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交通事故の慰謝料はいつもらえる? 最短で獲得する方法を解説

更新日: / 公開日:
交通事故の慰謝料は、どのタイミングでもらえるのでしょうか(c)Getty Images
交通事故の被害者になった場合、加害者に対して慰謝料を請求できます。慰謝料をめぐる示談交渉は、治療がすべて完了したあとに開始されます。実際に慰謝料が支払われるまでの期間は、けがの状況次第ですが、事故の発生から短くて数カ月、長くなると1年以上かかります。 後遺障害が残った場合には、後遺障害等級認定を申請し、等級を認定されたうえでの示談交渉になります。交渉が決裂した場合は、第三者が間に入るADR(裁判外紛争解決手続)や、裁判所を通じた訴訟に移ります。被害者当人が加害者側と示談交渉を行うと、感情的になりやすいだけではなく、手続きも煩雑で大きな負担となりがちです。そのため、弁護士への相談や依頼をお勧めします。 交通事故における慰謝料の具体的内容や算定方法、支払いまでの流れ、注意事項などについて、多くの交通事故事案の解決に携わってきた弁護士が具体的に解説します。

目 次

1. 交通事故の慰謝料などの賠償金額はいつもらえる?

2. 【状況別】事故発生から慰謝料支払いまでの期間の目安

2-1. 軽傷や後遺障害なしの場合|2カ月から3カ月程度

2-2. 重傷で後遺障害なしの場合|6カ月~1年以上

2-3. 後遺障害ありの場合|6カ月~1年半以上

2-4. 死亡した場合|6カ月~2年以上

3. 【手続段階別】事故発生から慰謝料支払いまでの流れと段階ごとの所要期間

3-1. 事故直後の対応|警察官への報告など

3-2. けがの治療|1カ月~1年以上

3-3. 後遺障害等級認定|1カ月~2カ月程度

3-4. 示談交渉|1カ月~6カ月程度

3-5. ADR|2カ月~4カ月程度

3-6. 訴訟|6カ月~2年程度

3-7. 慰謝料などの賠償金額の支払い|確定後1カ月以内

4. なぜ? 交通事故の示談成立に時間がかかる原因

5. 交通事故の治療費も、示談が終わるまで払われない?

6. 最短で交通事故の慰謝料を受け取るためには?

6-1. 内払いや仮渡金を申請する

6-2. 自賠責保険の被害者請求を行う

6-3. 弁護士に依頼する

6-4. 【重要】焦って合意するのはNG

7. 交通事故の被害者が弁護士に依頼するメリット

7-1. 示談交渉などの対応を一任でき、労力やストレスが軽減される

7-2. 適正な後遺障害等級の認定を受けやすくなる

7-3. 弁護士基準で損害賠償を請求できる

7-4. 弁護士費用特約を使えば費用負担がゼロになる

8. 交通事故の慰謝料はいつもらえるのかに関してよくある質問

9. まとめ 交通事故の慰謝料をなるべく早く受け取りたい場合は弁護士に相談を

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1. 交通事故の慰謝料などの賠償金額はいつもらえる?

事故に遭ってから慰謝料などの賠償金がもらえるのは、けがの状況次第ですが、短くて数カ月、長くなると1年以上かかります

段階ごとの所要時間の目安は下記のとおりです。

慰謝料支払いまでの流れと段階ごとの所要期間を図解。入院と通院の合計で1年以上かかるケースも珍しくない
慰謝料支払いまでの流れと段階ごとの所要期間を図解。入院と通院の合計で1年以上かかるケースも珍しくない

慰謝料の示談交渉は、治療が終了したあとに開始されます。慰謝料の額は、治療にかかった入通院期間や日数に応じて算定されるためです。治療は軽傷であれば1カ月程度で終わりますが、1年以上かかるケースもあります。

治療が終了したら、示談交渉を開始します。示談交渉にかかる期間は1カ月から6カ月程度が一般的です。示談が不成立となった場合は、民事調停やADR(裁判外紛争解決手続)など、第三者を入れた合意交渉に移行するか、これらを経ずに民事訴訟を提起します。ADRとは、裁判手続きではなく、中立な立場の第三者(弁護士)が被害者側と加害者側の間に入って、解決案を示す手続きのことを言います。ADRには2カ月から4カ月程度、訴訟には6カ月から2年程度の時間がかかります。

