は、それに伴う身体的・精神的損害の賠償金として、後遺障害慰謝料を請求できます。後遺障害慰謝料の目安額は、後遺障害等級によって異なります。弁護士基準では、14級で110万円、1級で2800万円程度となります。
6-7. 物的損害(物損)
電動キックボードに衝突されたことにより、自分の所有物に関して生じた損害(物的損害)についても、加害者側に対して賠償を請求できます。物的損害としては、次の例などが挙げられます。
自動車や自転車の修理費、買い替えが相当な場合の買替費用
積荷や装飾品などの修理費、再調達費用
自動車の評価損
レッカー代、保管代
7. 電動キックボードの死亡事故|遺族が請求できる賠償金は?
特定小型原動機付自転車が関係する交通事故の中には、少数ながら死亡事故も含まれています(令和6年と令和7年に各1件)。
電動キックボードとの衝突事故によって被害者が亡くなった場合、遺族が損害賠償請求権を相続します。遺族は加害者側に対し、亡くなった被害者が受けた損害の賠償を請求できます。特に高額となりやすいのは、死亡による逸失利益と死亡慰謝料です。
逸失利益の額は、被害者が亡くなった時点の収入額や年齢によって決まります。特に若くして亡くなった場合は、数千万円~1億円以上となるケースも少なくありません。
死亡慰謝料の目安額は、亡くなった被害者の家庭内における立場によって決まります。弁護士基準では、一家の支柱であれば2800万円、母親や配偶者であれば2500万円、その他の場合は2000万円~2500万円程度が目安とされています。
きわめて高額の損害賠償が想定されるため、早い段階で弁護士に相談してください。
8. 電動キックボードの運転中に事故を起こした加害者がとるべき対応は?
電動キックボードを運転していて交通事故を起こしてしまったら、本記事冒頭の「1. 【事故直後】電動キックボード事故に遭ったときの対応の流れ」で解説したように、道路上の安全の確保や相手方の救護、警察官への報告などを速やかに行いましょう。
事故の責任から逃れたいあまり、その場から逃げてはいけません。ひき逃げをすると、重い刑事責任を問われるおそれがあります。具体的には、過失運転致死傷罪に加え、道路交通法上の救護義務違反・報告義務違反などが問題となる可能性があります。
事故後に救護や警察への報告を適切に行ったとしても、事故態様や被害の程度、過失の内容によっては、刑事責任を問われる可能性があります。もっとも、ひき逃げや飲酒運転、信号無視などの悪質な事情がない場合には、事故後の対応や示談の成立状況などが処分判断で考慮されることもあります。
被害者に対する損害賠償も、任意保険に加入していれば保険会社に任せられる場合があります。動揺する気持ちを抑えて、冷静な対応に努めてください。
任意保険に加入していない場合や、どのように対応すべきかわからない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
9. 電動キックボードの事故について使える保険の主な種類
電動キックボードに衝突された場合は、けがや物損などの損害につき、まず保険から補償を受けられるかを確認しましょう。電動キックボードの事故について使える保険の主な種類は、次のとおりです。
9-1. 自賠責保険
電動キックボードを運行の用に供する者には、自賠責保険への加入が義務付けられています。
電動キックボードの大半を占めているレンタルサービスについては、事業者が自賠責保険を付保しているのが通常です。運転者が自ら所有している電動キックボードについても、自賠責保険が付保されているケースが多いと考えられます。
自賠責保険からは、事故による人身損害(けが・後遺症・死亡による損害)について最低限の補償を受けることができます。物的損害は自賠責保険の補償対象外です。
9-2. 加害者側が加入している任意保険
自賠責保険では補償されない損害賠償責任をカバーするため、電動キックボードに任意保険が付保されていることもあります。レンタルサービスについては、対人・対物無制限の任意保険が付保されているケースが多いです。
任意保険では、人身損害に加えて物的損害も補償されます。ただし、補償の有無や範囲は契約内容によって異なるため、加害者側の保険会社に確認する必要があります。
9-3. 自分が加入している任意保険|弁護士費用特約の有無を要確認
自分が加入している任意保険からも、電動キックボードとの衝突事故について補償を受けられることがあります。たとえば、人身傷害保険・搭乗者傷害保険が付いていれば人身損害、車両保険が付いていれば車両の損傷による損害について補償を受けられます。
また、弁護士費用特約が付いているかどうかも確認しましょう。弁護士費用特約を利用すれば、一般的に300万円程度までの弁護士費用が補償されるので、弁護士に依頼する際の自己負担を抑えられます。
弁護士費用特約は、任意保険(自動車保険)のほか、火災保険やクレジットカードの保険などにも付いていることがあります。家族が加入している保険の弁護士費用特約も使える場合があるので、保険会社に問い合わせてみましょう。
10. 電動キックボード事故の過失割合の考え方
電動キックボードとの衝突事故について、加害者側に請求できる損害賠償の金額は、当事者双方の過失割合に応じて変化します。過失割合は、事故の客観的な状況を反映した基本過失割合と修正要素によって決まります。
10-1. 過失割合とは
「過失割合」とは、交通事故の当事者間で、どちらにどれだけの責任があるかを示した割合をいいます。
たとえばどちらか一方が全責任を負う場合は、過失割合は「10対0」です。両方に責任がある場合は、その割合に応じて「9対1」「8対2」「7対3」「6対4」などとなります。また、過失割合をパーセンテージで表示するケースもあります(100%、90%など)。
交通事故の賠償金額は、過失割合によって調整されます(=過失相殺)。たとえば、交通事故によって100万円の損害を受けたとしても、自分に2割の過失がある場合は、賠償金が2割減額されて80万円となってしまいます。
10-2. 基本過失割合と修正要素
過失割合は、交通事故の客観的な状況によって決まります。事故の類型に応じた「基本過失割合」をベースとして、個別具体的な事情による「修正要素」を考慮して過失割合を決定します。
電動キックボードが関係する事故については、現時点では自転車の過失割合に関する裁判例や実務上の考え方を参考に判断されることが多いと考えられます。
そのため、電動キックボードは、自動車や二輪車(バイク)との関係では比較的弱い立場として過失が小さく評価される一方、歩行者との関係ではより重い注意義務が求められる傾向があります。
たとえば、横断歩道や交差点が近くにない道路を歩行者が横断しようとした際、横から走ってきた電動キックボードに衝突されたとします。この場合、基本過失割合は歩行者側が20%、電動キックボード側が80%です。
ただし、歩行者が急に飛び出した場合は、修正要素として歩行者側の過失が5%程度加算されます。その結果、最終的な過失割合は歩行者側が25%、電動キックボード側が75%となります。
10-3. 提示された過失割合が不適切である場合の対処法
相手方の保険会社は、事故状況の評価について見解が分かれることがあり、被害者側から見ると不適切と思われる過失割合を提示してくるケースもあります。その場合は、証拠に基づいて反論することが大切です。ドライブレコーダーの映像や警察官の作成する実況見分調書などが役立ちます。
保険会社が不適切な過失割合の主張を崩さない場合は、弁護士に相談してください。
11. 【ケース別】こんなときどうする?困難な状況の解決策
電動キックボードとの衝突事故においては、次のような状況がしばしば発生します。ケース別の対応策を確認しておきましょう。
11-1. 相手がひき逃げ・当て逃げをした
相手方が事故現場から逃げてしまった場合は、速やかに警察官へ報告しましょう。相手方を特定するための捜査を行ってもらえます。相手方が特定できれば、損害賠償請求や刑事告訴を行うことができます。
11-2. 相手が無保険だった
相手方が任意保険にも自賠責保険にも加入していなかった場合は、相手方本人に対して損害賠償を請求します。
ただし、相手方がお金を持っていなければ賠償金を回収できません。その場合は、政府保障事業の利用を検討してください。政府保障事業を利用すれば、自賠責保険の補償範囲内で人身損害について補償を受けられる可能性があります。また、自分が加入している保険から補償を受けることも考えられます。任意保険などの補償内容を確認しましょう。
11-3. 加害者がシェアサービス(LUUPなど)を利用していた
加害者が運転していた電動キックボードがシェアサービス(レンタル)であった場合は、そのサービスの運営会社が加入している保険が適用される可能性があります。タイミングを見て運営会社に問い合わせ、保険会社につないでもらいましょう。