いずれかの手続きによって賠償金額が決まったあとに、加害者または加害者が加入している保険会社から確定後1カ月以内に振込が行われるのが基本的な流れです。

こうした通常の流れ以外にも、1カ月から2カ月程度かかる後遺障害等級認定の手続きが必要な場合や、一部の支払いを先に受けたい場合、賠償金額が決まっても加害者が支払わない場合、加害者側が任意保険に加入していない場合など、さまざまなケースが考えられます。

交通事故の慰謝料などの賠償金額をいつ受け取れるかは一概に言えませんが、状況別や手続き段階別に整理すれば、おおよその時期がつかめるはずです。

また、多くの人にとって交通事故は初めての経験でしょう。保険会社からの説明で誤解しやすい点や、提示される慰謝料額の裏側などを理解しておくことも重要です。

2. 【状況別】事故発生から慰謝料支払いまでの期間の目安

事故発生から慰謝料支払いまでの期間の目安について、状況別に解説します。

2-1. 軽傷や後遺障害なしの場合|2カ月から3カ月程度

ひとくちに「軽傷」と言っても、その程度はさまざまです。実際には、1カ月程度の短期間で自覚症状を含む痛みが治まり、完治と診断されて治療が終了し、示談交渉に移行するケースもあります。

このような場合は示談交渉の開始も早く、賠償金額も少額となるため、示談交渉はスムーズに進む可能性が高いでしょう。その結果、交通事故の発生から慰謝料の支払いまで、おおよそ2カ月から3カ月で完了します。

ただし、自覚症状を含む痛みが残っている場合は、自身の判断で勝手に治療を終了せず、主治医や弁護士と相談して今後の方針を決めるようにしましょう。勝手に治療をやめると、事故とけがの因果関係が認められなくなる場合があります

なお、警察署に提出する診断書に記載された「加療」や「全治」の期間はあくまで目安であり、実際に治療を開始してから完了するまでの「治療期間」とは無関係であるため注意が必要です。警察署に提出する診断書に「加療14日」と記載されていたにもかかわらず、実際には6カ月以上の治療が必要となった例もあります。

2-2. 重傷で後遺障害なしの場合|6カ月~1年以上

レントゲン画像で骨折などの異常が発見された場合、頭部への強い外傷など慎重な経過観察が必要な場合、難病など治療終了の判断が容易ではない場合などには、治療に必要な期間が長くなる傾向があります。

そのため、治療終了時に後遺障害がない場合でも、事故発生から慰謝料の支払いまでに、6カ月から1年以上かかる可能性があります。

2-3. 後遺障害ありの場合|6カ月~1年半以上

重傷の場合は、最後まで完治せず、症状が残る可能性もあります。

症状が残っている場合には、診断名や症状、治療内容の経過などを考慮して、どこかの時点で交通事故による治療の終了を判断します。これを「症状固定」と呼びます。「症状固定」とは、治療を続けてもこれ以上の回復や改善が見込めない状態を指し、完治を意味するものではありません。

また、症状固定の判断は主治医が行うものであり、保険会社がするものではありません。治療途中で保険会社から「治療費支払いの打ち切り」をもちかけられるケースもありますが、自覚症状が残っている場合はそれには応じず、主治医や弁護士に相談したうえで指示に従ってください

症状固定までの治療期間は、重傷の場合、6カ月から1年以上かかる場合もあります。このような場合は示談交渉の開始も遅れ、賠償金額も高額となるため、示談交渉が難航するケースも少なくありません。

症状固定と判断された場合には、後遺障害等級認定の申請ができます。後遺障害には、痛みやしびれに限らず、可動域が狭くなった、頭部へのダメージによって人格が変化するなどの「高次脳機能障害」、顔などに跡が残った、といった症状も含まれます。後遺障害等級認定の申請開始から認定までには、おおむね1カ月から2カ月を要します。

後遺障害等級は、将来的に回復が見込めない症状が残った場合に認定されます。そのため、申請にあたっては医学的に必要とされる治療を十分に行う必要があり、多くの場合、治療期間は長期間に及びます。

筆者の弁護士としての経験上、後遺障害等級認定の申請手続きと並行して、保険会社が後遺障害を除く部分に限って示談交渉に応じる場合もあります。しかし、保険会社が交渉に応じない場合は、後遺障害等級認定の申請手続に要する期間分、示談交渉の開始が遅くなります。