ただし、保険会社との示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。
11-4. 加害者が未成年者・外国人だった
電動キックボードは、未成年者(16歳・17歳)や外国人が利用しているケースもよく見られます。
事故の加害者が未成年者だった場合、本人はお金を持っていないケースが多いです。この場合、親に対して請求できるかどうかが問題となりますが、16歳や17歳であっても、親権者等の監督義務者に責任が認められる余地はあります。ただし、個別の事情によって判断が分かれるため、親に対して請求できるかどうかは事案ごとの検討が必要です。
弁護士に相談しながら、どうすれば損害賠償や補償を受けられるかをよく検討したうえで対応しましょう。
事故の加害者が外国人だった場合も、事故現場が日本国内であれば、日本の裁判所の審理を受けることができます。ただし、加害者が外国在住である場合や、外国にしか資産を持っていない場合は、実際に賠償金を回収する方法が問題となります。迅速な対応が求められるので、すぐに弁護士へ相談してください。
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12. 電動キックボードの事故について、弁護士に相談すべき理由
電動キックボードによる事故はまだ前例が少ないため、適正額の損害賠償を得るためには慎重な法的検討が必要不可欠です。弁護士に相談してサポートを受けることをおすすめします。
弁護士は、被害者が受けた損害を漏れなく把握したうえで、被害者に有利な「弁護士基準」に基づき、適正額の損害賠償を請求します。加害者側の保険会社の主張に対しても適切に反論してもらえるため、賠償金の増額が期待できます。
損害賠償請求に伴う示談交渉・ADR(裁判外紛争解決手続)・訴訟などの手続きも、弁護士に依頼すれば一任できるので安心です。状況に応じて適切に対応してもらえることに加えて、労力やストレスも大幅に軽減されます。
電動キックボードに衝突される事故に遭ったら、早い段階で弁護士に相談してください。
13. 電動キックボードの事故についてよくある質問
Q. 歩道を歩いている際、電動キックボードにはねられました。自分にも過失があると言われたが、正しい?
電動キックボードが歩道を通行する際には、原則として歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、また歩行者の通行を妨げそうなときは一時停止しなければなりません。
そのため、歩道上で歩行者と衝突した場合は、電動キックボード側に大きな過失が認められるケースが少なくありません。もっとも、歩行者側にも急な進路変更や飛び出しなどがあった場合には、一定の過失が認められる可能性もあります。
Q. 電動キックボードの事故は判例が少ないと聞きました。示談交渉で不利になることはある?
裁判例が少なくとも、自転車事故に適用される過失割合などを踏まえつつ、事故状況を客観的に分析して対応すれば、示談交渉を適切に進めることができます。
電動キックボード特有の事情が問題となるケースもありますが、交通事故に関する基本的な考え方は既存の裁判例や実務に基づいて判断されます。被害者が自力で対応するのは難しいので、弁護士に相談するのが安心です。
Q. 電動キックボードと接触した後、相手方が「シェアサービスの保険で全部解決するから示談書にサインしてほしい」と急かしてきます。応じていい?
事故現場で示談に応じてはいけません。示談をするのは、けがの治療が完了してからです。その場での示談は拒否し、持ち帰って弁護士に相談してください。
14. まとめ 電動キックボード事故に遭ったら早めに弁護士へ相談を
電動キックボードが関係する事故は近年増加傾向にあり、自動車の運転者や歩行者はいつ巻き込まれてもおかしくありません。
電動キックボード事故の損害賠償請求を成功させるためには、事故の客観的な状況の分析、漏れのない損害の把握、適切な方針を立てたうえでの示談交渉などが必要不可欠です。弁護士のサポートを受けながら、適正額の賠償金の獲得を目指しましょう。
(記事は2026年9月1日時点の情報に基づいています)
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