2-4. 死亡した場合|6カ月~2年以上

被害者が死亡した場合、示談交渉自体は早く開始されます。しかし、慰謝料を含む賠償金の総額が高額になることが多く、示談交渉が難航しやすいため、訴訟に発展するケースも多いです。

そのため、一般的には事故発生から慰謝料支払いまで、6カ月から2年以上かかります。

3. 【手続段階別】事故発生から慰謝料支払いまでの流れと段階ごとの所要期間

実際に事故が発生してから慰謝料の支払いが行われるまでの流れと、段階ごとにどのぐらいの時間がかかるのかを解説します。

事故にあってから、損害賠償を受け取るまでの流れを図解
事故にあってから、損害賠償を受け取るまでの流れを図解

3-1. 事故直後の対応|警察官への報告など

事故車両の運転者などは法律上、次の義務を負っています。

  1. 負傷者がいる場合、救急車を呼ぶなどの救護措置

  2. ハザードランプを点灯させる、発煙筒をたくなど、道路の危険防止措置

  3. 警察に対し、交通事故の発生及び内容を報告

交通事故に遭ったら、加害者の連絡先をメモなどに記録し、ドライブレコーダーの搭載状況を確認しましょう。また、事故現場全体、けがの状況、車両の損傷状況などを把握し、可能であればスマホのカメラなどで撮影してください。さらに、加入している保険会社への連絡も速やかに行う必要があります。

緊急搬送された場合は、病院でX線検査が行われます。ただし、X線検査は主に骨の状態を確認するための検査であるため、臓器や関節の状態、神経の圧迫状況などを確認できるMRI検査も受けたほうがよいでしょう。

3-2. けがの治療|1カ月~1年以上

軽傷の場合、症状が完治すれば治療終了です。重傷で症状が残っている場合は、いずれかの時点で症状固定の判断がされます。

たとえば、実務的に多いむち打ちの場合、痛みやしびれなどの自覚症状が残っていると、3カ月から6カ月くらいで症状固定と判断されるケースが多いです。一方、頭部外傷や骨折、難病などの場合には、入院と通院の合計で1年以上かかるケースも珍しくありません。

3-3. 後遺障害等級認定|1カ月~2カ月程度

後遺障害等級認定の申請にあたり、主治医に後遺障害診断書を作成してもらいます。即日で発行されるケースは少なく、通常は2週間から1カ月ほどかかります

後遺障害等級認定の申請方法には、加害者側の保険会社を通じて行う「事前認定」と、被害者が直接行う「被害者請求」の2通りがあります。

弁護士に依頼した場合は、被害者請求で進められるケースが多いです。意見書や所定外の証拠も適宜提出できるからです。

認定結果が出るまでには、申請後、1カ月から2カ月程度かかります。なお、認定結果に不服があり、異議申立てをした場合は、さらに2カ月から3カ月程度の審理期間がかかります。

3-4. 示談交渉|1カ月~6カ月程度

示談交渉に要する期間は、加害者側と被害者側で意見が異なる「争点」の多さ、内容の複雑さや難易度などによって異なります。

特に争点がない場合、後遺障害等級に関する算定基準のなかで最も高額とされる弁護士基準(裁判所基準)で請求し、希望どおりの金額が認められるケースもあります。そのような場合、交渉は1カ月ほどで完了します。ただし、争点がある場合には、内容によっては6カ月程度かかるケースもあります。

3-5. ADR|2カ月~4カ月程度

ADR(裁判外紛争解決手続)とは、中立的な第三者を交えた話し合いの場です。交通事故のADRには複数の種類があり、無料のものも有料のものもあります。「3カ月以内」など、あらかじめ期間が決められている手続きもあるため、早期解決につながりやすい点が特徴です。また、利用できる条件もさまざまなので、詳細は弁護士への相談をお勧めします。

ADRでは、事案によって1カ月未満から2カ月程度の準備を要し、申立てから1カ月から4カ月ほどで解決に導かれるケースが一般的です。

3-6. 訴訟|6カ月~2年程度

示談交渉で解決せず訴訟になった場合、最初の期日は訴状提出から2カ月ほどで開かれます。その後は、1カ月から1カ月半ごとにお互いが主張や証拠を出し合い、争点を整理していきます。

通常は、途中で裁判所から和解が勧められます。和解できない場合には、尋問が行われるケースもあります。尋問が行われると、準備に2カ月ほどかかります。

以上から、訴訟になった場合は解決までに少なくとも6カ月程度、重大事故になると1年から2年程度かかります。

3-7. 慰謝料などの賠償金額の支払い|確定後1カ月以内

示談交渉、ADR、訴訟によって賠償金の金額が確定したら、通常、相手の保険会社から1週間から1カ月以内に賠償金が支払われます。

示談が成立した際には、示談書より簡易な「免責証書」を作成するのが一般的です。免責証書には、賠償金額と振込先口座、これ以上の損害賠償を求めない旨などが明記されますが、謝罪文言などは入っていません。謝罪も求めたい事案においては、免責証書ではなく、謝罪条項を盛り込んだ示談書を取り交わします。

加害者が任意保険に加入していない場合には、賠償金が支払われない可能性があります。その場合、強制執行などの手続きが必要です。加害者の勤務先が判明している場合は給与の差し押さえをしますが、勤務先が不明な場合は、財産調査に数カ月を要します。

強制執行の手続は、申立てから入金までに1カ月ほどを要します。一度で回収できない場合には、強制執行を繰り返すことがあります。

4. なぜ? 交通事故の示談成立に時間がかかる原因

示談交渉に要する期間は、加害者側と被害者側で意見が異なる争点の多さ、内容の複雑さや難易度などにより異なります

たとえば、事故の責任が被害者と加害者にどのくらいあるかを割合で表す過失割合について争いがある場合には、示談交渉が長引く場合が多いです。過失割合の争いは金額に与える影響が大きいだけでなく、被害者にも非があると言われている状況であるため、心理的に早期納得しづらい傾向があります。

ドライブレコーダーを搭載していない車両同士の事故では、信号機の色、衝突時の被害車両の動きなどが争点になります。また、加害車両にドライブレコーダーが搭載されていても、保険会社が開示を拒む場合があり、保険会社からの連絡や回答が遅いときもあります。

さらに、後遺障害等級認定の結果に不服があれば、異議申立てができます。異議申立てをする場合、望みどおりの等級を認定してもらうため、新たな医学的資料などの証拠を集める必要があります。異議申立て後の審理にも2カ月から3カ月程度を要します。

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5. 交通事故の治療費も、示談が終わるまで払われない?

通常、治療費は保険会社から病院に直接支払われます。これを「一括払い」と呼びます。しかし、治療途中で保険会社から「治療費支払いの打ち切り」を告げられ、治療費を打ち切られるケースがあります。治療費の打ち切りは、保険会社の主観的な判断によるものです。

弁護士に依頼をしていれば、治療費支払いの打ち切りに対し、弁護士が保険会社と交渉し、支払いの継続を求めることができます。それでも保険会社が判断を変えない場合には、いったん被害者本人が健康保険を利用するなどして治療費を立て替え、完治または症状固定となったタイミングで、それまでの期間の治療費を賠償金額に乗せて請求します。

6. 最短で交通事故の慰謝料を受け取るためには?

慰謝料を受け取るまでには長期間を要するものですが、受け取るまでの期間を短縮する方法もあります。

6-1. 内払いや仮渡金を申請する

慰謝料は、本来、示談が成立したあとに受け取るものです。しかし、被害者は治療費や通院のための交通費を立て替えたり、休業を余儀なくされて収入が途絶えるなど、金銭面で苦境に立たされることがあります。そのような場合に、示談成立前に慰謝料の一部を先に受け取れる仕組みが「内払い」と「仮渡金」です。

内払いは、加害者が任意保険に加入している場合、保険会社が治療費の一括払いを行うほか、通院交通費や入院雑費、交通事故によるけがで仕事を休んだことによる減少を補償する休業損害の一部を、示談成立前に受け取るものです。

保険会社から送付される用紙に必要事項を記入し、領収書や会社に発行してもらった所定の休業損害証明書などを添えて申請します。

一方、仮渡金は自賠責保険の制度で、死亡事案では290万円、傷害事案ではその程度に応じて5万円から40万円が支払われます。主に、加害者が任意保険に加入していない場合に活用します。仮渡金は、被害者本人が自賠責保険会社に対して被害者請求をすれば受け取れます。必要書類は保険会社から取り寄せます。

6-2. 自賠責保険の被害者請求を行う

加害者が加入している保険会社との示談成立前でも、自賠責保険会社に対して被害者請求をすることで、国が定める最低限の補償を先行して受け取ることができます。これにより、示談交渉が長引いている場合でも、当面の資金を確保できます。

また、加害者が任意保険に加入していない場合、本来、加害者に対し請求することになりますが、自賠責保険会社に対し、本請求として限度額までの支払いを求める方法も考えられます。

自賠責保険では、次のように限度額が決められています。

  • 死亡の場合:3000万円まで

  • 後遺障害がある場合:等級に応じた金額(第1級の場合4000万円)まで

  • 傷害(けが)の場合:120万円まで

けがによる治療を経て後遺障害が残った場合、「後遺障害がある場合」と「傷害(けが)の場合」が併用されます。仮渡金を受領している場合、既払金として差し引かれます。

6-3. 弁護士に依頼する

弁護士に依頼をすれば、情報収集や任意保険会社との示談交渉がスムーズに進み、交渉成立までの時間の短縮が期待できます。

また、訴訟を回避できる可能性も高まるため、結果的に慰謝料をスムーズに受け取れるようになるでしょう。

6-4. 【重要】焦って合意するのはNG

慰謝料の金額を決めるための基準には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」、「弁護士基準(裁判所基準)」の3種類があります。通常は自賠責保険基準→任意保険基準→弁護士基準の順に基準額が高くなります。

交通事故の慰謝料の3つの算定基準の図。弁護士基準が被害者にとって最も有利
交通事故の慰謝料の3つの算定基準の図。弁護士基準が被害者にとって最も有利

保険会社は通常、自賠責保険基準や任意保険基準で算出した金額の慰謝料を提示してきます。自賠責保険基準は最低限の補償であるため、金額はかなり低く抑えられています。任意保険基準は自賠責保険基準よりやや高めですが、大きな差はありません。

そのため、保険会社から提示された金額で合意すると、補償が十分ではない可能性があります。弁護士に依頼をすれば、弁護士基準を使い、より適正な額の補償を受けられる可能性が高まるため、安易に合意せず、弁護士を介しての交渉をお勧めします。

7. 交通事故の被害者が弁護士に依頼するメリット

交通事故の被害者が弁護士に依頼をすると、以下のようなメリットを得られます。

  • 示談交渉などの対応を一任でき、労力やストレスが軽減される

  • 適正な後遺障害等級の認定を受けやすくなる

  • 弁護士基準で損害賠償を請求できる

  • 弁護士費用特約を使えば費用負担がゼロになる

7-1. 示談交渉などの対応を一任でき、労力やストレスが軽減される

弁護士に依頼をすれば示談交渉などの対応を一任できるため、対応にかかる労力やストレスが軽減されます。また、弁護士は依頼者の立場に立ち、専門的な知識を生かして段階ごとにわかりやすく説明してくれるため、状況を客観的に把握しやすくなり、最善の選択ができるようサポートを受けられます。

保険会社との交渉では、意見の対立から感情的になりかねない場面もあります。そのようなケースでも、弁護士が介入していれば、説明を受けながら冷静に対応策を検討でき、精神的な負担も軽減できるでしょう。

7-2. 適正な後遺障害等級の認定を受けやすくなる

弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定申請を被害者請求で行う際に適切な意見書や証拠を添えられるため、適正な等級の認定を受けられる可能性が高くなります。

また、早い段階から弁護士に依頼していれば、必要な医療機関の検査を受けているかなども適宜確認し、適切なアドバイスを受けられます

さらに、診療の専門家である医師は、法律上の判断基準である等級認定基準に必ずしも詳しいとは限りません。弁護士がその点をフォローし、必要事項が正しく記載されているかどうか、真実に合致せず誤解を招く記載がないかなどを確認して、適正な等級認定へと導いてくれるでしょう。

7-3. 弁護士基準で損害賠償を請求できる

弁護士に依頼すれば、保険会社は多くの場合、裁判を回避するために示談案を提示してきます。

そのため、慰謝料における3つの基準のうち、弁護士基準で算出した金額、もしくはそれに近い金額での示談成立が期待できます。

交通事故の損害額を算定する際の3つの基準の図解。弁護士に示談交渉を依頼すれば慰謝料など損害賠償の増額が期待できる
交通事故の損害額を算定する際の3つの基準の図解。弁護士に示談交渉を依頼すれば慰謝料など損害賠償の増額が期待できる

7-4. 弁護士費用特約を使えば費用負担がゼロになる

自身が加入している自動車保険などに付帯している弁護士費用特約を使えば、法律相談料や示談交渉、裁判などにかかる弁護士費用の全額または一部が保険でまかなわれます。

示談交渉などが円滑に進み、特約の範囲内で完了すれば、被害者自身の弁護士費用の負担はゼロになります

8. 交通事故の慰謝料はいつもらえるのかに関してよくある質問

Q. 治療が終わるよりも先に慰謝料をもらうことはできる?

示談交渉は本来、治療が終了してから行うものであり、示談成立前の慰謝料の精算は通常ありません。

ただし、任意保険の内払い、自賠責保険の仮渡金を利用すれば、損害の一部の支払いを受けられます。

Q. 加害者が無保険だと慰謝料は受け取れない?

無保険でも慰謝料は請求できます。慰謝料の金額も、法律上は加害者が任意保険に加入している場合と同じです。

ただし、加害者にとっては高額の慰謝料を自費で負担しなければならないため、心理的抵抗が大きく、示談交渉が難航したり、長期化したりする可能性が高くなります。

また、賠償金額が確定しても、加害者に資力がなければ全額を回収できない可能性が高くなります。その場合は、強制執行で給与を差し押さえるなどして回収を図る方法があります。また、自賠責保険や政府保障事業によって慰謝料の一部を受け取る方法もあるため、各種検討し、最善の選択をする必要があります。

Q. 示談せずに訴訟を起こしたほうが慰謝料を早く受け取れる?

一般的には、示談交渉よりも訴訟のほうが長引きやすいです。早期に慰謝料を受け取りたいなら示談成立をめざすべきでしょう。

Q. 慰謝料請求に時効はある?

加害者に対する慰謝料請求権は、次の期間経過で時効により消滅するので、ご注意ください。

・傷害の慰謝料は、事故の翌日から5年
・後遺障害の慰謝料は、症状固定日の翌日から5年
・死亡の慰謝料は、死亡日の翌日から5年

なお、ひき逃げ事故で加害者不明な場合、例外として、加害者を知った日の翌日から5年、または事故の翌日から20年のいずれか早い日が時効の期限になります。

9. まとめ 交通事故の慰謝料をなるべく早く受け取りたい場合は弁護士に相談を

交通事故の慰謝料に関する示談交渉は、死亡事故を除き、治療が完了したあとに開始されます。慰謝料がいつもらえるのかは一概には言えないものの、軽傷で後遺症がない場合は事故発生から2カ月から3カ月程度、後遺障害が残った場合は6カ月から1年以上を経て支払われるのが一般的です。

示談交渉は、加害者が加入している保険会社との間で行われるのが一般的ですが、争点の多さや内容の複雑さ、過失割合の争いなどによって長引く可能性があります。

示談成立前に慰謝料の一部を受け取れる制度としては、「内払い」と「仮渡金」があります。治療期間中の経済的負担を軽減したい場合は活用を視野に入れてください。

慰謝料に関する示談交渉を弁護士に依頼すれば、保険会社側が使用する「自賠責保険基準」や「任意保険基準」よりも高い金額が設定される「弁護士基準(裁判所基準)」での交渉が可能となり、手続きも円滑に進めやすくなります。交通事故の慰謝料をできるだけ早く、かつ適正に受け取りたい場合は、弁護士への相談がお勧めです。

(記事は2026年1月1日時点の情報に基づいています)

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吉原崇晃(弁護士)

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吉原綜合法律事務所 代表弁護士
第一東京弁護士会所属、登録番号46814。企業法務、企業相手のサービス利用上のトラブル、男女トラブル、労働トラブル、人格権侵害にまつわるトラブルなどを幅広く扱うなか、常に多くの交通事故の事案も抱えている。段階ごとに大小さまざまな判断に迫られる交通事故において、治療初期の早い段階から被害者に寄り添い、「後の交渉を有利にする」ための助言を行う。夜間・休日(年末年始を含む。)でも遠慮せずに直接弁護士と話ができ、いつでも気軽に助言を乞うことができる。実態がわからない不安を引き延ばさせないことをモットーに、「何が問題で、とれる対策は何か、今やるべきこと」をいつでも相談可能としており、依頼者様にとっての不安やストレスを軽減し、最善の選択や解決をアシストできるように努めている。
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